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"炎天下に追い出された新人と、5年ぶりに戻った男" 第4話

しかも、支払いの決裁印の欄には、すべて【総務部・黒岩】の鮮やかな朱肉の印が押されている。

(契約は解除されたはず……だから、私が毎朝炎をむしっているのに……どうしておが支払われ続けているの?)

は胸騒ぎを覚えながら、伝票の束を抱えて経理担当の先輩女性社員・松井のデスクへと駆け寄った。 「松井先輩、あの……この伝票なんですけど。半で契約解除されたはずのグリーン企画に、先も支払いがているようなんですが……これって何かの処理ミスでしょうか?」

松井は元を瞥した瞬、まるで猛毒のサソリでも見たかのように顔を青ざめさせた。 サッと周囲を見回し、誰も見ていないことを確認すると、の腕を掴んでの奥へと引っ張り込んだ。

「潮見さん、バカ言わないで! その類、どこから持ってきたの!?」 「キャビネットの過伝票のから……」 「見なかったことにしなさい! 今すぐ元に戻して、絶対にしないで!」

松井の声は恐怖で震えていた。 「でも、これっておかしいですよね? 架空の請求じゃないんですか? 会社のおが――」 「いいから! それがこの部署でき残るための唯のルールなの! 余計なことを詮索したら、あなた本当にこの会社にいられなくなるわよ!」

松井はから類のファイルをひったくるように奪い取ると、逃げるようにしていった。

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取り残されたは、え切ったステンレスのシンクので呆然とち尽くした。

だが、このやり取りを、物が目撃していた。

は、の自販でコーヒーを買うふりをしていた、総務部の主任・佐伯。黒岩の忠実な腰巾着であり、社内の密告役として恐れられている男だった。佐伯は嘲笑を浮かべながら、に部席へと歩み寄っていった。

そしてもう。 フロアの窓際の席から、松井が血相を変えてしてきた様子と、張った背を、滝川が静かに見つめていた。

翌朝、社すると、彼女のデスクのにあったはずのとパソコンの源コードが、綺麗さっぱり撤されていた。

「あ……あの、佐伯主任、私のパソコンは……?」 がおずおずと尋ねると、佐伯は嫌らしい笑みを浮かべて肩をすくめた。 「ああ、さん? 今から席替えね。君にはもっとな、現の勉をしてもらおうとってさ」

奥の部席から、黒岩がドカドカと歩み寄ってきた。にはバインダーが握られている。 「さん、君は経理の類に興があるみたいだけどさぁ。伝票を見るに、会社の『モノ』の流れを肌で理解してもらわないと困るんだよね。……階の第倉庫、ってるだろ?」

倉庫……ですか?」 「そう。過分の旧式設備の予備パーツと、古いカタログが積みになってる所だ。

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あそこの棚卸しをで全部やり直して、きで台帳を作ってくれ。あ、もちろん空調なんてついてないから、症には気をつけてねw」

フロアの空気が瞬にして凍りついた。 階の第倉庫。それは社内でも「お仕置き部」としてられる、窓もなく、湿気とカビの臭いが充満する事実の物置だった。気がこもり、の滞は危険とされる所だ。

「部、あの倉庫の棚卸しは、に全社で業者を入れて斉にう予定では……」 隣の島の課・堀田が珍しくおずおずと声をげたが、黒岩は眉を吊りげてした。 「堀田課! あんたがの教育方針にすな! の根性を叩き直すためのの鞭だよ、の鞭! 嫌ならいつでも辞めていいんだぞ、さん?」

はぎゅっと拳を握りしめた。 昨のグリーン企画の伝票。自分が正の尻尾を踏んだことに対する、見せしめの報復であることはだった。 「……分かりました。ってまいります」

げ、取りでフロアをていった。 その背を見送りながら、黒岩は窓際の滝川に向かって、わざとらしく聞こえる声で嘲笑った。 「いやぁ、最の若いのは気で困りますなぁ、滝川さん? 方のじゃ、こんな気な女、即刻クビでしょう? ま、窓際でぼーっと座ってるだけのあなたには、関係のない話でしょうけどねぇ!」

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