"正月、娘に熱汁を浴びせた義兄へ110番" 第12話
勤務先には制執の通が届くことになりますが、よろしいですね?」
調委員が静かに頷いた。 「神さん。お子さんの負った肉体・精神苦痛のさを考えれば、極めて妥当な請求です。これ以の争いは、あなた自の首をさらに絞めることになりますよ」
。 調をてきた健太は、廊のベンチの横で私のにちふさがった。 「美奈……頼むよ。目だけでいい、結に会わせてくれ……『パパは悪くなかった』って、言だけでも言わせてくれよ……!」
私はち止まり、元夫の目を真っ直ぐに見据えた。 「健太。あなたが今言ったその言葉が、あなたが父親失格である最の証拠よ」
「……え?」 「あなたは最まで、『自分が悪くなかった』と言い訳したいだけ。結の痛みを抱きしめる気なんて、最初からミリもない。……度と、娘のに現れないで」
私は背を向け、弁護士と共に歩きした。 背で、健太が崩れ落ちるように膝をつく音が聞こえたが、私は度も振り返らなかった。
、休みがけた始業式の朝。 学ので、私は結のさなを握りしめていた。
腕の包帯はガーゼとサポーターに変わり、以よりは目たなくなっていたが、袖のセーターの腕だけがし膨らんでいる。 「……ママ、みんなに聞かれたら、どうしよう」 結のが、昇のでピタリと止まった。
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その瞳には、傷の痛みよりもい、「友達にどうわれるか」という恐怖が宿っていた。
私はたいので膝をつき、結の目のさに線をわせた。 「結、よく聞いて。結はね、何も悪いことをしていないの」 結のを、両で包み込む。
「コップを割ったのは、ただの失敗。失敗は、誰にだってあるの。謝って、お片付けすればそれでいいの。……いものをかけられたのは、結のせいじゃない。痛いいをした結は、何も恥ずかしいことなんてないんだよ」
結の瞳が、微かに揺れた。 「だからね、もし誰かに聞かれたら、『傷しちゃったの。でもお医者さんに治してもらってるから丈夫だよ』って、それだけ言えばいいの。それ以、何も説しなくていい。ママが、先にも全部お話ししてあるからね」
「……うん」 結はく息を吸い込み、さく頷いた。
職員では、事に兄・政治の助言を得て作成した『配慮願い』を担任教諭と学主任、養護教諭に渡してあった。 庭内の傷害事件であること。警察と弁護士が介入していること。 そして何より――結が腫れ物に触るような特別扱いをされず、しかし患部への接触や突発なきな物音から守られる環境をえてもらうこと。
「お母さん、ごください」 代の担任教諭は、私の目を真っ直ぐに見つめて言ってくれた。
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「結ちゃんがして笑える教を、私たちが全力で作ります。体育の見学や着替えのサポートも、養護教諭と連携して自然にいますからね」
教の引き戸がき、クラスメイトの女の子たちが駆け寄ってきた。 「結ちゃん、おはよー! あ、腕どうしたの?」 瞬、結の肩が張った。 しかし、結は私の顔を振り返り、それから友達に向き直って、凛とした声で言った。
「ちょっと傷しちゃったの。でも、もう痛くないよ!」 「そっかー! じゃあ今の図、絵の具運ぶの伝ってあげるね!」
友達にを引かれ、笑顔で教のへと入っていく結の背。 そのさな取りを見た瞬、私の胸の奥で堰き止められていた涙が、温かい筋となって頬を伝った。
守り抜いたのだ。 あの腐敗した親族の悪から、娘の尊厳と、未来の笑顔を。 私の戦いは、違っていなかった。
旬の夕暮れ。 法律事務所での打ちわせを終え、私がエレベーターホールへようとしただった。 ビルの通用の物から、異様な気配を放つがびしてきた。
「美奈さんッ!!」
ボサボサの髪に、染みだらけの古いコートを羽織った義母・幸子だった。 にはきな袋を抱え、血った目で私に掴みかかろうと突してきた。
「ひっ……!」 私が咄嗟にを引くと、幸子は私の元に膝をつき、袋から取りした茶封筒の束をに叩きつけた。
「およ! 百万……いや、百万円あるわ! 私のへそくりと貴属を全部売って面したの! だから……だから幸夫を助けて! 被害届を取りげて示談に判を押してちょうだい!!」
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