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"凶悪犯と殺処分寸前の猫" 第9話

「自作自演、か」アンソニーはく笑った。「副所、あんたは俺たちを『変わらねえ獣』だとってるな。暴力を振るい、嘘をつき、のを引っ張ることしかできねえクズだと」

「事実だろうが」

「ああ、昔の俺はそうだった。だがな、今の俺には守るべきものがあるんだよ」

アンソニーは懐から、冊のさな帳を取りした。

「これは、Jブロックの受刑者全員が交代で記録している『猫の誌』だ。何に誰が飯をやったか、誰がトイレを掃除したか、どの猫の便が緩いか、すべて分単位で記録してある。昨夜、オコナー守が巡回ルートをれ、監カメラの角にち止まっていた——午分から分まで。その分に、スローンのの扉がどういうわけかセンチいていたのを、向かいののヘンリーが目撃し、ここに克に記録してある」

ミラーの眉がぴくりとねた。

「さらに」アンソニーは言葉を継いだ。「その分の直、薬品庫の鍵を管理していた当直誌のサインは、ミラー副所、あんたの認印だったそうだな。……所、部の州警察に鑑識を依頼してください。この肉片の包みには、毒を仕込んだ奴の指紋が残っているはずだ」

会議に、完全な静寂が落ちた。

受刑者が、暴力ではなく、記録と事実によって権力側の正を追い詰める。

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かつて誰も見たことのない景だった。

リチャード所はく頷き、ちがった。

「ミラー副所、オコナー守。両名の職務権限を止し、州警察の内部監察部による調査を受けさせる。薬品庫の入退記録および監カメラの全映像を押収しろ」

「所! 受刑者の戯言を信じる気ですか!」

取り乱して叫ぶミラーを、リチャードは徹な差しで切り捨てた。

「戯言ではない。彼らは自らの尊厳と、託された命を守るために、法と記録の続きを踏んだのだ。……カーター受刑者、部へ戻りたまえ。オレオの全は、私が全責任を持って保証する」

錠をされたアンソニーは、静かに礼して部をた。

通の鉄格子の向こうから、受刑者たちの歓声と、机を叩く力い拍が波のように湧き起こっていた。

毒殺未遂事件から週、ペンドルトン刑務所にはかつてない結束がまれていた。

スローンとその取り巻きは州の施設へ制移送され、ミラー副所は内部規律違反により解任された。刑務所内の主導権は、暴力なギャングから、猫の命を守るために団結した受刑者たちのへと完全に移していた。

だが、平穏が戻ったのも束の、アンソニーの独にたな試練が訪れた。

初の湿気がち込めるの朝、オレオが朝の餌に姿を見せなかったのだ。

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ケージの奥、毛布の隙で、オレオは体をく張らせ、浅く速い呼吸を繰り返していた。呼びかけてもをかさず、黄い胃液をに吐き戻していた。

「オレオ……? おい、オレオ!」

アンソニーの血相が変わった。抱きげると、いつもは温かいさな体が、信じられないほどを持っていた。ぐったりと力を失った。

「守! 守を呼べ! マレア先を呼んでくれ!」

アンソニーの鳴のような絶叫がJブロックに響き渡った。隣のからマーカスやカルロスが鉄格子に駆け寄り、異変を察して次々と守を呼び呼応した。

「おい、カーターの猫が倒れたぞ!」 「く医者を呼べ! 急げ!」

分、マレア医師が駆けつけ、オレオを医務の処置台へと運んだ。アンソニーも特別に同席を許された。

触診と超音波検査を終えたマレアの表は厳しかった。

「急性腎全と、尿閉塞よ。過の虐待による内臓の損傷と、飼育代の劣悪な環境が原因で、性な疾患を抱えていたの。……今すぐカテーテルを通さなければ、以内に尿毒症で命を落とすわ」

「助けてくれ……頼む、先、助けてくれ!」

アンソニーは処置台の縁を掴み、男の体をさく丸めて懇願した。

「俺の血でも肉でも、使えるもんなら何だって持っていっていい! こいつは……こいつは俺の命なんだ!」

マレアは静かにアンソニーの肩にを置いた。

「アンソニー、落ち着いて。全力を尽くすわ。でも、今この子に必なのは、あなたの取り乱した姿じゃない。

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