"時給951円と捨てられた妻の正体" 第3話
「ええ。たった今、区役所に届を提して受理されました。黒田社、これまで私の勝な配慮のせいで、社内において透さんに過度な忖度をいることになり、本当に申し訳ありませんでした」
私がをげると、黒田社は「とんでもない!」と話できく叫んだ。
『何を仰いますか! 救われたのはこちらの方ですよ! 神崎様がが社の株主であられる、会のご子息であり、あなたの夫である透君を無に扱うわけにはいかず、能力もないのに課職に据え置いてきましたが……社内の満はもう限界点に達していたんです!』
黒田社が吐きすように語った内容は、私の像を遥かに超えるものだった。
透は課に昇して以、自らの柄はすべて部の成果を横取りしたものだったこと。 な発注ミスを犯した際には、入社員に責任を擦り付けて辞職に追い込んだこと。 そして何より――このか、会社の経費を使っての彩と級ホテルに入り浸り、な取引先との商談をすっぽかして、数千万円規模の契約を破談に追い込んでいたこと。
『営業部からも総務部からも、透君に対する解雇請の嘆願が私のデスクに積みになっていたんです。しかし、神崎様のお顔にを塗るわけにはいかないと、役員同で必に耐え忍んでいたところでして……』
黒田社は、ゴクリと唾を呑み込んだ。
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『神崎様。確認させてください。……もう、彼に対して私どもの方で切の忖度をする必は、ございませんね?』
「ええ、もちろんです」 私はれの空を見げ、氷のように徹な笑みを浮かべた。
「法にはもう、赤のですから。会社の定款と就業規則に則り、最も厳しい処分をしてやってください」
『ありがとうございます! それでは本付で、緊急の懲罰委員会を招集いたします!』
話を切った瞬、私のスマートフォンのプライベート端末に、見らぬ番号からメッセージが届いた。 くと、そこにはの彩が、透のベッドで私の用していたマグカップをに掲げてピースサインをしている写真が添付されていた。
《オバサン、素直にていってくれてありがと〜w 今から私がこの部の奥様だから! 透くんの収千万、ぜーんぶ私のものね♡》
私はそのメッセージに返信することなく、静かに魚拓を保した。 そして、タクシーの窓のを流れるビルを眺めながら呟いた。
「ええ、どうぞご自由に。……その収が、今の夕方まで残っていればいいけれど」
アークシステムズ本社ビル、階。 営業企画課のフロアには、朝から透の尊な笑い声が響き渡っていた。
イタリア製のオーダーメイドスーツにを包み、級ブランドの腕計をチラつかせながら、透はデスクにを投げすようにして座っていた。
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「おい、佐藤! 俺のデスクの皿、まだ吸い殻が残ってるぞ。さっさと片付けろ!」 「す、すみません、課……ただいま!」
代半の輩社員がペコペコとをげながら駆け寄るのを、透は嘲笑混じりに見ろした。 昨夜、目障りだった妻をゴミ袋と共に叩きし、の彩と級ワインで乾杯した余韻が、まだ全を満たしていた。
(収千万円、企業の最課……。俺は選ばれたなんだよ。あんな百円のなババアとを共にするなんて、冗談じゃない。これからは彩のようなトロフィーワイフを侍らせて、役員へ駆けがるだけだ)
透が悦に入りながらパソコンの画面をいた、そのだった。
カツ、カツ、カツ。
フロアの静寂を切り裂くように、な革靴の音がづいてきた。 現れたのは、総務事部の厳格な顔つきだった。そのろには、普段めったに現フロアへりてこない法務担当の執役員まで従えている。
「園田課」 「あ、事部! おはようございます。次のクォーターの営業戦略ですが、俺の指揮のもとで部に完璧な資料を作らせて――」
「弁は結構です」 事部は透の言葉をややかに遮り、元のバインダーから枚のい用を差しした。
「本午より、会議にて臨懲罰委員会を催します。園田課、単独でしてください」
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