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"昭和29年、教室から消えた子どもたち" 第8話

ある晩。

押し入れの理をしていた文が、

古い箱をした。

に写真。

若い頃の母。

その隣に女性。

伯母の千代だった。

夫は初めて、

母の姉の顔をはっきり見た。

「似てる」

「そう?」

「母ちゃんより美」

「余計なお世話」

で笑った。

箱の底から、

封筒がてきた。

文のが止まる。

「何?」

「姉さんの」

には古い。

婚約者だった男性からのものだった。

《の者を説得できませんでした》

《病気が治ったことは分かっています》

《申し訳ありません》

夫は途まで読み、

返した。

「これだけ?」

「これだけ」

文は静かに言った。

「姉さん、これ捨てられなかった」

「そののこと好きだったんだ」

「そうね」

「伯母ちゃん、その結婚しなかったの?」

「しなかった」

しばらくして、

文が言った。

「本当はね」

声がくなる。

「姉さんが病気だったから破談になっただけじゃない」

夫が母を見る。

「うちの父親……おのおじいちゃんが、相のへ鳴り込んだの」

「何で」

「娘を病扱いするなって」

「普通じゃない?」

「その、姉さんが療養してたことも、所にられた」

夫は息をむ。

「守ろうとしたんだよ」

文は言った。

「でも守り方を違えた」

その言葉に、

夫はこれまでの全部をねた。

学。

信の母。

自分の母。

誰も傷つけようとしていない。

守ろうとしている。

なのに、

守り方を違える。

「だから燃やしたの?」

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「そう」

文は頷いた。

「おまで姉さんみたいになるんじゃないかって」

「僕、結婚の予定ないけど」

「今の話じゃないよ」

母は笑った。

その笑顔は、

以よりし軽かった。

。

青葉学では、

期欠席徒の扱いについて保護者を交えたさな話しいがかれた。

きっかけのつが、

子からのだった。

療養所から戻る、

「転したはずの自分が戻ったら何と言われるのか」

本がを訴えている。

。

先。

松永先。

保護者会の代表。

そして、徒の見を聞くため、

夫と子も呼ばれた。

夫は緊張していた。

が言う。

「病名を公表することはできない」

「はい」

「族が秘密にしてほしいと希望した、それも尊する必がある」

「分かります」

「では、学は何を変えればいいとう」

夫は考えた。

以なら、

「全部正直に言えばいい」

と答えていた。

今は違う。

「嘘をつかない」

が眉をげる。

「病気のことは言わなくていいといます」

「うん」

「でも、転してないのに転したって言わない」

松永先がさく頷く。

「しばらく休みます、でいい」

「理由を聞かれたら?」

「本から話すまで待ってって言う」

保護者代表の女性がをいた。

「でも子供は噂しますよ」

「します」

夫は答えた。

「先が嘘ついても噂します」

部が静かになった。

「だったら、結核のことをちゃんと教えてほしいです」

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「どういう?」

「誰かが休んだからって、勝に結核だって決めないように」

子も言った。

「は私も、検査したって聞いただけでのこと怖いっていました」

たちが子を見る。

「でもらなかったからです」

会議は以続いた。

結論は単純ではなかった。

それでも、

今は期欠席を律に「転」と説しない。

保健教育を増やす。

復学する徒については本と族の希望を聞き、必ならクラスへ説する。

さな変更だった。

それだけでも、

誰かが突然消える教はし減るかもしれない。

。

森田子が療養所から戻ることになった。

完全に元の活へ戻るわけではない。

通院を続けながら、

体力を見て登する。

。

子が緊張していた。

「何話せばいいんだろ」

「普通でいいだろ」

「普通って何」

「それは俺にも分からん」

信が笑った。

「俺のみたいに、いきなり『うつらないの?』はやめとけ」

野がろから、

「まだ言うか」

と赤くなる。

翌朝。

子が教へ入った。

以より細い。

髪もしくなっている。

先が簡単に説した。

「森田さんは病気の治療のため休んでいました。医師の許を受けて今からしずつ登します」

病名は言わなかった。

子自も言わなかった。

それでよかった。

席に着く。

机のには、

子が保管していた教科。

箱。

体操着。

全部戻されていた。

子は箱を触り、

し泣いた。

休み。

夫は声をかけた。

「お帰り」

「ただいま」

「読んだ」

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