"死刑執行直前、1匹の犬が見つけた「8年前の嘘」" 第8話
あの夜と同じ指示
管理員は、警察に見せたメールを消さずに残していた。
浦に会うと、作業の膝を両で押さえ、同じ説を何度か繰り返した。会社のが言うのだから正しいとった。須藤本が帰るところは見ていない。そこだけは、違えないでほしいという話だった。
「私まで、見たことにされるのは困ります」
浦はうなずき、本が見聞きしたことと、から伝えられたことを分けてき留めた。
「その区別が切です。今の説を、そのまま残します」
管理員が敷へ来たや担当者について話した内容は、須藤の供述ともなった。須藤を研修施設のへ連れていったのは総務部らであり、直まで携帯を使っていたへ、本を戻すことはなかった。
警察の捜査で、総務部が使っていた端末も押収された。
そこには、須藤をへさないよう求めるやり取りが残っていた。記録の所を聞きすまで帰すなという指示と、須藤が階段でを痛めたという報告が続いていた。
報告を受けた側は、救急を呼ぶようには言わなかった。
須藤の弁護士から浦へ共された事説には、部が受け取った指示の内容が記されていた。
『救急は呼ぶな。鍵はから掛けておけ』
その指示をした物として、総務部が名を挙げたのは鷹宮だった。
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端末の記録だけでなく、やり取りをした相、社用のき、現でのも調べられていった。
「あのは、階段をがれなかったんです」
結はから運びされた須藤のをいした。
「扉がかなかったら、自分ではてこられなかった」
浦は机のの説を閉じた。
「ハルが見つけなければ、須藤さんが帰ったという話だけが残ったかもしれません」
結は元のハルを見た。類の内容も、同士の約束もらず、丸くなって眠っていた。結がをかすと、だけがこちらを向いた。
原案に関わる証の供述も、しずつ確かめ直されていた。会社が示した説と同じ言葉を使っていたのには、実際には現を見ていなかったもいた。
ただし、浦はそれらをひとまとめにはしなかった。違えて覚えていたのか、確認せずに話したのか、っていて嘘をついたのか。1ずつ、本の話と当の記録を突きわせていった。
鷹宮が否定を続けているあいだにも、調べる相は増えた。
翌週、結は仕事の休憩に浦からの話を受けた。
「鷹宮が逮捕されました」
結は、持っていたコップをテーブルに置いた。
「8の事件で、ですか」
「今回は須藤さんに対する逮捕監禁と傷害の疑いです。以の事件についても、別に捜査がんでいます」
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浦は、逮捕と罪判決は同じではないと説した。結は聞きながら、休憩のテレビに目を向けた。
映像がホテルグループ本社のに切り替わった。
鷹宮が捜査員と建物からてきた。には、事件への関与を否定したときと同じカメラが並んでいた。鷹宮はち止まって何かを言おうとしたが、捜査員に促されてへ向かった。
記者から須藤への指示について問われると、顔だけを向けた。
「私は、そんなことは指示していない」
言い終えるより先に、反対側から別の質問がんだ。会社の社員へするようにをげても、質問は止まらなかった。
やがてのドアが閉まり、鷹宮の姿が見えなくなった。
結はコップを取り直した。み物はもうめていたが、捨てずにひとんだ。鷹宮の声よりも、閉じたのドアの音がに残った。
2、会社は臨取締役会の結果を発表した。
鷹宮を代表取締役社から解職し、今回の事件と過の資料提について、部の専を交えて調査するという内容だった。逮捕だけを理由にしたものではなく、すでに始まっていた内部調査で、説のない支や資料の扱いに問題が確認されたと記されていた。
須藤への顧問料についても、仕事の実態を示す報告が見つからなかった。
会社の利益を守るためだと語ってきた鷹宮は、会社の対応を決める席からされた。
結が本社の会見映像を見ると、回まで鷹宮がっていた所には別の取締役がっていた。相沢直に関する資料の確認には全面に協力すると、記者に答えていた。
翌の接見で、浦は直に逮捕と解職を伝えた。
直は記事を読み、鷹宮の写真のところでを止めた。
「あのが、答える側になったんですね」
「はい。ただ、あなたの再審はまだ終わっていません」
「分かっています」
直は記事を返した。代わりに、持ってきてもらった事件当夜の見取り図を元へ寄せた。
「この通を、もう度説してもいいですか。俺が鞄を置いたところから、どう入ったか。あとで聞かれて、言い違えたくないんです」
浦はしいをした。直が指した所と歩いた順番を、今度は途で遮らずにき留めた。
接見の終わりに、直はさなを差しした。結へ送るにきそうとい、忘れないよう控えておいたという。
そこには、ハルの事との具についての質問が並んでいた。
「先。帰れたら、朝の散歩は俺がきたいんです。でも、今の歩く速さが分からないから」
浦はを受け取った。
「結さんに伝えます」
裁判所での審理と証拠の確認は、そのも続いた。会社からたに提された資料を照し、鑑定の説を求め、須藤の証言がどこまで裏づけられるかを調べた。
結は仕事を続けながら、連絡が来れば事務所へ向かった。ハルの散歩の距をしくし、代わりに途で休むを増やした。直には、そのの写真と歩いたを送った。
数かの午、訓練を終えて帰宅した結は、赤いリードの持ちを布で拭いていた。
携帯が鳴った。浦の名を見て、布を膝に置いた。
「再審始が認められました」
結はリードを握ったまま、黙って次の言葉を待った。
「刑の執だけでなく、拘置の止も認められています。釈放の続きも確認できました。今、迎えにきましょう」
結は、壁に掛けてあるハルのハーネスを見た。
「ハルも、緒でいいですか」
「ので待ちましょう。直さんも、きっと会いたいはずです」
結がちがると、ハルはいつもの散歩だとったのか、玄関へ先に歩いていった。扉ので座り、振り返る。
結は赤いリードを両で持ち、ハルのところへった。
「今は、迎えにくんだよ」
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