"妊娠8か月の私に28人分のおせちを作らせた義母" 第6話
担当者のメモには、《14、共同経営者の真鍋優奈氏と面談予定》とある。
私はそんな約束をしていない。
さらに、面談に持参する本確認類として、私の運転免許証のコピーが添付されていた。
免許証のコピーは、半にの保険を更した際、康平へ渡したものだった。夫は保険代理へ提、庭用プリンターの記録から削除したつもりだったという。しかし複の共フォルダにはデータが残り、同じWi-Fiへ接続していた義母のタブレットから閲覧できた能性がある。
康平はすぐに信用庫の相談窓へメールを送り、私が共同経営へ同しておらず、本確認類も無断使用されたとらせた。末のため正式な対応はけになるが、送信刻と内容は記録に残る。梨は「まだ融資を受けていないのに、そこまでしなくてもいい」と泣いた。
「受けるだから止めるんだ」
康平はく答えた。次に、配布先へ連絡するよう求めた。梨が拒むと、夫は自分が把握している親戚から話を始め、許のない所で作られ、表示にも誤りがあるためべないでほしいと説した。
話で責められても、優奈が騒いだせいとは言わなかった。自分ので起きたことを把握できず、止められなかった責任があると伝えた。その言葉を映像通話で聞きながら、私は初めてしだけ肩の力を抜いた。
広告
だが、夫のを見てすぐすることはできなかった。彼は母へ鍵を渡し、族用タブレットのパスワードを共し、妹の事業について「優奈が納得するなら」と曖昧な返事をしていた。義母が境界を越えたのは初めてではなく、康平はこれまでさな越境を“世話好き”として放置してきた。
私は映像通話越しに、梨へSNSの広告削除と訂正文の掲載を求めた。使用した私の写真、経歴、資格名、ホテルの許番号が無断だったこと、販売した料理は梨のキッチンの責任で返すること。その内容を文章にし、公に画面を共してもらった。
千鶴子は横から「族の恥をわざわざ世へすのか」とを挟んだ。私は義母ではなく、梨へ答えた。
「すでに私の顔と名を世へしたのは、あなたです。訂正は恥を広げるためではなく、違った報を戻すためです」
梨は最初、私も調理した事実はあるとこうとした。私は族6分の仕込みをったことまで否定しなかった。ただし販売をらされていなかったこと、体調悪化は作業していないことを正確に載せるよう求めた。
午0を過ぎるころ、訂正文が掲載された。の挨拶も華やかな写真もない、い背景に黒い文字だけの投稿だった。予約者のくは返を求め、梨は翌週までに対応すると約束した。
広告
康平は義両親と梨を帰らせた。千鶴子は最まで、「優奈さんが戻ったら族会議をする」と言っていた。夫は玄関先で、族会議をくかどうかを決めるのは優奈であり、今は連絡も自分を通すように告げた。
3が帰ったあと、康平は清掃業者の緊急対応を探したが、晦の夜に来る会社はなかった。彼は汚れた鍋を洗い、品を袋へ分け、蔵庫を空にした。私は作業を見続けず、通話を切って眠った。
元の朝、康平が奈津美のへ来た。には私の着替えと母子帳、病院へ提する血圧記録表があった。姉は彼をすぐへ入れず、私が会うを確認してから居へ通した。
康平は畳へをついて謝った。母や妹を止められなかったことだけでなく、自分が「優奈が納得するなら」と責任を私へ押しつけたこと、母なら常識に説すると決めつけたこと、鍵やデータ管理を軽く考えたことを挙げた。
「母さんたちにったから、俺の責任が消えるとはっていない」
私は、帰宅した夫が族を追い返してくれたことには謝していると伝えた。しかし、今すぐ緒に帰るつもりはなかった。康平がっているだけ守られ、りが収まればまた母親の希望と私の希望ので調される活には戻れない。
「反撃して終わりにしないで。
どうしてこうなったのかを、あなた自が考えて」
広告
おすすめ作品
-
完結第10話
腎臓をあげた私に離婚届――夫の隣には若い女
三歳の娘を育てる裕子は、重い腎臓病になった夫・英司を救うため、自分の腎臓を一つ提供した。ところが手術後、体調を崩した裕子を待っていたのは、夫からの暴言と冷たい仕打ちだった。やがて英司は、若い女との新生活を理由に離婚届を突きつけ、娘まで奪おうとする。そんな裕子の味方になったのは、意外にも義母だった。命を救ってくれた妻を平然と捨てようとする夫。すべてを失いかけた裕子は、娘と自分の人生を守るため、反撃を決意する。夫婦|真実|裏の顔|真相|第二の人生1.4万字5 286 -
完結第12話
新婚旅行に便乗する義母を空港に残した結果
新婚旅行で大阪へ向かうみちると健二。ところが、何かと二人の予定に入りたがる義母・恵子が「私の航空券も買って!」と空港から電話をかけてきた。何度断っても諦めない義母を避け、二人は夜行バスで出発。これで夫婦水入らずの旅行になるはずだった。しかし恵子は、二人の荷物に目をつけ、とんでもない方法で後を追おうとする。さらに健二の友人・圭司の借金騒動まで絡み、大阪では思いもよらない珍事件が発生。暴走する義母と、それに振り回される人々のドタバタコメディ。嫁姑|夫婦|真相1.3万字5 281 -
完結第18話
3年ぶりの帰省、弟嫁がゴミ箱を漁っていた理由
32歳の玲奈は、3年ぶりに実家へ帰り、弟の妻・南が別人のように痩せていることに驚く。夕食の席でも南の前には料理がなく、家族は誰も気に留めない。その深夜、台所で物音を聞いた玲奈は、ゴミ箱を漁る南の姿を目撃する。「食べられるものを探していました」――その言葉をきっかけに、母と弟が南に強いていた異常な暮らしが明らかになっていく。さらに、南が隠し持っていた手帳には、翌朝に迫る恐ろしい約束が記されていた。玲奈は弟嫁を守るため、信じていた家族と向き合う決意をする。因果応報|人生逆転|兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|修羅場2.4万字5 615 -
完結第12話
五歳の母ちゃん
両親を事故で亡くしたシンジは、五歳の妹・楓を育てながら、昼も夜も働いていた。そんなある日、楓が「母ちゃんが来た」と言って連れてきたのは、同じ保育園に通う五歳の少女・リサだった。ところが彼女は、家族しか知らない昔の出来事を次々に話し、シンジを息子のように気遣う。信じられない再会に戸惑いながらも、兄妹は少しずつ彼女に心を開いていく。しかし、リサ自身の記憶が薄れていくという異変が起こり始める。もう一度母に会いたかった兄妹が、大切なものを守るために選ぶ道とは。兄弟姉妹|真実|真相|第二の人生1.2万字5 153 -
完結第12話
結婚式に来ないと怒鳴る義母→義父「もう会場にいるぞ?」
母の美容院を継いだ誠は、医師の新と結婚して三年。夫婦仲は良好だったが、医者一家の義母からは学歴や職業を理由に見下され、嫌がらせを受け続けていた。そんな中、義弟の陸が看護師のかな子と結婚することに。義母は二人の豪華な披露宴を自慢し、誠への嫌味をますます強めていく。そして迎えた結婚式当日。朝早くから会場にいた誠のもとへ、義母から突然の怒鳴り電話がかかってきた。しかし、義父が電話を代わった瞬間、思いがけない事実が浮かび上がる。嫁姑|夫婦|真実|裏の顔1.6万字5 411 -
完結第10話
正月の高級焼肉、嫁の席だけ外した義母の誤算
結婚して六年、藤森美代は毎年正月になると、夫の実家で親戚たちの世話を押しつけられていた。集合写真にさえ入れてもらえず、いつも一人だけ台所で過ごしてきた。今年は赤坂の高級焼肉店で集まると聞き、ようやく皆と食事ができると思っていたのだが、出発直前、義母から「嫁の分は予約してない」と告げられる。怒った夫はその場で帰宅を決意。ところが、二人が帰った途端、義母と義姉は思いがけない事態に追い込まれる。高級焼肉の予約に隠されていた、二人の本当の狙いとは……。兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|ATM扱い1.7万字5 1796 -
完結第12話
結婚式当日「新婦が救急搬送」私、ここにいますけど?
高校時代から付き合ってきた健二と、ようやく結婚することになった警察官の愛。式の準備をほとんど任せきりにする健二に寂しさを感じながらも、愛は幸せな結婚生活を信じていた。 ところが結婚式当日の朝、式場に「新婦の愛さんが病院に運ばれた」という連絡が入る。愛本人は、ウェディングドレス姿で控室にいるというのに。 しかも病院の女性は、健二を呼んでほしいと言っているらしい。そこへ遅れて現れた健二は、愛の姿を見るなり顔色を変えた。 病院にいる「愛さん」は誰なのか。そして、長年信じてきた婚約者が隠していた秘密とは――。因果応報|人生逆転|夫婦|修羅場1.3万字5 903 -
完結第18話
夜勤明けに鍵を替えられた私
看護師長として働く千歳は、後輩に昇進で追い抜かれ、仕事を休みがちになった夫・徹を支えようとしていた。ところが徹は次第に横柄になり、家事を押しつけ、「妻なら夫に従え」と言い始める。そんなある朝、夜勤を終えて帰宅した千歳は、玄関の鍵が替えられていることに気づく。「ダメ嫁への躾だ。謝れば入れてやる」と笑う夫に、千歳は「あっそ。さようなら」とだけ告げて立ち去った。妻が本気で戻らないと知った徹は、どんな行動に出るのか。自分の人生を取り戻そうとする女性の再出発を描く物語。人生逆転|嫁姑|夫婦|金銭問題2.6万字5 1025 -
完結第10話
もやしと消えた仕送り
フリーランスのデザイナーとして働く里見は、一人暮らしの母・春江に毎月10万円を仕送りしているつもりだった。ところが、久しぶりに訪ねた実家で目にしたのは、冷やご飯ともやしだけの寂しい食卓。母は仕送りなど一度も受け取っていないと言う。家計を任せていたのは、優しく頼りになる夫の久し。疑念を抱いた里見が夫のスマホを確かめると、そこには信じがたい送金記録と、妻をあざ笑うメッセージが残されていた。さらに、夫が隠していた給与明細にも不可解な数字が……。信じていた家族の裏切りを知った里見の反撃が始まる。裏切られた|嫁姑|親子関係|金銭問題1.5万字5 882 -
完結第10話
「中卒女に現場は無理」職人10人が辞めた結果
中学卒業後、十五歳で職人の世界に飛び込んだ堀江千夏。三十二歳で工務店の現場責任者に抜擢されるが、古参の職人頭・岩木は「中卒の女に現場が回せるか」と嘲笑う。やがて岩木を含む十人が一斉に退職。大型介護施設の改修工事は納期目前なのに、残された職人はわずか三人だった。しかし千夏には、十七年間積み重ねてきた技術と、二十冊を超える黒い手帳があった。仲間とともに現場の立て直しに挑む千夏。その一方で、手帳に記された資材の数字が、会社に隠された不審な事実を浮かび上がらせていく。職場逆転|因果応報|人生逆転|修羅場1.3万字5 363