"廃屋を買った兄妹と、床下に眠る父の秘密" 第9話
空はすぐ許すとも責めるとも言えなかった。
だがつだけ聞いた。
「父は最、怖がってましたか」
森川はし考えた。
「怖がってた」
空は息を止めた。
英雄のような答えではなかった。
「でも逃げなかった」
森川は続けた。
「輔さん、『怖いからこそ記録残すんだ』って言ってたよ。自分が勇気あるだなんてってなかった」
その言葉の方が、空には父らしかった。
怖くないではない。
怖くてもやった。
そのから、空は「父のようにくならなければ」と考えるのをやめた。
怖ければ、怖いと言っていい。
で抱えず、倉田へ相談する。
警察へ頼る。
千代へ頼る。
弟を守るために、自分も守る。
それも父が最にやろうとしていたことなのだと気づいた。
健が逮捕されても、はすぐには捕まらなかった。
会社側は弁護士をて、「元社員らによる虚偽の告発」と主張した。自も取材に対し、正送も事故もらないと否定した。
さらに空にとって予の攻撃が始まった。
SNSに、
《両親の保険目当てで事故を騒いでいる姉》
という匿名投稿がた。
《廃に男を監禁していた》
という内容までかれている。
事実をし混ぜて逆にする。
空はって反論をきかけた。
倉田が止めた。
「今はかない」
「でも嘘です」
「嘘だからこそ、相にわせてかない」
投稿元の調査は警察へ任せる。
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会社関係者が絡んでいれば、それも証拠になる。
空は携帯話を閉じた。
代わりに毎、付と来事をノートへく。
陽斗の学でも噂が広がり始めた。
ある、陽斗が帰宅して言った。
「お父さん、を困らせたなの?」
空は胸が痛んだ。
「誰に言われたの」
「同じクラスの子」
空は弟のへ座った。
「お父さんは、困ってるを助けようとしただよ」
「じゃあ何で悪いってかれてるの」
「いてあることが全部本当とは限らないから」
陽斗は考えた。
「お姉ちゃんの帳と同じ?」
「何が?」
「本当のことはいて残すって言ってた」
空はわず笑った。
「そう。同じ」
その夜、側の匿名投稿について発信元の部が判した。
注先の広報会社。
契約元は浜ロジスティクスの関連会社だった。
反撃は逆に、との関係をもう本増やした。
さらに会社内部からしい告発者がた。
経理部の女性社員だった。
「瀬さんがいなくなった、副社から古い請求データを削除するよう言われました」
削除、彼女はになり私用のメモへ取引番号を控えていた。
その番号が、父の茶封筒にかれている番号と致した。
父のメモ。
瀬の監査。
内部社員の記録。
つの独した資料が同じの流れを指している。
の包囲網は狭まっていった。
を直接父母のへつなぐには、備会社への指示経が必だった。
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健は「に言われた」と供述した。
元備員も「健からを指定された」と話す。
だがは、
「健が勝にやった」
と主張できる。
倉田は資料を何度も見直した。
そこで空が気づいた。
父の録音。
《はいつも通り奥さんと病院へくんですよね》
この質問をした声は健だった。
しかし、そのが切れている。
録音には別ファイルがあるかもしれない。
古いメモリーカードをつずつ調べた。
番目のファイル。
わずか秒。
雑音がい。
父の声。
健。
そしてくにもう。
『さん、そこまでやる必ないでしょう』
健の声だった。
続いて。
『もう瀬が消えた点で戻りできないんだよ』
空の指が止まる。
父の声が入る。
『何の話だ』
そこできな物音。
録音終。
い。
事故を指示した直接の言葉ではない。
だが瀬の失踪をが把握し、その処理へ関与していたことを示す。
さらに県警は健の削除済み携帯データを復元した。
事故夜、から送られたメッセージ。
《予定通り。はKが配。終わったら300》
百。
単位はない。
しかし翌、父母が。
その翌朝、健へ百万円。
それでもは否定した。
《300は百万円ではない》
《予定通りは別件》
《は業務両》
つずつなら逃げがある。
だがすべてが同じになっている。
県警は再逮捕へ向けてき始めた。
その夜。
が姿を消した。
会社にも自宅にもいない。
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