"300億円の恩返し" 第11話
「本、々はまれ変わります。……園部族の保する株式は、第者割当増資によって幅に希化させ、議決権を剥奪します。族が私に私物化していた社用、ゴルフ会員権、別荘は、すべて今週に売却し、の損失補填に充当します」
そして、成沢取の線が、講堂の最列に並ぶ審査部の精鋭たちへと向けられた。 「直ちに、ミレイビューティーグループのシンガポール本社へぶ準備をしなさい。……々が失ったのは、百億円という数字ではない。『、を見て融資を決めた』という、員としての魂そのものだ。その魂を取り戻すための謝罪と再発の旅に、私が直々に赴く!」
「おおおおっ!!」 講堂の井を突き破らんばかりの拍と歓声が鳴り響いた。
方その頃、麻布の園部本邸では、さらなる絶望の嵐が吹き荒れていた。 玄関には、抵当権を使するために乗り込んできた管財のが並び、財具の差し押さえ赤が次々と貼られていく。
「ちょっと! 何するのよこれ! 私の毛皮よ! 私の宝よ!!」 正子が髪を振り乱して執官に掴みかかろうとする。 しかし、執官はややかに告げた。 「園部正子さん。当物件、ならびに財切は、法違反に伴う損害賠償担保として仮差し押さえの対象となっております。朝までに、の回りの荷物つで退してください」
広告
「う、嘘でしょ……!? 私の優雅な活は!? の会夫としての私のはどうなるのよ!!」
その鳴に応える者は、誰もいなかった。 者の尊厳をゴミのように扱い、の真を「ドッキリ」と嘲笑った傲なに、自分たちの元を支える面など、この世界のどこにも残されていなかったのだ。
翌、曜の昼がり。 仮差し押さえの赤が貼られた園部本邸の暗い居に、通の速達便が届いた。 差は――証プライム・鈴製薬の法務部。
正子は震えるで封筒を引き裂き、の面を広げた。 【婚約破棄、ならびに損害賠償請求通】
そこには、極めて無質で徹な法文が並んでいた。
『貴殿の女・園部えり氏と、当・鈴亮介との婚約について、貴が仕掛けた悪質極まりない結婚詐欺ドッキリ画の拡散、ならびに反社会なハラスメント為の公面化を鑑み、当に対するな信用毀損為と判断し、本付で【完全破棄】といたします。 なお、貴が当への体裁繕いと称して無実の般男性を嘲笑し、その画を当へ送りつけてきた為は、当を反社会な侮辱の片棒に担ぎげる極めてかつ許しがたい暴挙であり、名誉毀損による損害賠償として千万円を請求いたします』
「に……千万……!? 破談……!?」 正子のから類が滑り落ちた。
広告
「お母様、満した?」 居の隅の暗から、え切った声が響いた。 普段着のまま、髪も梳かさずにち尽くしていたのは、娘のえりだった。
その瞳には、かつて母親の言いなりになっていた従順な娘のはなかった。 あるのは、親への底れぬ憎悪と、自らの愚かさに対する絶望のだけだった。
「お母様が『の柄』だの『の丈』だのと言って、琢磨さんを弄んで笑い物にした結果が、これよ。……琢磨さんを失い、鈴からも見捨てられ、も奪われ、の笑い者になって……!」
「え、えり……! 私はあなたのために……!」 「嘘をつかないで!!」 えりの鳴のような叫びが、がらんとした敷に霊した。
「あなたは自分の見栄のために、私のを具にしただけよ! ……琢磨さんはね、私の名を呼んでくれた唯のだったのよ! 『園部の娘』じゃなく、ただの『えりさん』として見てくれた、たったのだったのよ!!」
えりはに散らばった荷物から、自分のパスポートとボストンバッグをひったくった。 「私、このをていくわ。度とあなたたちを親とはわない。……、自分たちがしたことの報いに震えてきていけばいいわ!」
バタンッ!! 玄関のドアが乱暴に閉ざされた。 誰もいなくなった豪邸のリビングで、正子はに突っ伏し、獣のように泣き叫んだ。
所のたちは、誰として声をかけようとはしなかった。
かつて町内会やPTAで威張り散らし、の庭を見してきたの転落を、周囲の々はただ淡に、自業自得の結末として眺めているだけだった。
広告
おすすめ作品
-
完結第15話
18年間閉ざされた納屋
31歳の美咲は、博士課程を修了したその日、18年間会えずにいた兄・直のことを確かめるため実家へ向かった。両親からはずっと「兄は施設で暮らしている」「会えば不安定になる」と聞かされ、施設名も住所も教えられていなかった。ところが帰り道、近所の女性から思いがけない一言を聞く。「直君、まだ裏の納屋にいるんだと思ってた」。実家へ駆け戻ると、古い納屋の扉には外側から2つの南京錠。窓は布で覆われ、食器と電気コードには最近まで使われた痕跡が残っていた。そして美咲が「お兄ちゃん」と呼びかけると、扉の向こうから2度、確かな音が返ってきた。18年間、両親は何を隠してきたのか――。兄弟姉妹|親子関係2.2万字5 182 -
完結第15話
妊娠中の娘が逃げ帰った夜、大富豪の母が動いた
妊娠8か月の娘・はるかが、顔に傷を負い、母エリコの家へ逃げ帰ってきた。病院では新しい肋骨の骨折に加え、以前の骨折痕も見つかる。夫・匠による暴力は、一度きりではなかった。 匠は巨大企業グループの創業家の一員。だがエリコはその地位にひるまず、娘の安全を確保し、診断書を残す。同時に信頼する会計士へ調査を頼むと、匠一家が関わる財団に巨額の不正な資金移動の疑いが浮かび上がった。 報道を受けても疑惑を否定し続けた匠は、緊急会見の最中、はるかへの傷害容疑で逮捕される。さらにグループの資金問題にも捜査が及び、権力を盾にしてきた一族は追い詰められていく。 母の行動が事態を動かす一方、すべての始まりにあったのは、はるかが自分とお腹の子を守るため、あの家から逃げ出した決断だった。因果応報|人生逆転|嫁姑|絶縁|親子関係|修羅場2.3万字5 788 -
完結第16話
「親呼んでみろ」新人の父を見た部長
新人歓迎会の席で、営業部長の佐藤は新入社員・健一を役立たずと罵り、頭からビールを浴びせた。さらに町工場で働く父親まで侮辱し、「悔しかったら親をここへ呼んでみろ」と嘲笑する。 健一は騒がず、父へ短い連絡を入れた。やがて現れたのは、佐藤の会社を買収した神崎ホールディングスの会長・神崎英治。健一は会長の息子であり、腐敗した子会社を調査するため、身分を伏せて現場へ入っていたのだ。 健一が密かに集めていたのは、佐藤が妻のダミー会社へ総額1億8,400万円を不正送金していた証拠だった。部下の由美へ罪を着せようとした偽造書類も暴かれ、後ろ盾だった役員も失脚。佐藤夫妻はその場で破滅へ追い込まれる。 横暴な部長がすべてを失う一方、長年苦しめられてきた由美は統括部長へ抜擢され、職場は再生していく。肩書や家柄ではなく、弱い立場の人へどう接するかが人間の本当の価値を決める――静かな証拠集めから始まる痛快な職場逆転物語。職場逆転|怒り|修羅場2.4万字5 654 -
完結第13話
義母に逆らった妻を閉じ込めた夫が、翌朝失ったもの
義母への仕送りを断った夜、菜緒は夫の浩司にトイレへ閉じ込められた。冷たい床で朝を待ちながら姉に助けを求め、夫の発言を録音する。翌朝、姉たちが迎えに来ると、菜緒は「もうこの家には戻らない」と告げた。 避難先で菜緒が止めたのは、義母と義弟への毎月の送金、そして夫に渡していた家族カード。さらに、夫が口走った「部屋の件」を確かめると、菜緒が独身時代に買ったマンションへ、本人に無断で義弟夫婦を住まわせる話が進んでいた。 すでに置かれた荷物を見つけた菜緒は室内を記録し、玄関の鍵を交換する。義母からの抗議にも、援助と部屋の使用を断る意思を伝えた。閉じ込められた夜に握っていたスマートフォンから、菜緒は自分の暮らしを守るために動き始める。嫁姑|絶縁|親子関係|修羅場2.0万字5 5 -
完結第13話
黒い着物の誓い
「お前んち、ヤクザだっけ?w なら今すぐ呼んでみろよ」 同窓会の席で、私は昔のいじめ加害者に笑われました。 祖母の形見の黒い着物を見て、 「極道の真似事かよ」 そう言った男は、私の胸元に酒を浴びせたのです。 周囲は笑っていました。 10年前、教室で机に落書きをされた時と同じように。 私は怒りを抑え、ただ1本の電話をかけました。 「5分で来てください」 すると―― ホテルの前に現れたのは、30台の黒塗り高級車。 そして、誰もが知るはずのない私の本当の立場を前に、笑っていた同級生たちは凍りつきました。 しかし、そこで終わりではありませんでした。 床に這いつくばって謝罪する男の背後には、 母親が隠していた「400万円の借金」と、10年前の雨の日に繋がる秘密があったのです。 なぜ私は、私を傷つけた相手を救うことになったのか。 そして、あの日の1万円が、10年後に大きな運命の変化を起こすことになるとは――人生逆転|怒り|真実|修羅場1.9万字5 2 -
完結第18話
消えた交換手と鳴らなかった電話
昭和49年の雪の夜、電話交換手の澄子が姿を消した。十三歳の娘・和枝は、母が家族を捨てたという噂を聞きながら育つ。十九年後、取り壊された交換局から届いた勤務簿には、失踪の夜、澄子が自宅へかけようとして《接続不能》になった通話が記されていた。 和枝が調べ始めると、家の電話線が刃物で切られていたこと、澄子が高齢者宅への灯油配達をめぐる不正を追っていたことが分かる。母は家族を守ろうと町を離れたが、その後も帰れなかった理由には、父の沈黙と、澄子自身のためらいが重なっていた。 ようやく母と再会した和枝は、生きていてくれた喜びと、置き去りにされた寂しさの両方を抱える。十九年を一度の会話で埋めることはできない。それでも二人は、次に話す日を自分たちで決める。雪の日につながらなかった電話が、今度は確かに母へ届く。昭和|ミステリー|真相2.7万字5 1173 -
完結第14話
臨月の私を追い出し、新居を売ろうとした義母
臨月を迎えた優香は、夫の出張中、義母から「里帰り出産なら、もう戻らなくていい」と実家へ追い出される。しかも自宅には義妹一家が住み着き、子ども部屋は勝手に美容サロンへ改装されようとしていた。 さらに、不動産会社が持参した資料から、共有名義の自宅が4,680万円で売りに出されていることが発覚。義母たちは優香夫妻の署名と印鑑を無断で使い、売却益を義妹夫婦の借金返済へ回そうとしていたのだ。 出張先から急きょ戻った夫・健太は、玄関で《売却物件》の内覧票と偽造された委任状を発見する。妻を守れなかった自分の甘さを認めた健太は、母と妹へ退去を命じ、優香とともに警察や弁護士、不動産会社へ相談。家と財産、そして生まれてくる娘の生活を取り戻していく。 「家族だから」という言葉で他人の人生を支配する義母たちに、明確な境界線を引いた夫婦。家とは、鍵や名義だけではなく、そこに住む人が自分の意思で未来を選べる場所なのだと描く、家族再生の物語。怒り|嫁姑|真相|修羅場2.1万字5 720