"時給951円と捨てられた妻の正体" 第7話
従っていただけないは、法占拠者として警察へ通報し、柄を引き渡すことになります」
「待て……待ってくれ! く当てがないんだ! もないんだよ!」
「それはご自の責任でしょう。あなたが昨、神崎様の荷物をゴミ袋に詰めて廊へ放りしたのと、まったく同じことですよ」
担当者はややかに言い放ち、背の作業員に目配せをした。
「に戻ってまいります。それまでに退が完していない、内の残置物はすべて産廃処理業者へ引き渡しますので、そのおつもりで」
バタン。
ドアが閉ざされ、透は暗い廊に取り残された。
部のに戻ると、壁掛け計のカチカチという秒針の音だけが、刑執のカウントダウンのように響いていた。 昨、自分が葉に対して放った言葉が、巨なブーメランとなって自らのへとり注いでくる。
『ここは俺のだ。役たずはさっさとていけ』 『俺に捨てられたら、おはきていけない』
きていけなかったのは、どちらだったのか。 寄していたのは、体どちらだったのか。
透はを抱え、を爪で掻きむしった。 だが、どれほど悔やんでも、は容赦なくんでいく。
午分。 透は、彩が持っていかなかった古びたジャージと、数冊の通帳、そしてスマートフォンだけをコンビニのレジ袋に詰め込み、逃げるようにマンションのエントランスをびした。
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そして午ちょうど。 振り返った透の界ので、〇号の窓のかりが、プツンと音をてるように完全に消えった。
夕暮れのたいが、吹き抜ける。 持ちの所持は、財布ののわずか千円余り。 く当てもなく、着るもなく、仕事も失い、にも逃げられた男が、のにぽつんと放りされた瞬だった。
それからかが過ぎた、の半ば。
都の喧騒かられた、緑豊かなオフィスにそびえつ層ビル。その最階にある『神崎グローバルサービス』の本社役員フロアで、私は元の決済類に万をらせていた。
「専務、来期の全国清掃インフラ事業の統括プラン、各支社からの承認がすべてりました」 秘の女性が、淹れたての温かいハーブティーをデスクに置いてくれる。
「ありがとう。……現の作業員さんたちの特別季当、当初の予算からパーセント乗せしておいてね。寒くなるから、防寒着の支も倒しでめてちょうだい」
「かしこまりました。さすが専務、現のお気持ちを番よく理解していらっしゃいます」
窓のには、抜けるようなれの青空が広がっていた。 透と婚してからの、私の活は驚くほど穏やかで、産なびに満ちていた。 理尽なモラハラや暴言に怯えることもなく、帰宅すれば清潔で静かな自分の部が待っている。
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週末にはの実へ顔をし、義両親――いや、今や私にとっての「実の父母」となった修造と静の料理をべながら、穏やかなを過ごしていた。
しかし――。
デスクのに置いてあった私の個用スマートフォンが、ブブブブッ、と激しい振を始めた。 画面を見ると、着信通の数字が恐ろしい勢いでねがっている。
【着信:312件】 【留守番話:84件】 【メッセージ:526件】
すべて、公衆話、あるいは見らぬ携帯番号からのものだった。 着信拒否をしても、別の番号から次々と執拗に発信され続けている。 朝フル充にしておいたバッテリーが、を帯びてすでに残りパーセントを切っていた。
「……まだ諦めていなかったのね」
私はややかな吐息を漏らし、メッセージのプレビュー画面をいた。 そこに並んでいたのは、もはやの言葉とはえない、狂乱と怨嗟の叫びだった。
『葉! 話にろ! 俺だ、透だ!』 『おが会社にを回したんだろ!? 俺を懲戒解雇にしやがって! 訴えてやるぞ!』 『頼む、葉、助けてくれ……! 彩にを持って逃げられたんだ! サラから毎取りてが来てるんだよ!』 『親父もお袋も俺をに入れてくれない! おが吹き込んだんだろ! 俺の親父を説得しろ! これは夫としての命令だ!!』
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