"一着の学生服を分けた双子" 第3話
浦が最の頁をくと、
赤鉛できくだけかれていた。
《から 》
「これは」
浦はを理解したつもりになった。
「へかせられるのがだけ、というですか」
澄は首を横に振った。
「違います」
「では」
澄の指先が震えた。
「へくのは、とも無理です」
その答えの方が、浦には衝撃だった。
「じゃあ《》というのは?」
澄が答えようとした、玄関がいた。
父親の正だった。
作業着の肩や髪には屑が付き、疲れ切った顔をしている。浦の姿を見るなり、表がくなった。
「先、何しに来たんです」
「信夫君と昭夫君のことで」
正は机のの計簿へ気づくと、すぐを伸ばして取りげた。
「澄、余計なもの見せるな」
「でも」
「先にの財布まで見せる必ないだろ」
浦は引かなかった。
「は学を半分しか来ていません。このままでは席数も問題になります」
「卒業はさせます」
「どうやってです」
「うちのことは、うちで決めます」
「《から》とは何です」
その瞬、
正のが止まった。
信夫も昭夫も、父親の顔を見ている。
正は計簿を閉じた。
「先には関係ありません」
「子供たちのなら関係があります」
「ありません」
それ以、正は何も話さなかった。
浦はその、答えを得られないままをた。
翌朝。
駅で《阿久津材》の板を見た、浦はを止めた。
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ので誰も話さないなら、
信夫が働いている所へけば、
何か分かるかもしれない。
阿久津材は町では比較きな事業所だった。広いには杉と赤松がく積まれ、製材のい唸りが絶えず響いている。
主の阿久津源蔵はの柄な男だった。浦が名乗ると、骨に眉をひそめた。
「んとこの双子の話か」
「なぜ分かるんです」
「先がこの頃うちの周りを嗅ぎ回ってるって聞いた」
浦は回しな言い方をしなかった。
「学を休ませて学を働かせるのはやめてください」
阿久津は煙を皿へ押しつけた。
「働かせてるんじゃない。親父の伝いについてきてるだけだ」
「朝から夕方までです」
「飯もわせてる」
「そういう問題ではありません」
阿久津は浦をしばらく睨んだ、事務所の棚から枚のを取りした。
「先が聞きたいのは、どうせこれだろ」
には、
《採用予定者》
と印刷されていた。
採用予定。
昭4241。
氏名。
信夫 歳。
勤務形態。
み込み。
浦は何度も文字を追った。
「卒業したら、信夫君をここで?」
「正式に雇う」
「本は承しているんですか」
「もちろんだ」
これで《から 》のが分かった。
へけるのがなのではない。
になれば信夫がをる。
材のみ込み部へ移り、歳で働く。
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では費が分減る。
さらに料の部を実へ入れる。
そういうだった。
浦はもう度類へ目を落とした。
そこで、
最段のに気づいた。
《保証》
昭夫
瞬、読み違いかとった。
「これは何です」
阿久津の表からわずかに余裕が消えた。
「いてある通りだ」
「昭夫君はまだ歳ですよ」
「今はな」
「歳の弟を、兄の就職の保証にするんですか」
浦は類を指で押さえた。
「この名は誰がいたんです」
阿久津は答えない。
「昭夫君本ですか」
沈黙。
「本はっているんですか」
阿久津は浦から類を取り返した。
「の親父に聞け」
「どういうです」
「の話まで俺はらん」
「あなたのの類でしょう」
阿久津は急に声を落とした。
「先」
その目だけが笑っていなかった。
「らない方がいいこともある」
浦は、かえって確信した。
単なる貧しい庭の就職話ではない。
父親の借。
み込み採用。
弟の名。
そして阿久津の反応。
全部がつながっている。
その夜、浦は再びを訪ねた。
今度は制のためではない。
まだ歳の昭夫が、
なぜ兄の未来の保証にされているのか。
その答えを聞くためだった。
正は最初、何も話そうとしなかった。
「学をて働くことの何が悪い」
そう繰り返すだけで、保証欄の話になると骨に線を逸らした。
「働くことを責めているんじゃありません」
浦は畳に座ったまま言った。
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