"母の保険金3,000万円、夫は「もう諦めろ」と言った" 第11話
「料、どうなるんですか……?」「私、今で辞めます」と声で囁きう声が、オフィスの隅から漏れ聞こえる。
「麻紀ちゃん、お願い……! 今すぐこれを取りげて! なんでもするから! 分割で毎万ずつ返すからぁ!」
佳代がをうようにして麻紀の元へ縋り付こうとした。
しかし、麻紀は歩ろへがり、汚れ物でも見るような目で義姉を見ろした。
「族だから、か待ったのよ」
麻紀の凛とした声が響いた。
「もしこれが赤のなら、遅れた点で差押えを実していました。でも、あなたは夫の姉だから、誠を見せてくれるかもしれないと信じて、私は何度も連絡を差しげました。それを無し続け、裏では社員旅の計画をてていたのでしょう? 自業自得です」
「くそっ……麻紀、おって女はどこまで酷なんだよ!」
幸介が震える指を麻紀に突きつけた。
「姉貴の会社が潰れたら、うちの親父やお袋がどれだけしむか分かってんのか!? 族を破滅させて、おはそんなにが欲しいのかよ!!」
夫のその醜悪な責任転嫁の叫びを聞いた瞬、弁護士がデスクのに置いてあった冊のバインダーをに取り、静かににみた。
「……浦幸介さん。先ほどから『族のため』『姉のため』と仰っていますが、つだけ確認させていただきたい事実がございます」
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弁護士は、バインダーから枚の取引細のコピーを抜きし、幸介と佳代の目のに突きつけた。
「これは、制執の準備段階において、裁判所の命令に基づき示させた、浦クリエイティブ・プロモーションの過か分の預座履歴です」
弁護士の指先が、細のあるをトントンと叩いた。
「千万円が麻紀氏の座から着した、わずかの付です。……【浦幸介】名義の個座へ、会社から【1,200万円】という巨額の資が送されています。……幸介さん、これは体、どういう名目のですか?」
オフィス内の空気が、完全に凍りついた。
幸介の喉から「ひっ」と引き攣った音が漏れ、その顔から急速にが失われていった。
「せ……せん……にひゃくまん……!?」
麻紀が息を呑んだ。
渡された細のコピーに目を落とす。そこには確かに、夫のフルネームと、麻紀には度も見せたことのない方の座番号、そして【12,000,000】という暴力な数字が黒々と刻印されていた。
母が命を削って遺してくれた千万円。
その半分くが、佳代の会社の資繰りなどではなく、夫・幸介の懐へ直接流れ込んでいたのだ。
「こ、幸介……これ、何よ」
麻紀の震える声に、幸介は目を見き、魚のようにをパクパクと閉させるだけで言葉がない。
「浦社。
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会社の資繰りが逼迫していると言って借り入れた資から、なぜ役員でもない親族の個座へ、これほどのが即座に流しているのですか?」
弁護士の追及に、に座り込んでいた佳代が、突如として獣のような叫び声をげた。
「私じゃないわよーーッ!!」
佳代はを蹴ってちがると、弟である幸介の胸ぐらを両で掴み、激しく揺さぶった。
「全部、こいつが仕組んだことなのよ!! 私は名を貸しただけ! こいつが『絶対にバレないから、会社の資繰りってことにして麻紀から千万引っ張りしてくれ』って泣きついてきたのよ!!」
「な……おい、姉貴! やめろ、黙れよ!!」
幸介が血相を変えて佳代のを振り払おうとしたが、逆した佳代の爪が幸介の頬を引き裂いた。
「黙ってられるわけないでしょ! 私の会社が潰れかけてるのよ!? あんたがFXの先物取引で失敗して、ヤミまがいの融業者から千万円以の借を背負ったからじゃない! 『親父たちにバレたら勘当される、会社にも居られなくなるから助けてくれ』って座してきたのはあんたでしょ!!」
「うわああああっ! 言うな、言うなァ!!」
の姉弟が、オフィスの央で取っ組みいの罵りいを始めた。
社員たちが息を呑み、軽蔑と嫌悪の入り混じった目で自社の社とその弟を見つめている。
佳代はバッグからスマートフォンを取りし、震えるで画面を操作すると、弁護士と麻紀の目のに突きつけた。
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