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"炎天下に追い出された新人と、5年ぶりに戻った男" 第5話

滝川は類から目をげなかった。 ただ、元の万らせる速度を切変えず、静かに黒岩の言葉を聞き流していた。 だが、その線の先――メモ帳の端には、黒岩のからた「グリーン企画」「倉庫」の文字が、鋭い跡でき留められていた。

階の倉庫は、埃とに包まれていた。 裸球の暗いはマスクをつけ、錆びついたスチール棚のった。 段ボール箱をけるたびに、カビの臭いと埃がい散る。 ノートを広げ、ボールペンの芯でつずつ数を数えていく。

「……負けない」

は呟いた。 母が誇りを持って働いていたこの会社。父が命を削ってきくしてきたこの所。 こんな劣なたちの私欲のために、い物にされてたまるものか。 汗が顎から滴り落ち、埃がいブラウスをに汚していく。 はたった、誰の助けもない暗で、鉛らせ続けた。

。定退社のチャイムが鳴り響くと、黒岩は取り巻きの社員たちを引き連れ、「座で美い肉でもうか!」と豪にフロアをていった。 汚れたブラウスのまま倉庫から戻ってきたは、誰とも言葉を交わさず、静かにタイムカードを押して帰途についた。

フロアに残ったのは、窓際の滝川と、総務課の堀田だけだった。 堀田(歳)は、汗っかきの首元にタオルのハンカチを巻き、机の類を片付けながら、チラチラと滝川の様子を伺っていた。

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滝川が鞄を持って席をち、エレベーターホールへ向かうと、堀田はを決したようにりでを追ってきた。

「た、滝川さん! しだけ……しだけでいいので、おをいただけないでしょうか!」

裏、赤提灯が揺れる古びた衆居酒。 カウンターの隅に座るなり、堀田はされたビールを気に半分まで煽った。 そのは、刻みに震えていた。

「……は、本当に申し訳ありませんでした」 堀田は々とげた。

「滝川さんが資材部で委託費の正を追及していた、私……黒岩部に脅されて、監査資料の提を遅らせました。滝川さんが方へばされるのを、ただ指をくわえて見ていることしかできなかった……! ずっと、ずっと悔していたんです」

滝川は静かに枝豆の殻を皿に置き、ビールを喉へ流し込んだ。 「もういい。あのの黒岩のろには、常務がついていた。おのようなが逆らえば、即座に方の倉庫へばされて終わりだった。族がいるなら、当然の保だ」

「でも……!」堀田は顔を歪め、涙声になった。 「会社は、あのよりもっと酷くなっています! 黒岩部に異を唱えたは、全員査定をげられ、僻の営業所か子会社へ追放されました。残ったのは、部に媚を売るイエスマンだけです。……そして今度は、あのの潮見さんまで……!」

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「堀田、潮見という娘について、おは何をっている?」 滝川の問いに、堀田は目を丸くした。

「え? あの子ですか? 般採用で入ってきた子ですよ。履歴を見る限り、ごく普通の庭のです。真面目で、気が利いて、どんな理尽な雑用でも嫌な顔つせずにこなす、本当にいい子です。……なのに黒岩部は、名すら呼ばずに『さん』と蔑み、今倉庫の仕打ちです。もう見ていられない……!」

滝川はジョッキを置いた。 「あの子の母親の名は、潮見美代子さんだ」

「えっ……? 美代子……まさか、創業期の伝説の女性課と言われた、あの潮見さんですか!?」 「そうだ。俺の最初の司だっただ。そして……美代子さんの夫は、誰だかっているか?」

堀田は息を呑み、絶句した。 「……正……浩郎……社……!?」

「そうだ。潮見は、正の実の娘だ」

ガシャン、と堀田のグラスがテーブルので倒れそうになった。 「な……な、なんですってぇぇっ!? しゃ、社の娘!? じゃあ、なんで名字が違うんですか!? なんでコネを使わずに、般採用の平社員として総務なんかに……!」

、美代子さんが病気でくなった」 滝川の声が、沈痛なみを帯びた。 「その、正げにかかりきりで、取りにわなかった。さんは父親を激しく拒絶し、母方の実へ籍を移して母の旧姓を名乗るようになったそうだ。

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