"正月、娘に熱汁を浴びせた義兄へ110番" 第6話
義実では「げさだ」「ちょっとが滑っただけだ」と切り捨てられた娘の痛みが、ここでは紛れもない「な傷害」として、客観な医学の言葉で証されたのだ。
処置をると、待の子で結が疲れたように私の膝枕で丸くなった。 痛み止めのシロップが効いてきたのか、さな寝息をて始めている。 その額にそっとを当てた、バッグののスマートフォンがブブッと振した。
画面をくと、輪署の警部補からの着信だった。 私は結を起こさないよう、静かにへ当てた。
『神さん、病院での処置はいかがでしたか』 「第度傷と診断されました。全治ヶ、診断も作成していただきました」 『そうですか……痛ましいことです。……奥さん、現の確認についてご報告があります』
警部補の声は、先ほどよりも段とく、々しくなっていた。 『ご自宅の防犯カメラのハードディスクから、該当刻の映像データを無事に保全・押収いたしました。……すでに署のモニターで確認をいました』
「……映っていましたか?」 私の問いに、警部補は確に答えた。
『ええ。極めて鮮に記録されていました。……義兄の神幸夫氏ののき、椀の軌、そして浴びせかけたの周囲の状況まで、すべてです』
『映像を確認した結果を、捜査の守秘義務に触れない範囲でお伝えします』 警部補は静かに語り始めた。
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『神幸夫氏は、お子さんがグラスを落とした直、らかに自分の元のお椀を両で持ち直し、腰を浮かせて、お子さんの半を狙うようにして斜め方へ振りろしていました』
私の息が止まった。 ので、あの瞬の景がスローモーションのように蘇る。
『「が滑った」という供述とは、物理にまったく矛盾しています。が滑っただけであれば、お椀は真の畳に落ちるはずです。しかし映像では、確に腕を方へ突きし、を浴びせかけた、椀そのものをへ投げつけていました』
「……やっぱり」 私の拳が、くなるほどく握り締められた。 あの男は、最初から結を狙って、故に湯を浴びせかけたのだ。
『さらに、受傷したお子さんが泣き叫び、奥さんが台所へ駆け込んだ……居にいた神幸夫氏、ならびにご族のもすべて記録されています』 警部補の声に、隠しきれないりが滲んでいた。
『幸夫氏はビールをみながら笑い、義母の幸子氏はお椀に残った具を指差して嘲笑していました。そして、夫の健太氏は、奥さんが百番通報をしている最、テレビ台のの録画装置の源コードを抜こうとして、義父の清氏に止められている姿が映っていました』
「健太が……証拠を消そうとした……?」 私の喉から、信じられないという呻きが漏れた。
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実の父親が。 自分の娘の傷の処置を伝うどころか、警察が来るに、兄の犯を証するカメラの源を引き抜いて隠蔽しようとしていたのだ。
『清氏が「警察に目をつけられたら余計にマズい」と止めたため、データは無傷で残りました。……奥さん。これは過失傷害ではありません。刑法第百条【傷害罪】の構成件を完全に満たしています。現、神幸夫氏を当署へ任同し、本格な取り調べを始しています』
「被害届を、正式に提します」 私は迷うことなく、即座に答えた。
「示談には切応じません。厳な処罰を望みます」 『承いたしました。診断が発され次第、署の方へお持ちください。……奥さん、今夜はお子さんと緒に、ご実など全な所でお休みになれますか?』
「はい。実の兄のへ向かいます」 『分かりました。神健太氏やご親族が接触してこないよう、当署からも厳に警告を発しておきます。何かあれば、迷わず百番してください』
話を切った瞬、スマートフォンが激しく震を始めた。 画面に表示されたのは――【健太】。
度切れても、髪を入れずに度、度。 さらにメッセージアプリの通が、滝のように画面を埋め尽くしていく。
『美奈! 話にろ! 変なことになった!』 『兄貴が警察に連れてかれたんだぞ! パトカーで連されたんだ!』 『母さんが過呼吸で倒れて救急を呼ぶ騒ぎになってるんだぞ! お、族をめちゃくちゃにする気か!?』 『頼むから被害届を取りげてくれ! 兄貴が科者になったら、俺の会社でのも昇も全部パーになるんだよ!!』
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