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"300億円の恩返し" 第8話

正子はその娘の姿を見て逆し、私を指差してキーキーと叫びてた。

「あんたたち、覚えてらっしゃいよ! たかが百億の預かしたくらいで、調子に乗るんじゃないわ! うちのの顧問弁護団を総員して、業務妨害で訴えてやるから! 世が許さないわよ、こんな横暴!」

そのだった。 背でずっと青ざめた顔でスマートフォンを凝していた克彦常務が、喉から引き裂かれるような鳴をげた。

「お、おい……! 母さん……! 親父……! もう終わりだ……! 完全に終わったんだよぉぉっ!!」

「何なのよ克彦! みっともない声をげて!」 正子が鳴りつける。

克彦は震えるで、自らのスマートフォンを両親の目のに突きした。 画面に映しされていたのは、X(旧Twitter)とYouTubeの急昇ランキングのトップ画面だった。

【#の結婚ドッキリ】 【#パワハラの末】 【#庶民を見すエリート族の胸糞画】

回数――わずかで【万回】突破。 リツイート数――万件。

画面ので再されていたのは、先週の親族会で、姪のリオが面半分に撮し、今朝ドッキリの成功を誇らしげに全世界へ公した、あの忌まわしい画だった。

『ドッキリ成功〜! 柏さん、本当にに入れるとってたんですか?w』 『の程をるというのはこういうことだ! 庶民が図に乗るなよ!』 音量で響き渡る周の傲な声と、正子の品な笑い声。

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そして、座敷の真んで直のまま、侮辱に耐えてき母のい、々とげる兄の姿。

コメント欄には、数万件に及ぶりの炎が渦巻いていた。

『うわ、胸糞悪すぎる……これがのトップの正体かよ』 『、即座に座解約してきたわ。こんなクソ預けてられるか』 『結婚詐欺とパワハラだろこれ。警察けよ』 『郎さんがすぎる……こんな仕打ちに耐えてってる姿見て涙た』

「な……な、何だこれはぁぁぁッ!?」 周の目がさんばかりに見かれた。

「リオが……姪のリオが、今朝調子に乗ってTikTokとYouTubeに全体公でアップしやがったんだ!」 克彦がを抱えて叫んだ。 「消そうとしたけど、すでにまとめサイトや暴系インフルエンサーに全編転載されて、魚拓が拡散されてる! の広報部にも、全国から抗議話が殺到して回線がパンクしたって……!!」

自らが誇示するために残した「悪の記録」が、最悪の自爆スイッチとなって、全世界に向けて炸裂したのだ。

成沢専務が、ややかに言い放った。 「……因果応報ですな、周を呪わば穴つ。……貴方方が踏みにじった誠実さは、今やりとなって、このを焼き尽くそうとしています」

は胸を押さえ、目を剥いてそのに卒倒した。 「あ、あなたーっ!?」

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正子の鳴が響き渡る。

叫喚の獄絵図と化した控で、私は兄の肩を優しく抱き寄せた。 「……お兄ちゃん。こう」

兄はゆっくりと頷き、度も振り返ることなく、私とともに歩きした。 れのが、け放たれた扉の向こうから、私たちを祝福するように眩しく差し込んでいた。

の夕暮れ。京の町、JRのガードに赤提灯が灯る駅角に、階建ての古い衆居酒『鳥(とりやす)』があった。

学を退した兄が、夜の皿洗いのアルバイトをしていただ。 階段をがった階の座敷には、分の座布団が然と敷き詰められ、テーブルにはすでに枝豆とやしトマトの皿が並んでいた。

ガラリと引き戸がいた。 現れたのは、いタキシードを脱ぎ捨て、いつもの着古したスラックスとポロシャツに着替えた兄・琢磨と、私の姿だった。

「よお、琢磨! 遅えぞ主役!」 座敷の最列から声でがったのは、建材会社で苦楽を共にしてきた同僚の寺田さんだった。 その隣には、倉庫のフォークリフト作業員、若事務員、かつて兄を採用してくれた歳を超える元司の姿まであった。

さらに、座敷の奥には、歳になった叔母の静子夫婦がいた。 「琢磨君……!」 静子叔母さんはがり、を引きずりながら兄の元へ駆け寄ると、節くれだった両で兄の腕をく抱きしめた。

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