"消えた写真屋の父が残した一本のビデオ" 第18話
のテープは、しいものへ複製した。由美は運会の面だけを母へ渡し、暗の映像と健太の声が入った原本は、自分で保管した。証拠として必になる能性もあるし、族が事実を見失いそうになったとき、目を逸らさずに見るためでもある。
のある、信吾が撮の帰りにち寄り、しいの板を見た。《沢写真修復》といてある。自分の名を使ったのかと父が聞くと、由美は「私も沢だから」と答えた。信吾は苦笑し、のへ入るに靴のを落とした。
由美は壁に掛ける写真を選んでいた。運会の集写真には信吾が写っていない。撮係だった父が、いつも族の側にいたことに、昔は気づかなかった。しかし写っていないからしなかったわけでも、撮っていたから族の気持ちをっていたわけでもない。
健太はを卒業して専学へみ、映像の編集を学び始めた。嫌いだったカメラを選んだ理由を問われると、父のためではないと答えた。「あのテープは途で切れた。俺なら最まで撮って、確かめる」と言った。
、由美は母と弟と父に、しいので枚ずつ写真を撮ろうと提案した。で肩を寄せる記写真にはしなかった。母がの鍵をけるところ、健太が脚を支えるところ、父がい額縁を運ぶところを、それぞれ撮った。
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最に由美がカメラを机へ置くと、信吾が「おは写らないのか」と聞いた。由美はセルフタイマーをわせ、の真んにった。はそれぞれ作業を止め、自分のいる所から彼女を見た。
シャッターが切れる直、健太が笑った。由美は誰が何を言ったのか聞き取れなかったが、撮り直さなかった。には写せなかった族が、きれいに並ぶことだけを目指さず、同じにそこにいた。
写真の裏に付をこうとして、由美はペンを止めた。古い運会のテープには、族が確かめなかった午が残されている。しい写真には、がそれぞれどう歩いてきたかまでは写らない。それでも、撮った付と撮ったの名を残すことはできる。
の表へると、商の角にしい建物の事囲いがっていた。かつて予定の線が引かれ、何軒ものが先の暮らしを決められなかった所だ。由美はその景も枚撮り、裏へ回って現の図に写真を貼った。あとから誰かが町の変わり方を尋ねたとき、数字だけでなく、そこにとがあったことを伝えられるように。
へ戻ると、健太が現像を終えたばかりの写真を窓辺へ並べていた。由美は枚ずつ乾き具を確かめ、の客へ渡す順にねた。しいには、まだ何も消えていない。
来がった写真を見たとき、由美はまず、自分の顔を確かめた。誰かの失踪を追う娘としてではない。これからをけ、仕事を続ける自分の姿として。
由美は自分の名を記し、棚の目につく所へ写真を置いた。母と弟が仕事へ戻り、父が額縁を持ちげる。彼女はカメラを構えず、その様子をしばらく見ていた。次に何かが気になれば、映像の終わりを待つのではなく、そので相へ尋ねようとった。
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