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"入院中、母が勝手に老人ホームへ送られていた" 第6話

「それに、入居契約の連帯保証および元引受は誰になっていますか? まさか、無職の義父を抱える夫の名義ですか? 費用の支払能力を担保する類として、私の同のない報が提されているなら、印私文偽造および同使として警察へ通報します」

「な……!」

健太の顔から、完全に血の気が引いた。

「お母さん、くわよ。靴を履き替えて」

菜緒はボストンバッグから持ってきた母の履き慣れたスニーカーを取りし、元に揃えた。母は涙を拭い、しっかりと頷いて自分ので靴を履いた。

「おい、待てよ菜緒! ここまでやっておいて、俺の顔にを塗る気か!」

追いすがろうとする健太の腕を、菜緒は松葉杖の先でピシャリと制した。

「触らないで。あなたと話すことなんて、もう何つないわ」

母のを握り締め、歩、確かな取りでへと向かう。

で健太が何かを喚き散らしていたが、その声はもう、菜緒のには届かなかった。

施設をにした菜緒は、健太のには乗らず、エントランスから呼んだ福祉タクシーに母とともに乗り込んだ。

内で母のを握りしめると、母の体温はしずつ戻り、張っていた表にも気が蘇り始めていた。

「なお……本当に、に帰れるのね?」

「当たりでしょう。あそこはお父さんとお母さんが懸命働いて建てたよ。

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誰にも奪わせたりしないわ」

に戻ると、菜緒はまず居に積みげられていた段ボール箱のを解体した。

母の切な急須と湯呑みを器棚の元の位置へ戻し、父の形見の置計のゼンマイを巻いた。カチコチと響き始めた規則正しい秒針の音が、んでいたに再び命の脈拍を吹き込んでいくようだった。

「お母さん、蔵庫ののものは全部処分するわね。しい材を買いししてくるから、今は横になっていて」

母を寝の清潔な布団に寝かせ、痛み止めの湿布を貼り替えた。母は「ありがとう、なお……ありがとう」と何度も繰り返しながら、数ぶりにらかな寝息をて始めた。

台所の子に腰をろした菜緒は、提げバッグから自分のメインバンクのキャッシュカードと通帳を取りした。

スマートフォンの代替は、実へ向かう途量販で即購入し、通信制限を解除してあった。

菜緒は画面をき、ネットバンキングのログイン画面を表示させた。

指先が迷うことは、もう微もなかった。

まずいたのは、自設定の覧だった。

・毎28振込:吉沢浩司(夫の父親名義座) 120,000円 ・毎28振込:吉沢子(夫の母親名義座) 30,000円

画面に並ぶ数字を見つめながら、菜緒の元にたい笑みが浮かんだ。

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結婚してが経ち、義父が期退職して自堕落な活を始めて以来、健太に懇願されて始めた仕送りだった。

最初は「るまでの数万円だけ」という約束だった。それがいつのにか義父の医療費、義母の遊興費、実のリフォーム費用と名目を変えて増額され、には菜緒に無断で万円にげられていた。ボーナスのには万円、万円のを当たりのように無され、断れば「親を見捨てるのか」「酷な嫁だ」と健太から責めてられた。

『うちの親は族だろ。支えるのは当たりの義務じゃないか』

健太が何度もにした言葉が、の奥で霊する。

夫の親は「族」だから、妻の座から毎数万円を掠め取って当然。

だが、妻の母親は「まとい」だから、事故に乗じてを奪い、施設へ放り込んで始末する。

「……ふざけないで」

菜緒は画面の『設定解除』のボタンを、躊躇なくタップした。

『義父座への自止しました』 『義母座への自止しました』

画面に表示された確認メッセージを保し、続いてクレジットカードの会員サイトをいた。

義父母に「緊急用」として渡してあった族カード枚。用品の購入に使われているはずの細には、級百貨の催事や温泉旅館、ゴルフでの決済が並んでいた。

菜緒は即座にカード会社へ話を入れ、枚とも「紛失および正利用の疑い」として利用止の続きを取った。

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