"消えた写真屋の父が残した一本のビデオ" 第5話
野坂は写真を見て、もうつ気づいた。枚のうち枚だけ、裏面に青いインクの指紋がある。写真館で台へ貼る印刷用マーカーを扱っていたのは、信吾だけではない。義男は計で値札を作るのに、同じインクを使っていた。
写真館へ戻った由美は、写真の箱のから、父が発した領収の控えを見つけた。宛名は瀬義男、但しきは《測量関連写真・複写代》。額は万円。支払は父が消えた翌だった。
父の失踪に、なぜ父の名で領収が発されているのか。しかも控えに押されたの角印は、ずっと千鶴が保管していた。
領収のは茶く変わっていた。由美は窓に透かし、の端にさく押された連番を見た。父のいた最の領収は百番。その翌の瀬あては百番だった。の百番だけ、控えが綴りから抜かれている。母は「き損じよ」と答えたが、由美は捨てたなら切り取り線に端が残るはずだとっていた。は綺麗にされていた。
母が台所につ、健太は写真館の話を見た。昭の終わりまでで使っていた黒い話は、今は繋がっていない。父が消えた夜、母がその受話器を握ったまま泣いていたことを覚えているという。「警察にかけてたとってた。でも、誰かに話しようとして、やめたのかもしれない」
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。由美は、覚えている面とそこから推測したことを帳の別々の欄へいた。の自分たちは、母の顔から勝に答えを作りすぎていた。
由美が領収の連番をもう度尋ねると、千鶴は器棚からい封筒をした。百番は、父の写真を引き取りに来た役所の男あての仮領収だった。代を受け取らないまま控えだけ残してしまい、あとで男が取り消してくれと言った。千鶴はそのを捨てず、しまっていた。宛名は斉藤。付は失踪当の午で、跡は信吾のものだった。
「お父さんが何を渡したのか、聞かなかったの?」
「聞いた。『まだ渡してない』って。あの、受け取りに来たのに、写真を持たずに帰った」
斉藤が写真を得たのは、なくともそのではない。由美は封筒ごと写真に撮り、返した。千鶴は「警察へすなら私もく」と言ったが、声は震えていた。娘が無理に頷かせて得た返事では、またと同じことになる。由美はの昼まで考えてほしいと伝え、弟にも領収を見せた。
千鶴は領収を見せられると、娘ので初めて隠していた事実を話した。失踪の翌、瀬が写真館を訪れ、信吾が預かっていた測量写真を返すよう求めた。千鶴は代の入った封筒を受け取り、帳簿を理するため領収を作ったという。
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「警察にはなぜ言わなかったの」
「お父さんの借があった。万円がなければ、そのの賃も払えなかった」
しかし千鶴が受け取ったのは、撮代だけではない。瀬はの変更に反対する写真を表へさないようにと言い、さらに万円を置いていった。千鶴は子どもたちのではを数えられず、箪笥の底へ隠した。瀬が父の方をっているのではないかと疑ったが、を返す勇気も、彼を追及する勇気もなかった。
「鏡に映っていたのは、お母さん?」
千鶴は首を振った。暗へカメラを持ち込んだことはないという。ただし運会のあと、貸してと頼んできた女性がいた。魚の娘、矢野美佐。写真館で々アルバイトをしており、由美よりつだった。撮も現像も習い、赤い指輪をしていた。
美佐は数、町をれて結婚した。由美はアルバイトの所録を調べ、彼女が横浜でさな写真修復のを営んでいるとった。話すると、美佐は暗の映像を撮ったと認め、会うにつ条件をした。ビデオテープを持って来ないことだった。
「テープはあなたのお父さんの物だけど、ほかのの声も入っている。まず、私の話を聞いて」
由美はコピーを野坂に預け、原本はの庫へ入れた。由美は横浜へ向かうので、アルバイトをしていた美佐のことをいした。
写真館へ放課に寄ると、美佐は台に写真を貼り、客の名を丁寧にいていた。
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