みかん小説
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"私を捨てた元婚約者が、十数年後に知った本当の私" 第13話

そして、吉の実――富本源蔵のには、しいり注いでいた。

関精との共同プロジェクトによって発された、超精密技術を用いた最の内術支援ロボットのアーム部品は、国内の医療学会で絶賛を浴び、名匠・富本源蔵の名は再び産業界で滅の輝きを取り戻していた。

の壁には、京介が贈った「誠実貫」の揮毫とともに、真子と京介、そして歳になる息子の千が源蔵夫婦と緒に満面の笑みを浮かべる写真が、美しく磨かれた檜の額縁に納められていた。

桜の蕾がほころび始めたの初旬、のダイニングには、ばしい焼き魚の匂いと炊きての鍋ご飯の湯気がち込めていた。

「ママ、見て! 今の理科のテスト、百点だったよ!」

歳になる息子の千が、ランドセルから誇らしげに答案用を取りしてテーブルのに広げた。

「まあ、千、すごいじゃない。毎コツコツ復習してたものね」

真子がエプロン姿で千を優しく撫でると、キッチンのカウンターから、際よく汁巻き卵を皿に盛り付けた京介が笑顔を覗かせた。

「よし、今夜は千好物のすき焼きにしよう。源蔵のおじいさんから、で採れた見事な初物の筍も届いているしね」

「わーい! お父さんのすき焼き、世界で番好き!」

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が歓声をあげ、ダイニングテーブルを囲んで弾んだ笑い声が広がる。

どんなに忙を極める企業のトップであっても、京介は族と過ごす夕を何よりも神聖なものとして守り続けていた。互いの仕事を尊し、支えい、謝を言葉にして伝えう。

え切った部、カップ麺の残骸を片付けながら流した真子の涙は、この温かな卓に辿り着くための、くて険しい旅の始まりに過ぎなかったのだ。

ピンポーン、と軽やかなインターホンが鳴った。

玄関のドアをけると、両量の銘菓の袋を抱えた親友の理恵が、とともにび込んできた。

「真子、こんばんは! くのデパートで限定のイチゴ福がに入ったから、みんなでべようとって!」

「理恵、いらっしゃい。ちょうど今、ご飯ができたところよ。がって」

リビングに招き入れると、理恵は千の答案用を見て「さすが会の息子ね!」とびし、京介が淹れた温かい緑茶を啜って、からの堵の溜息を漏らした。

「ねえ、真子。あの同窓会の夜から、もう半経つのね」

理恵がふと、窓のの穏やかな夜空を見げながら呟いた。

「あのは本当にどうなることかとったけど……真子が毅然とを向いて、自分ので本物の幸せを守り抜いてくれて、私、本当に誇らしいわ」

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真子は、湯呑みからる湯気を両で包み込みながら、静かに微笑んだ。

「ありがとう、理恵。……でもね、私、あの件で改めて教えられた気がするの」

真子はリビングのソファで、楽しそうにロボットの図鑑をく京介と千の背を、おしそうに見つめた。

「本当の幸せって、誰かを見したり、誰かに勝ったりすることでに入れるものじゃないのよね。自分のでしっかりとを踏みしめて、目のにいる切なを、誠実に握り続けること。……それだけが、何があっても揺らぐことのない、本物のさなんだとうわ」

窓のでは、柔らかなの夜並みを優しく包み込み、灯のに照らされた桜のびらが、どこまでも美しく、静かにい踊っていた。

傷を乗り越え、自らの誠実さで勝ち取った揺るぎない絆。

その温かなに照らされながら、真子と族のかけがえのない常は、これからもずっと、穏やかに、そして力く続いていく。

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