"「名前を書くな」公害病の申請を止めた父と、娘の「息がしたいだけ」" 第5話
「お父さん」
美紀はもう度尋ねた。
「87って、私が病院にっただよね」
忠雄はようやく居へ入った。
「それとこれとは関係ない」
「じゃあ、何で同じなの?」
「たまたまだ」
「止めるって何を?」
「美紀」
「何で教えてくれなかったの」
忠雄の顔が険しくなった。
「子どもがる話じゃない」
その言葉を聞いた瞬、美紀は帳を卓へ置いた。
「またそれ」
「何がだ」
「名くなって言うも理由言わなかった。今も子どもだからって言う。私の病気の話なのに、私だけ何もらなくていいの?」
忠雄は言葉を失った。
ちょうどその、買い物から芳が帰宅した。
卓にかれた黒い帳と、父娘の表を見るだけで何か起きたと分かった。
「どうしたの」
美紀が帳を母へ差しした。
「これ」
芳は数を読むと、忠雄を見た。
「あなた、これは何?」
忠雄は畳へ座った。
しばらく両膝へを置き、言葉を探していた。
「87に、集じん設備の部がおかしくなった」
「集じん設備?」
「煙やじんを処理する設備だ。全部が止まったわけじゃない。異常がた部分だけだった」
忠雄は専になりすぎないよう、言葉を選びながら説した。保全班は度止めて部品を交換した方がいいと提案したが、全体の操業予定が詰まっており、応急措置で運転を続ける判断になった。
「それで美紀が苦しくなったの?」
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芳が尋ねた。
「分からない」
忠雄はすぐ答えた。
「本当に分からないんだ。あの設備の異常が、美紀の発作と直接関係した証拠なんかない。ほかにもはある。もってる。向きだって調べてない」
「じゃあ何で帳にいたの」
「忘れられなかったからだよ」
忠雄の声がしきくなった。
「そのの夜、美紀を診療所へ連れていった。自転漕ぎながら、昼のことをいした。でも、関係あるなんて分からない。それでもかられなかった」
芳は帳の別の付を見た。
「ほかにもあるじゃない」
「設備の具があったを全部いただけだ。美紀の発作のとなってるのもあれば、何もなかったもある」
「会社はってるの?」
「故障したことは当然ってる。正式な点検記録にも残ってる」
忠雄はそこで度言葉を切った。
「俺が隠してたのは故障じゃない。俺がそれを気にしてることだ」
芳の表が変わった。
忠雄は18のに見てきたことを話した。
昔に比べれば設備は改善された。
煙のも変わった。
会社も何もしていないわけではない。
現のも、自分たちが町を苦しめたいとって働いているわけではない。
けれど、は止めればきな損失になる。
だから。
「まだく」
「応急でいける」
「次の定修まで持たせる」
そんな判断が積みなることもあった。
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「俺も、そのにいた」
忠雄はい声で言った。
「言われた通り応急処置して、かした。止めた方がいいとったもある。でも、俺が嫌だと言ったっては止まらない。だから仕事だとってやった」
美紀は父を見ていた。
初めて聞く話だった。
父の仕事は、ただきな械を直しているのだとっていた。
「じゃあ、お父さんが悪いの?」
美紀が聞いた。
芳が「美紀」と止めようとしたが、忠雄はをげた。
「分からない」
美紀は黙った。
「でも、おに名をくなって言ったのは、俺が怖かったからだ」
忠雄は初めて認めた。
「おが申請したら、会社のに何か言われるんじゃないかとった。班の話がなくなるかもしれないとった。それだけじゃない。もし本当にこの町の空気が、おの病気をひどくしてるなら、俺は18何をしてたんだってった」
忠雄の声は震えていた。
「毎働いて、族のためだとってた。おを病院に連れていくも、そのでもらった。なのに、そののくでおが苦しくなるなら、俺は何を守ってたんだって話になるだろ」
誰もすぐには答えられなかった。
芳が忠雄の黒い帳を閉じた。
「あなたでをかしてたわけじゃないでしょう」
「そんなことは分かってる」
「だったら、美紀の申請とあなたの18を、同じ秤に乗せなくてもいいんじゃないの」
忠雄は顔をげた。
「この子が申請したからって、あなたの18全部が違いになるわけじゃない。
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