"昭和54年、消えた母の集金袋" 第5話
昔はの話へ掛けるしかなく、族に聞かれないで連絡する方法がほとんどなかった。澄が誰に何を伝えたかも、その制約ので考える必がある。
直子は信用庫の窓へくに、文代へ当の職のことを聞いた。卓はあったが、毎の入を照するの台帳が基本で、末の通帳記入待ちにはが列を作った。窓の職員がの払戻を見ても、商会の会印と会計印が揃っていれば、事が本当にわれたかまでは分からない。町のの業者へ現を払ったという類なら、き換えを見抜くには業者側の領収まで調べる必があった。
文代は退職、同じ数字をか所に記録した。ひとつは原簿の頁番号、もうひとつは付と額。顧客報を勝に持ちすことはできないから、では数字の組みわせだけを澄へ伝えた。澄は集票と照らし、数字が致しないところに鉛で丸を付けた。直子がでの帳面を読むとき、その丸のが分からなければ、が協力しても証拠はただの数字の列に見えただろう。
、文代は町を通るときだけ信用庫の板を見ないようにしていた。い沈黙を告しても、失踪したは帰らない。直子は彼女に、もう何も話したくなければそこで止めてよい、と言った。
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文代は首を振り、「止めるかどうか、初めて自分で決められた」と答えた。次の、の番号を記した便箋を持って警察へ向かった。
父の誌にある川の印刷所を再訪すると、元従業員の田富子が古い輪転の写真を見せた。印刷所は商会の広報を刷っており、澄は失踪のの週、の帳面の頁を複写しに来た。ただし澄自はに入らず、髪のい若い女性に原稿を持たせた。富子はそのを「寺の伝いをしていた学のころからってる子」と覚えている。名は片文代。駅からつ先の町で郵便局の臨職員をしていた。
直子は当の所をもとに文代を探した。郵便局を辞めてから庭を持ち、いまは町の学で働いている。呼びしても返事はなく、昼の休憩にへくと、文代は建物ので待っていた。仕事に事件の話を持ち込まないでほしいと言う。直子は謝り、くの喫茶で話す約束をした。文代はすぐには座らず、内の公衆話の位置を確かめていた。
「澄さんを助けたかった。でも、あなたに話せば、私がなぜあの夜そこにいたかも話すことになる」
文代は当歳で、商会の座を扱う信用庫の納係を伝っていた。末になるとが積を預け、預と同に部を引きす。
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引きしは商会と会計担当の押印が揃っていればできる運用だったが、会は毎回をれられず、印鑑を預けていた。通帳と伝票を処理するうち、文代は補修業者へ支払われていないが繰り返していると気づいた。
文代は最初、帳簿を誤って読んだのだとった。そこで澄へ、集票と座の入がうかだけ確かめてほしいと頼んだ。澄はを回り直し、同じの領収が組あると突き止めた。は元の額とき換えの額をの帳面に並べた。記録を印刷所で複写しておけば、自分たちの帳面を取りげられても数字が残る。澄が頼んだのは町内会の告発文ではなく、普通の複写だった。
「その晩、駅で待ちわせたのは、私です」
文代は失踪のの来事をしずつ話した。の午、澄は集を終え、へを渡す。その直、文代から話が入った。座から今週また万円がされ、払い先が《松倉業》となっているが、その会社へ送した形跡はない。業者の名を使った現の引きしかもしれない。文代は原簿をへ持ちせないため、仕事が終わったら駅の公衆話で必な番号を教える、と言った。
文代が駅へ着いたのは過ぎだった。澄は既に来ており、封筒に入った写しを持っていた。
はり列のホームへ入り、隣町の信用庫本へ向くか話しった。澄はまず文代を守る必があると言い、彼女を終へ乗せた。
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