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"「親呼んでみろ」新人の父を見た部長" 第14話

……私のを救ってくれたのは、あなたよ」

「いいえ」私は首を横に振った。 「救ったのは、由美部ご自の誠実さです。どんなに過酷な環境でも、顧客を裏切らず、私のようなを守ろうとしてくれたあなたの優しさが、結果としてすべてをかしたんです」

に、言葉のいらない温かな沈黙が流れる。 窓のには、夕暮れに染まる京タワーの美しいシルエットが広がっていた。

しかし――平穏な々の裏で、拘置所に繋がれた佐藤と京子の「司法の裁き」のが、刻刻とづいていた。

え込みが残る、方裁判所・第号法廷。 廷を告げるブザーが鳴り響き、傍聴席を埋め尽くした報陣と関係者が斉にを正した。

法廷の央、被告席に引きずりされた佐藤秀夫と妻の京子は、錠をされた両で揃え、震えながらっていた。 かつてのピカの計も、オーダーメイドのスーツも、毛皮のコートもない。 与えられた物ののトレーナーを着崩し、髪だらけのを垂れるの姿は、れな老のようだった。

「判決主文」 裁判が、静まり返った法廷に厳格な声を響かせた。

【被告・佐藤秀夫を、懲役に処する】 【被告・佐藤京子を、懲役、執猶予に処する】

法廷内に、さなどよめきがった。

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横領額のきさと、部に罪を擦り付けようとした犯態様の悪質性がく見られ、主犯である佐藤には状酌量の余なしとして、実刑判決がされたのだ。

裁判が量刑の理由を読みげていくで、特に言及されたのは、被害者参加制度を利用して廷した由美部の『見陳述』の内容だった。

――裁判が、由美部の言葉を引用する。 『被告は、会社の資を私利私欲のために横領しただけでなく、真面目に働く社員の活と族の命を脅かし、自らの代わりとして破滅させようとしました。その為は、を殺す為になりません。司法の厳正な裁きをく求めます』

佐藤はその言葉を聞きながら、ボロボロと粒の涙をに零した。 しかし、その涙は悔悟の涙ではなく、ただ自分が刑務所へかなければならないという自己憐憫の涙に過ぎなかった。

閉廷が告げられ、刑務官に両腕を掴まれた佐藤が、退廷の扉へと引かれていく。 その、佐藤の線が、傍聴席の最列に座る私と由美部の姿を捉えた。

「ゆ……由美……! 健……!」 佐藤が掠れた声で叫ぼうとした。 だが、由美部は微だにせず、氷のような徹な差しで、連されていく元司を見据え続けた。 私もまた、無言のまま、静かに線を返した。

れみも、りも、もうそこにはなかった。

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自らの欲望に溺れ、者を踏みにじった者が辿り着くべき、必然の終着駅。 男が消えった扉を見つめながら、私はく息を吸い込んだ。

法廷のると、ひとつないの青空が広がっていた。 初の柔らかな差しが、裁判所の亜の階段を照らししている。

「終わったのね……」 由美部が眩しそうに空を見げた。 「ええ。完全に終わりました」

私たちは歩きした。 過の悪を完全に背に置きりにして、自分たちが切り拓くべき、しい未来の現へと。

佐藤秀夫が刑務所の分いコンクリートの壁の向こうへ消えってから、が流れた。

の喧騒かられた、帯。 真の容赦ない太陽が照りつける産業廃棄物処理の敷内で、と油にまみれた作業着を着た男が、い鉄パイプを背負って喘ぎながら歩いていた。

仮釈放を認められず、の満期を務めげて所した――佐藤秀夫(歳)だった。

刑務所での過酷な労役によって、かつて肥え太っていた肉体は見るもなく痩せ衰え、腰の骨を痛めてを引きずっていた。 科者となった初老の男を雇ってくれる所など、雇いの産廃処理や解体現しかなかった。

、千円。 かつて「円の役たず」とを嘲笑っていた男が、今やそれとほぼ変わらない最で、炎を啜りながら肉体をすり減らしていた。

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