"夜勤明け、鍵を替えられた私の静かな反撃" 第11話
スマートフォンのライトが激しく揺れる、は暗い部のから、財布と携帯話だけをかき集めた。 級な具も、買い込んだ材も、クローゼットに並んだブランド物のも、何つパッキングするなど与えられない。
午分。
カチャリ、と非常用の仮シリンダーが側から取り付けられ、チェーンが固く巻かれた。 〇号のドアには、管理会社のによって、枚のきない警告文が貼り付けられた。
【警告:本物件は契約解除につき入禁止。無断侵入者は直ちに警察へ通報します】
エレベーターから引きずりろされるようにしてエントランスのへされた拓也とかず子は、夜のたいアスファルトのに放りされた。
灯の青いが、スウェット姿でち尽くす代の無職の男と、乱れた髪を押さえてへたり込む老婆の姿を、容赦なく照らししていた。
元にあるのは、銭入れと、バッテリーの切れかけたスマートフォンだけ。 着の着のまま。 スリッパ代わりのサンダルを履いた元が、夜の気で震えている。
「……あ、あの女……! 絶対に許さないわ……! 親戚に言いふらして、社会に抹殺してやるんだから……!」
かず子はアスファルトを拳で叩き、涙とでぐしゃぐしゃになった顔を歪めて呪詛を吐き散らした。
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しかし、拓也のので震え続けていたスマートフォンに、通の通が届いた。 表示されたのは、法律事務所からのメール送信完の控え――弁護士が発送した、内容証郵便の子通だった。
画面を覗き込んだ拓也の瞳が、恐怖で見かれた。
【通:被通・吉沢拓也殿 冠省。当職は、吉沢氏の受任代理として、以の通り通いたします。 1.貴殿による悪の遺棄、ならびに期にわたる経済搾取・モラルハラスメントを理由とする婚調の申て。 2.慰謝料〇〇万円の請求。 3.社宅シリンダー無断損壊に伴う原状回復費用(概算万円)の全額求償。 4.今、当事者での直接の接触(話、面会、磁記録の送信等)を切禁止する。違反したは直ちに接禁止命令の申てをう】
「さ……さんびゃくまん……? 賠償……?」
拓也の膝がガクガクと音をてて崩れ落ちた。
「嘘だろ…………俺たち、本当に……捨てられたのか……?」
その、の向こう側から、台のシルバーのワンボックスカーが静かに発した。 ヘッドライトのが、に座り込むの無様な姿を瞬だけ照らしし、そして夜の幹線へと滑らかにざかっていく。
助席の窓の奥にいたは、度として振り返ることはなかった。
制退の夜から週が過ぎた。
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の初旬、都内の普請な造アパートの。 畳の暗い部の片隅で、かず子は膝を抱えて座り込んでいた。
部の隅には、コンビニの空き弁当の容器と、売りのカップ麺の殻が積みにされている。 あの夜、所持わずか数千円でに放りされたは、ネットカフェを転々とした末、敷・礼ゼロを謳う線沿いの築のボロアパートに、かろうじて転がり込んでいた。
賃万千円。 だが、その翌、拓也の携帯に信販会社からの督促話が鳴り響いた。 これまでの座から引き落とされていた拓也名義のリボ払いや携帯話の割賦代が、すべて焦げ付いたのだ。
「おい、母さん! 美智子叔母さんはなんて言ってるんだよ! を貸してくれるのか!?」
万のでを抱える拓也が、苛ちをぶつけるように鳴った。
かず子は震えるで受話器をに当てたが、聞こえてくるのは「おかけになった話番号は、お客様のご都により……」という無質なアナウンスだけだった。
「着信拒否……されてるわ……」
「はあ!? なんでだよ! あいつ、を追いしたはあんなに威勢よく煽ってただろ!!」
美智子がのひらを返したのは、当然の帰結だった。
あの、かず子が調子に乗ってSNSに投稿した「嫁締めし祝杯写真」。 あれが親族全体のグループLINEに拡散された直、法律事務所から美智子の元へも、内容証が届いたのだ。
『貴殿によるSNS画像の拡散、ならびに婚姻関係破綻を扇する侮辱為について、民法の共同法為責任を追及する準備がある』
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