"消えた写真屋の父が残した一本のビデオ" 第14話
録画は魔法のように真実を語るわけではない。撮った、持っていた、見なかったの話を集めて、やっとを持つ。
その夜、由美は父へ送るをき直した。最初の稿は《どうして私たちを捨てたの》だけだった。消したくない問いだが、それだけでは父が危険に遭った夜と、帰らずに過ごしたを緒にしてしまう。しいには、最初の夜、翌の、そののについて順に聞きたいことを記した。父に言い逃れを与えるためではない。答えが変わった期を確かめるためだった。
由美は、役所が保していた説会の議事録にも目を通した。が元の線へ戻った会で、発言者の名がか所だけ伏せられている。写真を提供した物の全を守るため、斉藤が匿名の証言として記録していた。信吾本が会へ来たわけではないが、彼の調べた数字を、当の町のは見ていたのだ。
説会に席した飯田は、かつて話を遮られた齢の民が、写真を見て自分のの位置を指した面を覚えていた。計画の線が図では数ミリいただけでも、暮らしのでは毎朝通うや、入れしてきた庭がなくなる。信吾は写真だからこそ、図ので消された活を枚ずつ写していた。
ただ、事業を止められたことと族を取り戻せなかったことは別だった。
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斉藤から父へ連絡を取る方法があったなら、なぜ族へらせなかったか。由美が尋ねると、斉藤は「本が伏せてほしいと言った」と答えた。斉藤も度は理由を確かめるべきだったと認めたが、族の問題にち入る資格がないと考え、それ以尋ねなかった。
由美は、の沈黙ばかりでが過ぎたとった。父がきているとっていた斉藤も、録画をっていた美佐も、夫と話した千鶴も、それぞれ理由を持っている。理由は事実を説しても、子どもに過ごさせたを返さない。由美はそのことを、父に会うとき必ず伝えると決めた。
由美は写真館へ戻り、母が保管した類を初めて緒に並べた。千鶴の偽署名のある売却契約は、父がにいた運会の朝にはまだ作られていない。信吾はへ帰った夜に契約を見せられ、その、瀬が自分の居所をっている限り族も巻き込まれるとった能性がある。
だが父は娘の卒業を待つと言った。学卒業のは、ちょうど計画が元へ戻った期だった。つがなって帰れなくなったのは、千鶴と連絡を取り損ねたからではないか。信吾が度でもの話を鳴らしていれば、偽署名の話は解けたはずだった。
野坂はビデオをもう度見たいと言った。現像所の古いデッキを使い、暗映像のろにあるわずかな余を再すると、音だけが秒残っている。
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子どもの「お父さん、帰ってきてね」という声だ。声は由美ではなく健太だった。
健太は覚えていないと言ったが、千鶴には当たりがあった。信吾が消えた翌の朝、のカメラを健太が触り、父への言葉を録画しようとした。械をうまく使えず映像は真っ暗だったが、声だけ秒記録されていた。千鶴はそれに気づき、見せれば子どもが期待し続けるとってテープを棚にしまった。
「母さんは、どこまで俺たちの代わりに決めたの」
健太が尋ねると、千鶴は答えられなかった。父を待たせないため映像を隠したが、隠したことで子どもが父に届けられる言葉まで失わせた。健太はをびさず、「今、俺に聞いてほしい」と言った。父のしたことをりたい。会いたいかどうかは、そのあと自分で決める。千鶴はその順番を守ると約束した。
由美はの写真館に話をかけた。相の主は、沢という名では働いていないと言ったが、旧姓の男ならまで籍していたと答えた。男は現、青森の港町で学写真の張撮をしている。写真館の所と連絡先は分かった。
由美はすぐには話しなかった。まず族で話しい、父に伝えることをずつにいた。千鶴は、偽署名は自分がしたものではないこと、の夜、信吾が帰った事実をずっと隠したこと。
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