"死刑執行直前、1匹の犬が見つけた「8年前の嘘」" 第12話
今度は、あなたが答える番
「相沢直さん」
呼ばれてちがると、直は持っていた鞄を浦に預けた。今は、自分に判決が言い渡されるではなかった。
法廷へ入り、証言する所へんだ。
鷹宮が、弁護のくに座っていた。会社の玄関で記者に答えていたときと違い、自分の都で話を打ち切って建物へ戻ることはできなかった。
直は宣誓を終え、質問に答えた。
誰から連絡を受け、何をするために管理棟へったか。到着したときに何を見て、何をしたか。着ていたと、置いていた予備の作業着についても説した。
鷹宮の弁護から、殺害する面を見たのかと尋ねられた。
「見ていません。私が着いたときには、もう煙がていました」
直は、見ていないものを見たとは答えなかった。自分の言葉で、誰かのしていないことまで証しようとはわなかった。
「では、会議ので誰が何をしたかは、分からないのですね」
「私が入るのことを、私自が見たわけではありません。入ったあとのことは、お話ししたとおりです」
質問が終わり、退してよいと告げられた。直は礼し、法廷をた。
廊で待っていた結が、鞄を渡した。
「ちゃんと話せた?」
「っていることは、全部」
直は鞄の持ちを握った。戻らなければならない部は、もう拘置所にはなかった。
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そのも、公判は続いた。
鷹宮は、2と会ったことは認めながら、殺と放は須藤が勝にったと主張した。作業着についても、自分は借りただけで、そのどのように扱われたかはらないと説した。
須藤の証言だけなら、責任を押しつけっていると受け取られる余はあった。そこで法廷では、原記録に残るのきが、現の構造や元の鑑定資料とわせて確かめられた。
2の被害者がきて会議へ入る。鷹宮がそのあとを追う。須藤は廊側にいて、会議へは入っていない。鷹宮がてきて作業着を渡し、やがて煙がる。
直が姿を現すのは、それよりあとだった。
しく作られた話に都よくをずらそうとしても、消防の活記録や通報の刻、現に残された物との対応が崩れた。
遺体の鑑定結果も、2が単なる災の犠牲者ではないことを示していた。鷹宮が渡した作業着から検された血については、元の事件で保全されていた鑑定資料が改めて示された。
会議にいたこと、血のついた着を放したこと、記録を消すよう求めたこと。それらを、鷹宮の説どおりに並べることはできなかった。
検察官は、須藤へ支払われていたと、その仕事の実態についても尋ねた。
「毎30万円は、何の業務に対する報酬でしたか」
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鷹宮は顧問としての助言だと答えた。どのような助言を受けたのかと聞かれると、で随っていたため、面はないと説した。
会社から提された資料と、須藤が提供した入記録は致した。しかし、その支払いに見う業務の記録はなかった。須藤が原記録を持ち続け、処遇と結びつけて鷹宮とやり取りしていたことも、供述や関連資料から検討された。
今回の監禁については、さらにしい記録が残っていた。
鷹宮は、会社の資料を返すよう求めただけで、暴や監禁は命じていないと述べた。
そこで、総務部の端末に残されていた指示が示された。
須藤がを痛め、自分で階段をがれないという報告。そのあとに続く、救急を呼ばず、から鍵を掛けておくよう求めた言葉だった。
「この報告を受けたあとも、須藤さんを帰さないよう指示したのですか」
鷹宮は弁護へ顔を向け、もう度質問を聞き直した。検察官は同じ箇所を示した。
「ご自が受け取った報告と、送った指示について伺っています」
傍聴していた直は、そのやり取りを席で聞いた。誰かに答えさせて終わることのできない質問が、鷹宮本へ向けられていた。
判決の、直は結と並んで法廷へ入った。織の姿もあった。もう1の被害者、野寺の遺族も、方の席で廷を待っていた。
鷹宮に言い渡されたのは、無期刑だった。
裁判所は、2を殺害して放したことについて、映像、物証、関係者の供述などを総して認定した。直へ犯を転嫁した経緯や、のちに須藤を閉じ込めた為についても判断が示された。
財産や役職は、犯のさを軽くする理由にはならなかった。会社の正を隠し、自分の位を守るためにの命とを奪ったことが、判決ので述べられた。
鷹宮はを向いて聞いていた。途でをげかけたが、弁護に何かを告げられ、ろした。裁判官の言葉は、そのあいだも続いていた。
直は、鷹宮の様子を見続けなかった。結の隣で、最まで判決を聞いた。
須藤の責任も、別の続きで問われた。事件への関与や偽証などについて実刑判決が言い渡され、刑務所に収容されることになった。
原記録を提し、解に協力したことは考慮された。それでも、を受け取りながら隠し続け、無実のが刑を言い渡されても沈黙していた為が、なかったことにはならなかった。
、須藤から直へが届いた。弁護士を通じて渡された封筒には、助けられたことへの謝と、謝罪がかれていた。
最に、いつか許してもらいたいという文があった。
直は読み終え、封筒へ戻した。
「返事は、どうしますか」
浦が尋ねた。
「しません」
直はを鞄へしまった。
「読んだことだけ、伝えてください。それ以の約束はしません」
浦はうなずいた。許すと言わせるための言葉は、誰も付け加えなかった。
訴の続きも経て、鷹宮への判決が確定したと連絡が入ったのは、さらにがたってからだった。
直は、訓練所の具棚を直すところからしずつ仕事を増やしていた。連絡を受けたときも、依頼された部品の寸法をノートにいている最だった。
「これで、あのへの判決も確定です」
浦の説を聞き、直は礼を言った。通話が終わってもしばらく携帯をに持っていたが、やがて作業台の端へ置いた。
窓際で眠っていたハルが、をみにった。ろをゆっくり伸ばし、器まで歩いていく。
直はノートをき直した。翌朝の欄には、訓練所で収納棚を取り付ける予定があった。
始刻を確かめ、必な具をきした。
終わった裁判の予定を帳からすと、そのから、まだ何もいていない来週のページが現れた。
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