"帰ってきた姉を母は拒んだ" 第7話
しかし次の言葉で消えた。
「ですから、結婚自体を取りやめろとまでは申しません」
「ありがとうございます」
がをげた。
子は宗郎を見たままだった。
「ただ、つ条件があります」
やはり。
そうった。
「お姉さんとは、今お付きいを控えていただきたい」
座敷が静まり返った。
「どういうでしょうか」
子が聞いた。
「そのままのです」
「会わないということですか」
「必がなければ」
「冠婚葬祭も?」
宗郎はし眉を寄せた。
「そういったところへ入りすれば、どうしてもの目につきます」
「私に子どもがまれても、会わせない?」
「子さん」
が止めようとした。
宗郎は母を制した。
「はっきり申しげましょう。こちらにも商売があります。材商というのは信用で成りっています。古い考えだと言われても、世というものはある」
「姉ちゃんは犯罪をしたんじゃありません」
「それは分かっています」
「だったら」
「分かっていることと、噂がたないことは別です」
子は何も言えなくなった。
宗郎は、悪のようには見えなかった。
むしろ落ち着いていた。
子本は悪くない。
だから結婚は認める。
ただし姉だけをに置く。
と同じだった。
8の父と同じだった。
を切れば、残りは守れる。
「ご理解いただけると助かります」
宗郎はちがった。
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その、は玄関で何度もをげた。
子は座敷からけなかった。
夜になって浩本が来た。
子は、彼だけは違うといたかった。
は子どもの頃から顔見りだった。
縁談がまとまるから話したことがある。
浩はいつも穏やかだった。
「親父の言い方はひどいとう」
最初にそう言った。
子は顔をげた。
「だったら姉ちゃんと縁切らなくていいって言って」
浩が黙った。
「浩さん」
「縁を切るとか、そんなげさな話じゃないよ」
「じゃあ会っていい?」
「子」
「子どもがまれたら姉ちゃんに抱いてもらっていい?」
浩は答えない。
その沈黙で分だった。
「結婚したら、姉ちゃんのことを周りに話さなきゃいいだけだろ」
子の胸がたくなった。
「いなかったことにするってこと?」
「そういう言い方するなよ」
「同じだよ」
「現実を考えようって言ってるんだ」
浩の声に苛ちが混じった。
「俺だってがある。親父も取引先にげてる。子が悪くないのは分かってるよ。でもわざわざ波をてる必ないだろ」
子はちがり、箪笥の引きしから領収と為替の控えを持ってきた。
浩のへ置く。
「何だ、これ」
「私の女学の入学」
浩が見る。
「姉ちゃんの送ったお」
次の枚。
「私が嫁入りに持っていく箪笥」
「子」
「これにも姉ちゃんのおが入ってる」
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浩の顔が変わった。
「姉ちゃんのおで学って、姉ちゃんのおで買った箪笥持って、姉ちゃんとは縁切ってそっちのへくの?」
「それとこれとは別だろ」
「私には別じゃない」
「子、になるなよ」
その言で、何かが切れた。
子は静かに聞いた。
「もし姉ちゃんじゃなくて、あなたのお兄さんだったら?」
「何が?」
「あなたのお兄さんが、の借のためにに言えない仕事をさせられて、何もにを送ってたら」
浩は答えなかった。
「そのおであなたが学って、を継いで、それで結婚するに相から『兄とは縁切って』って言われたら、切れる?」
「男と女は違う」
子は浩を見た。
浩自も、言ったあとでまずいとったらしい。
しかし言葉は戻らない。
子は座敷の隅に置かれた結納品を見た。
「帰って」
「子」
「今は帰って」
浩はしばらくっていたが、何も言わずにていった。
その夜。
子はほとんど眠れなかった。
婚約をやめるつもりなのか。
自分でも分からない。
浩を嫌いになったわけではない。
結婚したかった。
にはで崎へ買い物にく約束もしていた。
しいへけば、今より楽な暮らしになる。
それを全部捨てられるほど、子はくなかった。
だからこそ苦しかった。
翌朝。
子は自分で結納品を箱へ戻した。
つずつ。
が見つけた。
「子、何してるの」
「返す」
「待ちなさい」
「返す」
「本当にいいの?」
その言葉で子のが止まった。
「よくないよ」
涙が落ちた。
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