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"炎天下に追い出された新人と、5年ぶりに戻った男" 第10話

「見苦しい真似はやめんか、黒岩!!」

の顔面は、りと恐怖でに変していた。 「私がいつ、架空発注や横領を指示したというのだ! 現の管理を任せてみれば、裏で義弟のペーパーカンパニーを使って私腹を肥やし、あまつさえ社のご令嬢に虐待まがいの暴挙を働いておいて……! 恥をれ、この破廉恥漢が!!」

までの固な派閥の主従関係が、自己保の刃によって瞬で切り裂かれた。 黒岩は呆然とを見げ、をパクパクと魚のように閉させた。 「そ、そんな……切り捨てるんですか……!? あんたのために、俺がどれだけを被ってきたとってるんだ!!」

「喚くな、犯罪者が!」 は背を向け、正面の正に向き直って々と腰を折った。 「社……! 私の徳の致すところでございます。総務の現がここまで腐敗しているとは、ほどもらず……監督き届きの責任は、いかなる処分も甘受いたします!」

骨な責任回避の弁。 だが、正郎のえ切ったは、の額のえ際をナイフのように射貫いたまま微だにしなかった。

」 正く唸るような声が、井のく吸い込まれていく。 「お、滝川が資材部の正を告発した際、『現を混乱させる越権為だ』と叫んであいつをへ追放したな」

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の背筋が、ピシリと凍りついた。 「そ、それは……組織の規律を守るための事判断で……」

「その結果がこれだ。告発したを追いし、甘い汁を吸う犬を飼い慣らし、自らの派閥を太らせるために会社をい物にしてきた。……がこの会社のを叩いた、おたちのその腐りきった姿を、からすべて見ていたんだよ」

はゆっくりとがった。 仕ての良いシャツの袖から覗く太い首が、酷な宣告をすために机のの受話器へと伸ばされた。

「総務部コンプライアンス特命監査、ならびに法務部を呼べ」

の内線本で、役員会議の扉が再びいた。 入ってきたのは、法務部と顧問弁護士、そして滝川が事配していた部監査法の公認会計士たちだった。には、膨な財務データがプリントアウトされたファイルが抱えられている。

「黒岩」 正にへたり込む男を見ろし、容赦のない事実を突きつけた。

「本付で、貴様を総務部の職から解任する。……同に、就業規則違反、な背任為、および業務横領の容疑により、懲戒解雇処分とする」

「ちょ……懲戒解雇……!? ま、待ってください、退職は……! のローンが残ってるんです! 妻も子供もいるんです!!」

黒岩が涙とを垂らしながら叫んだが、顧問弁護士がて、徹に遮った。

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「退職はもちろんのこと、過にわたる正送分、概算千万円についての損害賠償請求訴訟を本付で提起します。保全措置として、あなたの自宅産および預座の仮差押え続きにすでに入っております」

さらに、法務部が警察帳を掲げたの男を部へと招き入れた。 警庁品川警察署の能犯捜査係の刑事たちだった。

「黒岩さんですね。株式会社正気からの被害届を受理し、業務横領の容疑で任を求めます。……にパトカーが待っています」

「嘘だ……嘘だろ……! こんなの何かの違いだぁぁっ!!」

黒岩の絶叫が、静まり返った役員フロアに響き渡った。 男に両脇を抱えられ、をもつれさせながら引きずりされていく黒岩の姿を、役員たちは息を呑んで見送るしかなかった。 彼が自げに巻いていた級スイス製ダイバーズウォッチが、蛍灯のを反射して虚しくギラリとった。

そして、正線が、再びへと戻った。

常務」 「は、はいっ……!」

「おについては、取締役会において解任議を提する。事の経緯、ならびに黒岩からの利益供与の無について、特別調査委員会で徹底に洗いさせてもらう。……本の夕刻までに、荷物をまとめて役員から退しろ」

の顔から、すべての気が抜け落ちた。 社内政治の頂点に君臨し、次期社の座を狙っていた男の野望が、入社員の誠実さと、遷からがってきた男の執によって、完全に砕された瞬だった。

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