"廃線駅に殘された最後の切符" 第13話
差、宛所として京の芝郵便局や夕張郵便局に留め置かれていた現為替を、源吉が自らの脈と国鉄の元照会を駆使して追跡し、沢郵便局と掛けって、サダの座へ極秘裏に入させ続けていたのだ。
「サダさんはな……あのから半、肺を悪くして寝たきりになった」 源吉が静かに語る。
「だが、毎この通帳におが振り込まれるたびに、俺は病のサダさんのところへ通帳を持ってった。『健から今も届きましたよ。京のきなで、派に働いてます』ってな。……サダさんは、字が読めなかったが、このインクの数字を指でなぞりながら、いつも笑っていたよ」
『あの子のの匂いがする。……健は、私のために、だらけになって働いてるんだねえ』
サダはくなるの晩、源吉のを握りしめて、こう遺言を残したという。
『駅さん。このおは、銭も使いません。健がいつか、きな男になって帰ってきた……この町でを建てて、嫁をもらうためのにしてやってください。……あの子に伝えてください。母ちゃんは、度だっておを疑わなかったよって』
健の目から、声にならない嗚咽が漏れた。 通帳を胸に押し当て、のに突っ伏して震える。
届いていなかったのではない。 の無がんだの迷を、老駅がもの、そので歩いて繋ぎ直していたのだ。
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「じゃあ……」 修が、堪えきれずに問いかけた。 「なぜ駅は、健君を探しにかなかったんですか? 居所が分かっていたなら、京へ迎えにけばよかったじゃないですか!」
源吉は、沢の並みを見げた。 朝がれ、陽が肌の残を眩しく照らし始めていた。
「けなかったんだよ」 源吉は自嘲気に、しく微笑んだ。 「俺は……国鉄の駅だったからな」
その言葉のみに、修は息を呑んだ。
「昭代から代、俺はこの改札から、何百もの子どもたちを送りした。『都会へけ、国を豊かにしろ、それがおたちの務めだ』とな。……その俺が、たったのを憫にって連れ戻しにくことが、許されるはずがなかったんだ。あの子を連れ戻せば、あの子が友のために背負った覚悟を、俺が踏みにじることになる」
源吉の線が、健の胸ポケットの切符へと注がれた。
「だから……俺は切符を残したんだ。『沢から京ゆき』の切符をな」
「健」 源吉は、の肩にそっとを置いた。
「おは、京へきたかったわけじゃなかった。……母ちゃんのそばにいたかったんだよな」
健は、子供のようにさく頷いた。
「俺は駅として、おを汽に乗せてしまった。……『若者は都会へくのが当たりだ』という代の波に背を押されて、おのさな願いを踏み潰してしまったんだ。
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その罪の識が、、たりとも俺の胸から消えたことはなかった」
源吉は懐から、自分の万を取りした。インクの剥げ落ちた、古いパイロットの万。
「もし、おが自分のに疲れ果てて、この町へ帰ってきた……俺が『よく帰ってきた』と迎えるだけじゃ、りないとった。おがもし、もう度自分ので、自分の志で、の世界へ挑みたいとった……いつでも背を押してやれるように。あるいは、『俺はもう京へはかない、この町できるんだ』とお自が決断できるように……」
老駅は、健の胸ポケットから切符を抜き取り、その裏面をめくった。 、毎『今も待つ』とき連ねてきた、その余の最。
源吉は震えるで万をらせた。
【昭 使用始】
「この切符はな、健。おを縛り付けるためのものじゃない。……おが、おののレールを、どこへでも自由に敷いていいという、俺からの卒業証だ」
健の胸のにあった、の迷妄が、散していくのをじた。
自分は、捨てられたのではなかった。 逃げした臆病者として追放されたのでもなかった。 この駅で、この改札で、ひとりの男が自分の全を賭けて、の尊厳を守り続けてくれていたのだ。
「……源吉さん」 健は涙を拭い、顔をげた。
「俺……今、幹線の線を造ってるんだ」
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