みかん小説
本棚

"退職金を狙った息子夫婦と、亡夫の最後の記録" 第1話

「ここに署名してください。退職は全額、美の教育座へ移しますから」

勤めた病院を退職した夜、本久美子は祝より先に振込依頼を差しされた。額欄には千百万円。受取座も記入済みで、あとは久美子が署名し、印鑑を押すだけになっていた。

渡したのは息子の妻、理だった。ホテルの個には息子の健太、歳の孫・美、健太の叔父夫婦まで集まっている。退職祝いだと聞いていたが、乾杯から分も経たないうちに、卓は久美子の老資を分ける相談のへ変わった。

「全額なの?」

「美は私、そのは医学部を目指します。お義母さんは持ちで暮らしでしょう。老にそんなは必ありませんよね」

理は費用覧を見せた。、予備、学受験、入学準備。健太も印鑑ケースを母の元へ置き、「父さんは、財産は全部美のために使うと言っていた」とを押した。断れば、将来介護が必になっても頼らないでほしいという。

久美子は親戚の顔を見た。誰も千百万円はすぎると言わない。むしろ叔父は、孫へ残せるなら幸せだと頷いた。祝いの席へ親戚を呼んだ理由が、ようやく分かった。勢ので拒否しにくくするためだった。

久美子は角に座る美へ尋ねた。

「本当に、その私へきたいの?」

広告

美が顔をげるよりく、理が「子どもにおの話をしないでください」と遮った。その瞬、久美子は依頼をつ折りにし、健太へ返した。

「今は署名しません。学先と使いを確認してからです」

健太は母の退職記品が入った袋を乱暴に子へ置いた。「母さんだけを抱えてぬつもりか」と吐き捨てたが、久美子は答えず席をった。

帰宅、夫・昭夫が美の教育について何を残したのか確かめるため、貸の収支ファイルをいた。そこで毎、万千円が同じ座へ送られていることに気づいた。昭夫のも続き、計は百万円を超えている。摘欄には《学費返済》とあった。

受取名義は《ヤマモトマコト》。夫の古い所録にも同じ文字があり、その横に赤字でだけ記されていた。

《健太にはらせるな》

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: