"失踪した妻を道の駅で見つけた――「来ないで」と怯えた理由" 第10話
「止めません」
「なら――」
「もういいです」
それ以聞きたくなかった。
宗郎が最に言った。
「杏奈は……うちの孫だ」
私は彼を見た。
「だから?」
「族なんだ」
「結も族でしたよ」
宗郎は黙った。
「それをあなたは、自分で捨てた」
2が連れていかれる。
政婦が隣から杏奈を連れてきた。
「パパ」
私はしゃがみ、娘を抱いた。
「終わった?」
「ああ」
「おじいちゃんたちは?」
し迷った。
「悪いことをしたから、お話を聞かれにく」
「ママをいじめた?」
「ああ」
杏奈は私の首に腕を回した。
「もういじめない?」
「もうさせない」
敷をる。
振り返らなかった。
あとは。
結のところへ帰るだけだった。
京の病院へ着いたのは、夜だった。
杏奈はので眠っていた。
抱きげ、病へ向かう。
ドアをける。
結がベッドにいた。
髪はきれいに洗われ、病に着替えている。
点滴。
顔はまだ悪い。
それでも。
の駅で見たより、ずっとらしい表をしていた。
私を見る。
次に腕のの杏奈を見る。
「杏奈」
娘が目を覚ました。
「ママ!」
私の腕からり、ベッドへる。
「ママ、お医者さん終わった?」
「まだしあるかな」
「痛い?」
「丈夫」
杏奈が母のを握る。
「パパ、お仕事終わったよ」
結が私を見る。
「終わったの?」
私は子へ座った。
「ああ」
「父たちは」
「警察へった」
結の顔がくなる。
「本当に?」
「録音も渡した。君の証言も、弁護士と緒にきちんと取ってもらう」
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「会社は?」
「会社は会社だ」
「え?」
「働いてるに罪はない。経営陣を入れ替えるなり、事業を売却するなり、できるだけ従業員が困らない方法を考える」
結はしばらく私を見ていた。
「誠さんらしい」
「そう?」
「昔からそうだった」
「何が」
「っても、関係ないまで巻き込まない」
し笑う。
「でも」
「ん?」
「もっとくってくれてもよかった」
胸に刺さった。
「ごめん」
「違う」
結は首を振った。
「私も何も言わなかった。父のことも、株のことも。の嫌な部分を誠さんの活に持ち込みたくなかった」
「俺も同じこと考えてた」
「だから2とも黙りすぎたね」
その言葉に。
私は苦笑した。
「そうだな」
杏奈がへ入る。
「何の話?」
「パパとママが、秘密は良くないって反省してる話」
「杏奈、秘密あるよ」
「何」
「パパのお菓子、昨1個べた」
「おい」
結が笑った。
私は半ぶりに。
同じ部で。
妻と娘の笑い声を聞いた。
その夜。
杏奈は結のベッドの横に置かれた簡易ベッドで眠った。
私は窓際の子に座る。
結は眠っていなかった。
「誠さん」
「うん」
「聞いていい?」
「何でも」
「仕事のこと」
来た。
「本当に、そんな偉いだったの?」
「偉くはない」
「代表って言ってた」
「役職」
「私に隠してた」
「ごめん」
結がし笑った。
「ってるわけじゃない」
「うん」
「ただ」
彼女は窓のを見る。
「私、ずっと誠さんを守らなきゃとってた」
「何で」
「父たちよりいとってたから」
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「失礼だな」
「でしょ?」
2でさく笑った。
「でも、今分かった」
結が私を見る。
「いって、おがあるじゃないんだね」
私は何も言わなかった。
「父にはおがあった。兄にもがあった。でも、怖くなるとを傷つけた」
し。
「誠さんは力があっても、関係ない社員を巻き込まなかった」
私はを伸ばし。
結のを握った。
「俺も違えたよ」
「何を」
「黙ってることが優しさだとってた」
結が指を握り返す。
「私も」
その夜。
2はい、話した。
結婚のこと。
結が子どもの頃、でどう扱われていたか。
宗郎が男の子である武志だけを継者として育てたこと。
祖父だけが結をがっていたこと。
会社の株を残した理由。
結がをたかった本当の気持ち。
私が仕事のを隠した理由。
6く夫婦をしていたのに。
らないことが、たくさんあった。
朝方。
結が眠った。
私は横顔を見ながらった。
族だから分かる。
夫婦だから言わなくても伝わる。
そんなのは、勝ない込みだった。
事なことほど。
言葉にしなければ伝わらない。
結の治療は期になった。
詳しい検査の結果。
脊髄そのものが完全に断裂しているわけではなかったが、神経にはきな損傷がある。
医師は慎だった。
「以とまったく同じ状態まで戻るかは分かりません」
結は黙って聞いた。
「ただし、リハビリによって歩能力が改善する能性はあります」
「どれくらいかかりますか」
私が尋ねる。
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