"給料袋を取り上げる姑と、娘の進学" 第4話
として酷に組み込まれていた。
音がづいてくる。 典子は咄嗟に帳面を元の位置へ戻し、のへとを隠した。 便所から戻ってきたタツが、灯のを吹き消し、パタンと襖を閉める音が響く。
暗の台所で、典子はたい流し台にをつき、荒い呼吸を繰り返した。
(あのおは……私が、恵子のために、にまみれて稼いできたおなのに)
正を憎いとったことは度もない。目に入れても痛くない、切なが子だ。 だが、なぜ同じ腹からまれた姉と弟で、ここまで残酷な差をつけられなければならないのか。 「女の子だから」。 そのたった言の呪いで、恵子が夜遅くまで豆球ので教科をき写している努力は、すべて踏みにじられ、弟の踏み台にされるのか。
翌朝、朝の片付けを終えた、典子は縁側で洗濯物を畳んでいたタツのにった。 浩も子どもたちも、すでに払った静まり返ったの。
「お義母さん」 「なんだい、藪から棒に。くしないとの始業に遅れるよ」
タツは顔もげず、正のズボンの綻びを慣れた針さばきで繕っている。 典子は唾をみ込み、胸の奥底から言葉を絞りした。
「恵子のの受験料と制代、帳面のどこにも積がありませんでした」
タツのが、ピタリと止まった。 ゆっくりと針を止め、老鏡の奥の濁った瞳が、典子を射抜くように持ちがった。
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晩の乾いたが、縁側の障子をカタカタと揺らした。
タツは驚いたもなく、ただ淡々と、繕い物の糸を歯で噛み切った。 プチン、と静かな部にさな音が響く。
「……夜に、の帳面を盗み見たのかい」 「申し訳ありませんでした。でも、見ずにはいられなかったんです」
典子は畳に両をつき、をげた。だが、その声は決して震えていなかった。
「お義母さんが、無駄遣いをされていないことは分かりました。正のために、あそこまで細かく切り詰めてくださっていることも。……けれど、恵子のおはどこにあるんですか。恵子の学のための準備は、体どうなっているんですか」
タツはく、呆れたようなため息を吐きした。 そして、底から議そうな顔をして、首を傾げたのだ。
「恵子の学? ……何のおだい、それは」 「何って……恵子はへきたいと言っています! 担任の先からも、県の女子へ分に入れる成績だと言われているんです!」
タツは、まるで来の悪い子供に言い聞かせるような、諭すような調で言った。
「典子さん。お、まだそんなみたいなことを言ってるのかい。女の子だろう?」 「女の子なら、学問はいらないとおっしゃるんですか!?」 「いらないよ」
即答だった。 片の悪も、躊躇もない、絶対の確信に満ちた声だった。
「あともしたら、だよ。
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どこか気てのいい農か、堅実な職のへ嫁にけば、それで女の務めは終わりだ。なんかへって、難しい理屈をこねるようになったら、貰いがなくなるだけだよ。正とは違うんだよ、正とは」
「恵子は、勉がしたいんです!」
典子は顔をげ、タツの目を正面から見据えた。
「私が学をてすぐに働かされて、悔しくて、けなくて、どれだけ泣いたか……お義母さんには分からないんですか! あの子には、同じいをさせたくないんです! 自分の力できていける力を、つけさせてやりたいんです!」
タツの表が、わずかに張った。 だが、それは同からではなかった。と、苛ちだった。
「おが泣いたかどうかなんて、このには関係のないことだよ」
タツは繕い終えたズボンを乱暴に畳むと、ちがった。 柄な体躯でありながら、このを差配してきた者の放つ圧迫が、典子のからのしかかる。
「正はこのを継ぐんだ。浩のようなしがない職で終わらせないために、商業か業をして、まともな会社の社員にさせなきゃならない。そのためにはがかかるんだよ。これから先、どれだけ物価ががるかも分からないのに、嫁にす娘に何万円も注ぎ込めるわけがないだろう。……の程をりなさい」
タツは縁側を歩きろうとした。 その背に向かって、典子はわず叫んでいた。
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