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"昭和29年、教室から消えた子どもたち" 第6話

「同じ机で働くのが嫌だって言うがいた」

夫は初めて聞いた。

「それから姉さん、に病気のことを言わなくなった」

「でも」

「隠してるから偏見がなくならないって言いたいんでしょう」

母は苦笑した。

「分かってる」

夫は驚いた。

「分かってるよ。そんなこと」

「じゃあ」

「でも、自分のを使って世のを正す勇気が、誰にでもあるとわないで」

その言葉はかった。

夫は反論できなかった。

数。

夫は学聞を作っているの先輩・川修へ相談した。

「結核のことをきたい?」

「病気の説じゃなくて」

「じゃあ何」

「病気のの子が学からいなくなること」

修は眉を寄せた。

「本名すのか」

「さない」

「族のことも?」

「さない」

「だったら何をく」

夫は考えていた言葉をにした。

「『なぜ急にいなくなったことにするのか』」

修はしばらく黙った。

「面いけど、学聞には載らないとう」

「どうして」

「先が止める」

「やっぱり」

「でも」

修は鉛を回した。

「保健委員会で話すなら別かもしれない」

「保健委員会?」

「に全向けの講話がある。松永先が内容を考えてる」

その瞬、

夫のにつの考えが浮かんだ。

病名を暴く必はない。

誰が結核なのか言う必もない。

ただ、

病気のが戻ってきた、

どう接するか。

それだけなら話せるのではないか。

夫は初めて、

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調べる側ではなく、

自分から何かを変える側へこうとった。

松永先は最初、

夫の提案に難しい顔をした。

「徒が話すの?」

「全部じゃなくていいです」

「何を言いたいの」

「病気が怖いのと、病気だったを嫌うのは違うって」

松永先は黙る。

「それ、先が言ってました」

「私はそんな派なこと言ったかしら」

「言いました」

松永先はし笑った。

「学が隠すから余計怖くなるって、まだってる?」

「ってます」

「そう」

「でも、何でも言えばいいとはわなくなりました」

松永先の表が変わった。

夫は続けた。

「信のお父さんのこと、みんなに言うのは違う。でも、信が戻ってきたに避けられるのも違う」

「……」

「だから、誰かの名じゃなくて、結核ってどういう病気なのかちゃんとった方がいい」

松永先はしばらく考え、

「先に相談してみる」

と言った。

の講話。

体育館に全徒が集められた。

保健所から医師が来た。

結核はく見つけて治療することが切であること。

患者すべてが同じ状態ではないこと。

医師の指示や検査に基づいて活を考えること。

根拠のない噂でを避けるべきではないこと。

夫は壇にはたなかった。

それでも、自分の提案した内容がいくつか入っていると分かった。

講話の。

教へ戻る途。

野が言った。

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「」

「何」

「お、この検査って言ってたよな」

夫は構えた。

「うん」

「もう平気なんだろ」

「今は」

「じゃあいいじゃん」

それだけだった。

拍子抜けした。

子もから言った。

「このごめん」

「何が」

「怖いって言ったこと」

「別に」

「病気のことらなかったから」

夫はし笑った。

「僕もらなかった」

さな変化だった。

学全体が変わったわけではない。

それでも、

「怖いから避ける」

以の言葉が教につ増えた。

半ば。

子が夫を呼び止めた。

「これ」

さな封筒。

差は森田子。

「子から?」

「私に来たの」

「何て」

子はためらった。

「にも見せていいっていてある」

には、

療養所での暮らしがかれていた。

朝の検温。

静。

窓のに見える。

同じ頃の子供が何かいること。

そして最。

《学では私、転したことになってるんだってね。お母さんがそうしてほしいって頼んだらしい。最初はした。でも最は、戻るどうするんだろうってう。転したが急に戻ったら変だよね。みんなに病気だったって言われるより怖いかもしれない。》

夫は何度も読んだ。

守るための嘘。

が経つほど、

戻るための壁になる。

子は続けていた。

《病気が治ることより、学に戻る方が怖いって変だね。》

その夜。

夫は先へを見せた。

先はく読んだ。

「森田さん本がいたんだな」

「はい」

「お母さんの許は?」

「子が返事で聞くって」

は机へ置いた。

「先たちも考え直さないといけないかもしれないな」

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