"介護で表彰される嫁――私は認知症に仕立てられた" 第3話
私は自宅へ帰ると伝えた。首は常活に支障がない程度までき、通院もでできる。ところが自宅の鍵を返すよう求めると、耶は「直さんが管理している」と答えた。
その夜、息子へ直接尋ねた。直は箸を止め、医師から暮らしの許がるまでは配だと言った。私は医師がそんな指示をしていないと説したが、耶が横から、私が診察内容を忘れている能性を指摘した。
「母さん、自分では丈夫だとうのが番危ないんだよ」
「では、次の診察へ緒に来て、先に確認して」
「今は休めない。耶に任せているんだから、言うことを聞いてくれ」
息子は私の目を見なかった。仕事の疲れと庭の面倒を避けたい気持ちが、配という言葉のろに隠れている。私はそので画のことを話さなかった。耶が全データを消し、私の説だけが“妄”として扱われるのを恐れた。
翌、域包括支援センターの担当者・森さんが、私と話すために来た。耶は買い物へくと言いながら、リビングへ見守りカメラを置こうとした。森さんが面談内容は本のプライバシーに関わると伝えると、満そうにした。
私は画のことを話した。自分の端末がなく、画面を見せられないため、森さんはそのでアカウントを検索した。
広告
最の画には、私が職員の質問へ答えられず黙り込む面が使われていた。
実際には、耶が隣から何度も答えを遮ったため、私は職員本に話すまで黙ると決めたのだ。字幕には《今の付も分からなくなりました》とある。森さんは表を変え、公に同した面があるか尋ねた。
私は度も署名していない。撮許も、広告契約も、介護認定の申請も見ていなかった。森さんは、介護認定については本の確認を改め、医療関の診断も含めて判断すると説した。
さらに、私の座を確認できるか尋ねた。費5万円を渡しているほか、の部を耶が管理していると話すと、齢者の財産管理として問題がないか調べる必があるという。
通帳は嫁が持っている。キャッシュカードも、骨折に買い物を頼むため暗証番号と緒に教えた。私は自分のを息子夫婦が盗むとは考えていなかった。
森さんは私の解を得て、の相談窓へ連絡する方法を教えてくれた。本確認が必なため、次の通院に支へ同してもらうことになった。自宅の鍵についても、所者が私であることを確認し、必なら鍵交換を配できると話した。
「でも、今すぐ問い詰めるのは待ちましょう。文さんが全に移できる所と、必な物を先にえます」
広告
私は頷いた。反撃という言葉がへ浮かんだが、今の私に必なのは声で勝つことではない。薬、保険証、通帳、自宅の鍵。自分の活をつずつ取り戻すことだった。
面談の終わりに、美が学から帰ってきた。森さんが帰ったあと、孫は制のポケットからさな記憶媒体をした。
「元画、全部じゃないけどコピーした。お母さん、昨の夜、消すって言ってたから」
そこには撮を含む映像が47本保されていた。
そのうちつには、直の声も入っていた。
《広告料が入るならいいけど、母さんを本当に病院へ送るほどはやるなよ》
映像は昨11の夜に撮られていた。画面には耶しか映っていないが、台所の奥から直の声が聞こえる。夫婦は私の画について、広告会社から届いた条件を話していた。
「物忘れがむほど再数が伸びるの。介護用品の会社も、そのほうが商品を紹介しやすいって」
「母さんに危ないことはさせるなよ。広告料が入るならいいけど、本当に病院へ送るほどはやるな」
「分かってる。し演するだけ」
「俺は画にさないでくれ。会社にられると面倒だから」
会話はかった。直はすべての演をっていたわけではない。それでも、私を実際より悪く見せることと、そこから広告収入がまれることは理解していた。
らなかったのではなく、自分が映らない条件で黙認していた。
広告
おすすめ作品
-
完結第12話
新婚旅行に便乗する義母を空港に残した結果
新婚旅行で大阪へ向かうみちると健二。ところが、何かと二人の予定に入りたがる義母・恵子が「私の航空券も買って!」と空港から電話をかけてきた。何度断っても諦めない義母を避け、二人は夜行バスで出発。これで夫婦水入らずの旅行になるはずだった。しかし恵子は、二人の荷物に目をつけ、とんでもない方法で後を追おうとする。さらに健二の友人・圭司の借金騒動まで絡み、大阪では思いもよらない珍事件が発生。暴走する義母と、それに振り回される人々のドタバタコメディ。嫁姑|夫婦|真相1.3万字5 264 -
完結第18話
3年ぶりの帰省、弟嫁がゴミ箱を漁っていた理由
32歳の玲奈は、3年ぶりに実家へ帰り、弟の妻・南が別人のように痩せていることに驚く。夕食の席でも南の前には料理がなく、家族は誰も気に留めない。その深夜、台所で物音を聞いた玲奈は、ゴミ箱を漁る南の姿を目撃する。「食べられるものを探していました」――その言葉をきっかけに、母と弟が南に強いていた異常な暮らしが明らかになっていく。さらに、南が隠し持っていた手帳には、翌朝に迫る恐ろしい約束が記されていた。玲奈は弟嫁を守るため、信じていた家族と向き合う決意をする。因果応報|人生逆転|兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|修羅場2.4万字5 590 -
完結第12話
結婚式に来ないと怒鳴る義母→義父「もう会場にいるぞ?」
母の美容院を継いだ誠は、医師の新と結婚して三年。夫婦仲は良好だったが、医者一家の義母からは学歴や職業を理由に見下され、嫌がらせを受け続けていた。そんな中、義弟の陸が看護師のかな子と結婚することに。義母は二人の豪華な披露宴を自慢し、誠への嫌味をますます強めていく。そして迎えた結婚式当日。朝早くから会場にいた誠のもとへ、義母から突然の怒鳴り電話がかかってきた。しかし、義父が電話を代わった瞬間、思いがけない事実が浮かび上がる。嫁姑|夫婦|真実|裏の顔1.6万字5 375 -
完結第10話
正月の高級焼肉、嫁の席だけ外した義母の誤算
結婚して六年、藤森美代は毎年正月になると、夫の実家で親戚たちの世話を押しつけられていた。集合写真にさえ入れてもらえず、いつも一人だけ台所で過ごしてきた。今年は赤坂の高級焼肉店で集まると聞き、ようやく皆と食事ができると思っていたのだが、出発直前、義母から「嫁の分は予約してない」と告げられる。怒った夫はその場で帰宅を決意。ところが、二人が帰った途端、義母と義姉は思いがけない事態に追い込まれる。高級焼肉の予約に隠されていた、二人の本当の狙いとは……。兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|ATM扱い1.7万字5 1634 -
完結第12話
結婚式当日「新婦が救急搬送」私、ここにいますけど?
高校時代から付き合ってきた健二と、ようやく結婚することになった警察官の愛。式の準備をほとんど任せきりにする健二に寂しさを感じながらも、愛は幸せな結婚生活を信じていた。 ところが結婚式当日の朝、式場に「新婦の愛さんが病院に運ばれた」という連絡が入る。愛本人は、ウェディングドレス姿で控室にいるというのに。 しかも病院の女性は、健二を呼んでほしいと言っているらしい。そこへ遅れて現れた健二は、愛の姿を見るなり顔色を変えた。 病院にいる「愛さん」は誰なのか。そして、長年信じてきた婚約者が隠していた秘密とは――。因果応報|人生逆転|夫婦|修羅場1.3万字5 813 -
完結第18話
夜勤明けに鍵を替えられた私
看護師長として働く千歳は、後輩に昇進で追い抜かれ、仕事を休みがちになった夫・徹を支えようとしていた。ところが徹は次第に横柄になり、家事を押しつけ、「妻なら夫に従え」と言い始める。そんなある朝、夜勤を終えて帰宅した千歳は、玄関の鍵が替えられていることに気づく。「ダメ嫁への躾だ。謝れば入れてやる」と笑う夫に、千歳は「あっそ。さようなら」とだけ告げて立ち去った。妻が本気で戻らないと知った徹は、どんな行動に出るのか。自分の人生を取り戻そうとする女性の再出発を描く物語。人生逆転|嫁姑|夫婦|金銭問題2.6万字5 993 -
完結第10話
もやしと消えた仕送り
フリーランスのデザイナーとして働く里見は、一人暮らしの母・春江に毎月10万円を仕送りしているつもりだった。ところが、久しぶりに訪ねた実家で目にしたのは、冷やご飯ともやしだけの寂しい食卓。母は仕送りなど一度も受け取っていないと言う。家計を任せていたのは、優しく頼りになる夫の久し。疑念を抱いた里見が夫のスマホを確かめると、そこには信じがたい送金記録と、妻をあざ笑うメッセージが残されていた。さらに、夫が隠していた給与明細にも不可解な数字が……。信じていた家族の裏切りを知った里見の反撃が始まる。裏切られた|嫁姑|親子関係|金銭問題1.5万字5 816 -
完結第10話
「中卒女に現場は無理」職人10人が辞めた結果
中学卒業後、十五歳で職人の世界に飛び込んだ堀江千夏。三十二歳で工務店の現場責任者に抜擢されるが、古参の職人頭・岩木は「中卒の女に現場が回せるか」と嘲笑う。やがて岩木を含む十人が一斉に退職。大型介護施設の改修工事は納期目前なのに、残された職人はわずか三人だった。しかし千夏には、十七年間積み重ねてきた技術と、二十冊を超える黒い手帳があった。仲間とともに現場の立て直しに挑む千夏。その一方で、手帳に記された資材の数字が、会社に隠された不審な事実を浮かび上がらせていく。職場逆転|因果応報|人生逆転|修羅場1.3万字5 361 -
完結第20話
夫の昇進を伝えた瞬間、父が命じた全財産の移転
夫・達也の専務昇進を喜んだ美桜。ところが父に報告すると、返ってきたのは祝福ではなく、「財産をすべて母さんの名義に移しなさい」という不可解な指示だった。昇進を境に夫は横柄になり、義母まで豪邸と通帳を自分たちのもののように扱い始める。さらに、高額な宝石の領収書や会社の不審な資金移動が見つかり、美桜は夫の裏の顔を知っていく。嫁姑|夫婦|金銭問題2.5万字5 1413