"消えた写真屋の父が残した一本のビデオ" 第7話
藤崎は由美と会うのを拒んだ。「父親のことなら、警察に話した」と話を切った。由美は当の調を確認しようとしたが、関係者以の閲覧は難しい。代わりに、信吾の失踪届に付いた補類から、藤崎が《午半ごろ写真館を訪れたが、信吾はだった》と証言していることをった。
ビデオには藤崎の声が入っていた。信吾は確かにそのにいた。藤崎が嘘をついた理由を確かめるため、由美は野坂と原本の映像を秒ずつ見直した。最の物の顔は映らないが、声がつ聞こえる。つは瀬、もうつは若い男。そして信吾の声は、最に「君はそこにいろ」と言っている。
美佐へ話すると、その言葉は自分へ向けられたものだと答えた。藤崎にではない。信吾は暗の棚の裏に美佐がいると分かっていた。声をさず、隠れているようにと図したのだ。
父がいなくなったのは午分以。にもかかわらず瀬は、午にでたという話を作った。その嘘は、父が以に誰かと会った事実を隠すために必だった。
由美が千鶴に突きつけると、母は台所の子に座ったまま、の夜を話した。瀬から万円と万円を受け取ったとき、「旦さんは自分でていった。警察へ言えば、の子どもに父親の借をらせる」
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と脅された。千鶴はよりも、由美と健太が傷つくのを恐れた。
「でも、夜に信吾が帰ってきたの」
千鶴は台所で夫と会った。信吾の額にはさな傷があり、肘の内側にくつかまれた痣があった。千鶴が警察へこうと言うと、信吾は首を振った。売買に使う類へ自分の印が押され、子ども名義の座も巻き込まれていると言ったという。
「父さんはどこへったの」
「町のの印刷会社に、を隠すと言った。類を取り返したら戻るつもりだったの」
その夜に父が戻ったことを、千鶴は族にも警察にも話していない。翌朝、信吾から話が度あった。そのあと連絡は途絶えた。母は、最初は夫を待ち、途から自分が警察にかなかった理由を説するのが怖くなったのだった。
「隠すに、私たちに聞いてほしかった」
千鶴は謝った。だが由美は、母の告だけで事件が解けたわけではないと分かっていた。父は危険を承で帰宅している。それから翌朝までのに、誰に会い、何を取り返そうとしたのか。
古川は当の契約の写しを残していた。産業者の類箱からした黄ばんだ用には、の番の横に写真館の名と計の名が並ぶ。ただし写真館の部分は正式な売主の欄ではなく、《交渉》と鉛で添えられていた。
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古川が「契約は成していない」と言ったのは正しかった。瀬がにしていた族の署名は、何かを売るための完成した類ではなく、信吾を黙らせるための台具だった。
「私は途でを引いたんです」と古川は言った。「そのせいで良だったと言いたいわけじゃない。値ががるとって話に乗りました。ただ、まだ決まっていないの線を、あのが決まったように扱った。そこが気悪かった」
古川の帳簿には瀬からの付らしい振込があり、数に同額が返されていた。由美はそれを複写した。のきは正そのものを証しない。それでも、瀬が父のいない午にを売る段取りをめていた証拠にはなる。、古川は警察に呼ばれなかった。呼ばれなかったから話さなかった。それが彼の言い訳だった。
帰り、健太は「を売ったら俺たちもていくことになるのに、俺の名まで使ったのか」と聞いた。由美は頷いた。父が隠したかったのはのだけではない。子どもの貯座を見せられ、族全員が交渉の材料にされたとったのだろう。健太はる相をに決められなかった。「父ちゃんは、そんなが偽物か母さんに聞けばよかった」。由美も同じことを考えたが、父がその夜に傷を負っていたと聞いてから、簡単には言えなくなっていた。
へ戻ると、千鶴は貯通帳を冊並べていた。健太の通帳には父が毎しずつ入れたと、父が消えてから母が積みてたが続いている。
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