"給料袋を取り上げる姑と、娘の進学" 第8話
「それは、私がで働いて得たおです! 計に入れるべき活費は、毎ちゃんと封筒に入れてお義母さんに渡しています!」
「ふざけるんじゃないよ!」 タツがちゃぶ台を叩いた。に置かれていた茶碗がガタガタとねる。
「おがどこで稼ごうが、おの体もも、この井のものだよ! 嫁がへて稼いできたを、である浩や、を守る私に隠して懐に入れるなんてことが許されるとってんのかい! 嫁が自分の、自分のと言いしたら、もうそのは終わりだよ!」
「じゃあお聞きしますけれど!」 典子は歩も引かなかった。の結婚活ので、初めて姑の目を正面から睨み据えた。
「その『の』とやらで、恵子の受験の費用は銭でもしてもらえるんですか!? 正の積には毎何千円も回しておきながら、恵子の名は帳面のどこにもないじゃないですか! 族のおだと言うなら、なぜ恵子だけが族から除け者にされているんですか!」
「当たりだろうが!!」 タツの号が、造の平を揺るがした。
「男の子はを継いで、墓を守り、親を取るんだよ! 正がにならなきゃ、このは潰れるんだ! 娘なんてものはね、いずれ所のの飯をうだよ! 所のの嫁になるに、なんでこの井の血肉を削って教育をつけなきゃならないんだい! そんな贅沢、こののどこに余裕があるっていうんだ!」
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「贅沢じゃありません、きる権利です!!」
典子の叫びがなったその瞬、玄関の引き戸がバタンと荒々しくいた。 仕事納めを終え、瓶を提げて嫌で帰宅したはずの浩が、青ざめた顔でち尽くしていた。
「な……なんだよ、表まで声が丸聞こえだぞ。体どうしたんだ」
タツが素く通帳を拾いげ、息子の胸元へ突きつけた。 「浩! よく見なさい! おの嫁はね、おに隠れてのを盗み、自分名義の座に隠し持っていたんだよ! この性悪女を、今すぐ叩きしなさい!」
典子もまた、浩の腕を掴んだ。 「あなた、聞いて! これは恵子ののおなの! お義母さんがどうしてもしてくれないから、私が自分のパート代からしずつ貯めていたのよ! あなたからも言って!」
の女からから腕を引っ張られ、通帳を突きつけられた浩は、目を激しく泳がせた。 族の崩壊の音が、すぐそこまで迫っていた。
狭い茶のには、息が詰まるほどの沈黙が落ちていた。
ちゃぶ台のには、瓶と、引き裂かれた郵便局のハガキ、そして典子の青い通帳。 タツは鬼のような形相で腕を組み、典子は肩で息をしながら夫の答えを待っていた。
浩は、通帳に記された『千円』という数字を、まるで汚らわしい害虫でも見るかのように眺めていた。 歳の男の顔には、困惑と、そして何よりも「面倒な揉め事に巻き込まれたくない」
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という骨な逃避のが浮かんでいた。
「……浩。おからも言ってやりな」 タツがく、威圧な声で促した。 「嫁が勝にで座を作って、のをピンハネするなんて、世体が悪くて所にも顔向けができないよ。この通帳は私が預かって、正の学資に組み入れます。典子にはを辞めさせなさい。それで打ちにしてやる」
典子の血の気が引いた。 「あなた……! そんなこと認めたら、恵子の受験はどうなるの!? あとヶで願の提なのよ!? あなた、父親でしょう!?」
浩はを抱え、いため息を吐きした。 そして、典子の目を見ようともせず、ぼそぼそと呟いたのだ。
「……なあ、典子。母さんの言うことも、理あるよ」
「……え?」
「うちの計がのなのは、おだってってるだろ。正は跡取りだし、男がもてないんじゃ、これからの代、まともな就職もない。……恵子はさ、女の子なんだし、無理してくのへかなくたって、学たら所の縫製で働けばいいじゃないか。で何か働いて、いいが見つかれば嫁にけばいい。それが番、波がたないだろ」
典子の全の筋肉が、直した。 の奥で、キーンという甲い音が鳴り響く。
「……波がたない?」
「そうだろ」 浩は妻の絶望に気づきもせず、自分を正当化するように言葉をねた。
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