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"炎天下に追い出された新人と、5年ぶりに戻った男" 第13話

拒絶の言葉を吐き捨てたはずなのに、なぜか涙が溢れそうになり、は夜空を見げて必に瞬きを繰り返した。

玄関のロータリーのベンチに、があった。 缶コーヒーをに夜を浴びていた滝川が、に気づいてがった。

さん。病院の丈夫だったか?」 「滝川さん……!」

は駆け寄り、々とげた。 「本当に……本当にありがとうございました。滝川さんが助けてくださらなければ、私、今頃どうなっていたか……」

「礼を言うのは俺の方だ」滝川は微笑んだ。「あんたが伝票の異常を見つけてくれたおかげで、からの膿をし切ることができた。……美代子さんも、空ので誇らしくっているはずだ」

にした麦わら子を見つめた。 「滝川さん、この子……もうしだけ、お借りしていてもいいですか?」 「もうの仕事はないぞ?」 「っています。でも……これを持っていると、負けちゃいけないって勇気がるんです」

滝川は声をてて笑った。 「気の済むまで持っていなさい。……からは、本当の仕事が始まるぞ」

は力く頷いた。 その瞳には、炎で踏みにじられていたとは違う、本物の「社員」としての確かなが宿っていた。

週末。ぶりに、都内の母方の祖母のを訪れていた。 母・美代子がくなってから、が籍を移し、を寄せていたさなだった。

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仏壇に線をあげ、わせる。 遺の美代子は、代の頃の凛とした笑顔で、優しく娘を見つめ返していた。

「おばあちゃん、これ……持ってきたよ」 がバッグから取りしたのは、塗装の剥げ落ちた古い折りたたみ式のガラケーだった。 母がくなる直まで病の枕元に置き、が形見として引き取っていたものだった。

器を差し込み、源を入れる。 チカチカと画面が点滅し、懐かしい起音が鳴った。 はメールの受信トレイをいた。そこに並んでいたのは、、美代子がホスピスに入院していた数ヶに、父・正郎から送られていた膨なメッセージの記録だった。

『美代子、今の容態はどうだ。今週はどうしても欧州のの調印式をせない。すぐに戻るから、待っていてくれ』 『美代子、頼むから持ちこたえてくれ。おがいなくなったら、俺は何のために会社をきくしてきたのか分からなくなる』 『すまない。今ばない。本当にすまない』

器用で、で、仕事に憑りつかれた男の痛な叫び。 そして、それに対する美代子の最の返信メール。

『浩郎さん。来なくていいのよ。 あなたが現だらけになって、何百もの社員とその族の活を守っている姿ごと、私はあなたと、この会社が好きだったんだから。

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には、私がちゃんと伝えておくから。……最まで、胸を張って仕事をしてきなさい』

はその画面を見つめながら、声をげて泣いた。 母は、父に見捨てられたのではなかった。 父を現へ送りし、その背を最まで支え続けていたのだ。

それなのに、自分は父を「母を殺した酷な仕事毒」と決めつけ、名字を捨て、父へのあてつけのように般採用で会社に潜り込んだ。 番何も見えていなかったのは、自分自だったのだ。

「お母さん……私、お父さんの会社に入って、本当によかった」 は涙を拭い、ガラケーを胸に抱きしめた。 「お母さんがした会社を、私も、私ので守っていくからね」

祖母が背からそっとの肩を抱きしめた。 「。……お父さんに、会いにってあげなさい」 「うん……今夜、ってみる」

が、縁側の鈴をチリンと涼やかに鳴らしていた。

。 照りつける太陽がアスファルトをく焼き焦がす、の昼がり。

の幹線沿い。巨な防音壁に囲まれた央分帯の空きに、オレンジの反射ベストを着た数名の作業員の姿があった。 症対策の空調すら支されない、雇いの除作業。 吹きる汗が目に入り、刈りの激しい振で腕の覚が麻痺していく。

その――汚れたぬぐいを首に巻き、腰を曲げて作業で雑を引き抜いていたのは、黒岩歳)だった。

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