"20年の仕送りを止めたら、義母の嘘が暴けた" 第8話
佐々さんと別れ、千鶴は夕暮れのたいのを歩きながら、元の買い物袋を握りしめた。
見栄、傲、寄、そして嘘。
、自分が善で送り続けてきた千百万円が、義母と義妹というのをどれほど醜く歪ませていたのか。
その全貌が、もなくのに晒されようとしていた。
も半ばを過ぎ、底えのするの夕暮れ。
正が仕事帰りに、何の触れもなく実へとち寄ったのは、千鶴から佐々さんの噂話を聞かされた翌週のことだった。これまで母親の活に直接踏み込むことをどこか避け、すべてを千鶴任せにしてきた正が、自らの志で実の引き戸をけたのは、結婚以来初めてのだった。
夜の、自宅のマンションに戻ってきた正の表は、これまでに見たことがないほど暗く、疲弊しきっていた。
「……ただいま」
コートを脱ぐつきが々しい。玄関のがり框にち尽くす夫に、台所から駆け寄った千鶴はタオルを渡した。
「正さん、どうだったの? お義母さん、本当におで倒れていたりしなかった?」
正はさく首を横に振ったが、居のテーブルにつくなり、両で顔を覆った。
「……母さんはきてたよ。怪も病気もしてない。だけどな、千鶴……なんか様子が異常だったんだ」
「異常って……どんなに?」
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正は温かい緑茶の湯呑みを両で包み込み、線を宙に彷徨わせながら、ポツリポツリと語り始めた。
正が鍵を使って実の玄関をけた瞬、居の方からバタバタと激しい物音が響いたという。灯も点けず、暗い廊の突き当たりから現れたキミ子は、息を乱し、髪を振り乱しながら、玄関脇の駄箱の横にあるさな棚の引きしへ、必の形相で何かを押し込んでいた。
「俺の顔を見た途端、まるで棒がに見つかったみたいにびがってさ。『な、何しに来たのよ! 連絡もなしに!』って、ものすごい剣幕で鳴られたんだ」
「お義母さんが……? 何を隠していたの?」
「引きしに押し込んだものが、チラッとだけ見えたんだよ。茶いきめの封筒だった。……そこに、はっきりとの信託と証券会社のロゴマークが印刷されてたんだ」
千鶴の背筋に、たいものがった。
「証券会社……? お義母さんが、投資信託か何かをやっているの?」
「分からない。俺が『それ、何の類だよ?』って聞いたら、母さんは顔を変えて引きしの鍵をガチャリと閉めて、『なんでもない! 昔の古い類よ!』ってヒステリックに叫んでさ……。いつもなら『お茶でもんでいきなさい』『あれこれ買ってきてちょうだい』ってあれこれ指図してくるのに、靴も脱がせてくれないまま、分も経たないうちに『もう遅いから帰りなさい!』って追いされたんだ」
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正はく息を吐きし、眉を指先でく揉んだ。
「活費がりなくて困窮してるの態度じゃなかった。むしろ……何か絶対にられたくない秘密を、俺たちに必で隠し通そうとして怯えているような……そんな目だったよ」
「……」
千鶴は腕を組み、キッチンの換気扇の回る音を聞きながら考を巡らせた。
義父がくなった。遺産の処理はすべてキミ子がで仕切り、男である正にすら詳細な財産目録を示しなかった。あの、キミ子は『お父さんは借こそ残さなかったけど、退職なんて治療費でほとんど消えちゃったわよ。残ったのはこの古いと、わずかな遺族だけ』と、涙ながらに語っていたはずだった。
だからこそ、正と千鶴は「母親をでに迷わせてはならない」と信じ込み、毎万円というを、血を吐くようないで送り続けてきたのだ。
「正さん。、で実へきましょう」
千鶴の静かな、だが迷いのない言葉に、正は顔をげた。
「……で?」
「ええ。もう逃がさないわ。駄箱の引きしのも、久美さんのことも、お義母さんが何を隠してきたのか、すべて黒つけるが来たのよ」
翌週の曜の午。
千鶴と正は、をらせて実へと向かった。枯れの々が寒に晒される宅の奥、かつては入れのき届いていた実の庭は、落ち葉が吹き溜まり、雑が枯れとなって放置されていた。
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