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"私の退職金を奪った家族に、私は何も言わず家を出た" 第4話

呼吸が浅くなり、腹部がきゅっと締め付けられるような鈍痛がった。麻は両で必にお腹を庇いながら、子の背もたれにすがりついた。

「落ち着いて……息を吸って……」

産院の助産師・島葉子の穏やかな声が脳裏をよぎる。麻く息を吐きし、震えるで竜太の携帯話をコールした。

4回目の呼びし音で、竜太がた。周囲から微かにトラックの音が聞こえる。

『もしもし、どうした? 今、現に向かって運転なんだけど』

「竜太さん……私の座のお、どこへったの?」

受話器の向こうで、微かに舌打ちをする気配がした。

『あぁ、そのことか。母さんの座に移したんだよ』

「移したって……どうしてそんなことを勝にするの!? 私の退職よ!」

『勝じゃないだろ。母さんに預けただけだ。お、これから収入がなくなるんだから、をそのまま普通預に置いておくより、母さんにしっかり管理してもらった方がだって話になったんだよ』

「預けた? 冗談じゃないわ、今すぐ戻して! 私の同もなしに、真夜に確認番号を盗み聞きして送するなんて、棒と同じよ!」

『おい、言葉を慎めよ! 棒扱いとは何事だ! 夫婦のを母親に預けて何が悪いんだ! 仕事だから切るぞ。文句があるなら今夜で話せ!』

に通話が切断された。

は受話器を握りしめたまま、すぐさまのカスタマーサポートへダイヤルした。

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正送された資の組戻しをお願いしたいのですが」

経理の実務経験から、麻は送取消の続きを即座に求した。しかし、オペレーターから返ってきたのは、事務で非な回答だった。

『お客様、ネットバンキングにおいて正規の暗証番号および話認証を経て完したお取引につきましては、受取様の同がない限り、側からに組戻しをうことは法能です。受取様と直接ご協議の、返続きをご依頼ください』

受取の同。つまり、義母の久美子が首を縦に振らない限り、の窓からは1円たりとも取り戻せない。

はテーブルに突っ伏した。

悔しさと屈辱で爪がの平にい込んだ。13、毎満員に揺られ、決算期には終まで数字と格闘してに入れた退職だった。それを、寝首を掻くようなで奪いり、「族のだ」と言い放つ夫。

は涙を拭い、がった。い青のファイルから退職を取りし、スマートフォンのカメラで撮した。さらに、ネットバンキングの送画面、受付が記された予約履歴、残の推移、すべてをスクリーンショットに収め、クラウドと予備のSDカードへにバックアップを保した。

いていないものは、なかったことになる」

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父親から教え込まれ、経理の現で骨の髄まで叩き込まれた鉄則が、麻体を械のように正確にかしていた。

6半、玄関のく音がして、竜太が帰宅した。

は夕飯の支度を切せず、ダイニングテーブルの央に座って夫を待っていた。テーブルのには、退職の支細と、今朝の送履歴をプリントアウトした枚だけ置かれていた。

「戻してくれた?」

靴を脱ぎ、スーツの着を子の背に掛けた竜太に、麻を交えずに問いかけた。

「まだだよ。母さんと話してからだって言っただろ」

「何を話す必があるの? 私が13働いていただいた、私個の固財産よ」

竜太はネクタイを緩め、苛ちを隠そうともせずに眉を寄せた。

「あのなぁ、麻。おはこれから仕事をしないんだぞ? 誰が賃を払って、誰がお費をすとってるんだ? 俺がで稼いでくるから活が成りつんだろうが。の主である俺が、全な方法として母さんに預けるって決めたんだ。おがいちいちを挟む筋いじゃない」

「私は経理を13やってきたのよ。計の管理も、資の運用も、私以にできるがこののどこにいるの?」

「会社のは違うんだよ! 理屈をこねるな!」

竜太は激昂し、テーブルを拳で叩いた。その、エントランスのインターホンが鳴り響いた。

扉をけると、そこには提げバッグを提げた義母の久美子がっていた。

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