みかん小説
本棚

"300億円の恩返し" 第4話

さらに、克彦が震える声で状した。 「……き、今の式配も、最初からキャンセルする提だったんです。昨の夕方には、招待客の百名……当の取引先や支には、『郎側の祥事により式は止となった』と根回しを済ませていました」

郎側の……祥事?」

「え、ええ……。そう伝えておけば、うちのの傷にはなりませんから。……兄貴さんには今朝にここに来てもらって、タキシードを着せてで待たせておけば、完璧な『ドッキリ成功』の画が撮れると……姪のリオがYouTubeに投稿してバズらせようと……」

「……」

私は拳をく握りしめた。爪がのひらにい込み、血が滲むのをじた。 兄がに徹夜でげ、定規で線を引いて清していた名の招待客名簿。 建材会社の同僚、代の友の葬儀で典を包んでくれた所の夫婦、そしてお世話になった理髪主。

その名簿を、正子は受け取ったそののうちにシュレッダーに放り込み、兄には「費用の都で親族だけにしてくれ」と嘘をついていた。 兄は同僚たちに「内だけの式になった、を取り消してくれ」とげ、それでも彼らに申し訳ないと、駅の古い居酒を自費で予約して次会を用していたのだ。

すべては、この腐りきったの「画のネタ」

広告

と「流階級への見栄」のために仕組まれた茶番劇だった。

「……なぜ、私の会社が百億円を預けていたか、周、あなた分かりますか?」

私の問いかけに、周は脂汗をダラダラと流しながら、ガクガクと首を横に振った。 「し、らん……! うちの営業が優秀で、取引を獲得したとばかり……」

「優秀? 笑わせないで」 私はバッグから、角の擦り切れた通の古い茶封筒を取りした。 に発された、古びたの用

「今から、私が歳で会社を興した元には兄がくれた百万円しかありませんでした。のラインを抑え、原料を仕入れるために、どうしてもあと千万円の運転資が必だった。……私は都内の都回りました。どこも払いでした。『代の女の実績のない会社に貸せるはない』と」

のドアの隙から、片付けをしていたホテルのスタッフたちが、異様な雰囲気に気づいて巻きに覗き込んでいた。

目に訪れたのが、の板でした。。窓で引いた番号札は【番】。……ロビーのいベンチで待たされた、奥のさなブースで私の事業計画を受け取ってくれた融資課がいました」

私の声が、静かに控に響き渡る。

広告

「その課さんは、私の稚拙な事業計画を、指先で数字を追いながら最まで言も笑わずに読んでくれました。『うちで融資できるかは分からないが、この計画は素らしい。本部へ通す努力をしてみます』と」

の目が泳ぐ。 「し、しかし……実績のないベンチャーに千万の無担保融資など、通るはずが……」

「ええ、通りませんでした。本部の審査で蹴されたそうです。……そこで、兄がいたんです」

私は茶封筒から、枚目の類を引き抜いた。 【連帯保証契約確認公正証】。 主債務者・株式会社未令。 そして、連帯保証の欄には、太く几帳面な文字で――【柏琢磨】と署名され、実印が鮮やかに押されていた。

「当百万円台だった兄が、自分の全財産と将来を担保に差しし、連帯保証になったのよ。『もし妹が返せなくなったら、俺がかけて倉庫で働いて返します』と、支げてね」

兄の琢磨が、ハッと顔をげた。 「ミレイ……お、そのを……」

「持っていたわよ、ずっと。……私はあの千万円を、に物狂いで働いてで全額返済した。そして、ブランドが世界展し、何百億という資くようになっても、私はグループの決済座と主力預を、絶対にからかさなかった」

私は周の胸元を指差した。 「利が良かったからじゃない。

利便性がかったからでもない。……歳の何者でもなかった私の背を押し、兄が命を懸けて信じてくれた所だったからよ。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: