"「親呼んでみろ」新人の父を見た部長" 第12話
むしろ、佐藤が仕掛けた数々の横領作に対し、あなたが現の帳簿をギリギリまで正常に保ち、審なデータを隠しフォルダに保管し続けてくれていたからこそ、々は全容を解できたのです。監査チームは、あなたの几帳面な仕事ぶりを極めてく評価していますよ」
さらに、社が枚の類を渡した。 「それから、君。親会社である神崎ホールディングスの福利共済会より、君の母親の療養型医療施設への特別介護支援の付が正式に決定した」
「え……?」
「費用の全額をグループの基から無利子で補助する。君が私財を削って母親を支えてきたことは、英治会のにも届いている。『族を命がけで守るこそが、真のリーダーにふさわしい』――会直々のメッセージだ」
由美先輩の瞳から、粒の涙がポロポロと零れ落ちた。 机にをつき、肩を震わせて泣きじゃくる。 それは、数にわたって彼女の首を絞め続けていた「貧困と介護とパワハラ」の苦から、完全に解き放たれた瞬の涙だった。
「そして、もうつ辞令がある」 社が私の方を振り返った。
「神崎健君。君を、本付で【営業第部・部補佐兼コンプライアンス特命担当】に任命する」
「謹んでお受けいたします」 私が礼すると、田先輩と林先輩が息を呑んで私を見つめた。
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朝礼が終わり、役員たちが退した、の先輩が恐る恐る私のデスクへと歩み寄ってきた。 「あ、あの……健……いえ、神崎補佐……」
「田先輩、林先輩」 私はちがり、の目を見て優しく微笑んだ。 「役職名で呼ぶのは社だけにしてください。私は今でも、おの輩の健です」
「健君……!」 田先輩の目から、堰を切ったように涙が溢れした。 「すまなかった……! 曜の夜、君がビールをかけられていた、俺は自分のクビが怖くて、を向いて笑って誤魔化して……! 最のだ! どんな処分でも受ける!」
林先輩もをげた。 「俺もだ……佐藤が怖くて、由美ちゃんに雑用を押し付けてるのをってて見逃してた……本当に申し訳なかった!」
「おとも、顔をげてください」 私はの肩にを置いた。 「恐怖で支配された現で、誰かが犠牲になるのを見ているしかなかった苦しみは、私も現にいたから分かります。……過を悔やむより、今から、由美部を支えて、本誇れる営業部を作りましょう」
「健君……! ああ、任せてくれ! 命がけで働くよ!」
が涙を拭い、力く頷く。 かつて湿な沈黙が澱んでいたオフィスに、初めて、互いを信頼しう温かなが差し込んだ瞬だった。
同じの午。京拘置所の暗い取調。 机のに座らされた佐藤は、目のに座る警庁捜査課のベテラン警部をに、抜け殻のように項垂れていた。
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「佐藤秀夫。観して全容を自供しろ」 警部は元の捜査報告を叩いた。
「おが架空請求を始めたのは、今から。マテリアルが経営危に陥り、神崎ホールディングス傘に入る直の混乱期だな。常務と共謀し、取引先への発注を偽造して裏を作っていた」
「……全部、の指示だったんです」 佐藤は掠れた声で、往際悪く呟いた。 「俺は逆らえなかった……逆らえば世コースからされるとって……」
「笑わせるな」警部は笑した。「常務からのキックバックはおが割、が割だ。おの主導でペーパーカンパニーを作り、妻の名義を使って隠蔽していた。主犯はおだ」
警部は枚の写真を佐藤のに滑りさせた。 そこには、今朝、マテリアルの朝礼で、しいスーツを着て社員たちのにつ私の姿が写っていた。
「神崎健……」 佐藤の瞳に、再び憎悪のがギラリと宿った。 「あいつだ……! あのガキが、親のりで俺を罠に嵌めたんだ! ただののくせに、最初から俺をハメるために潜り込んできたスパイだったんだよ!」
「まだそんなことを言っているのか」 警部はいため息をつき、元のバインダーから、ある枚の内部文を取りした。 それは、入社選考の事評価シートの原本だった。
「これを見ろ、佐藤」
佐藤がおずおずと線を落とす。
そこには、最終面接を担当した役員たちの評価が記されていた。
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