"一着の学生服を分けた双子" 第8話
「私が余計なことをしたのかもしれません」
と話した。
はしばらく黙っていた。
「正さんの仕事が減ったことか」
「はい」
「おが何もしなかったら、信夫はにみ込みへっていた」
「でも今、の収入が」
「だから次を考えるんだ」
浦は顔をげた。
「教師は借を払えない。雇用も保証できない。だが、学しかつなげられない先もある」
は職業定所、町役、県の教育担当、隣の企業へ連絡を取り始めた。
正についても、
の臨雇用や別の製材所を探した。
すぐ仕事が見つかるわけではない。
断られる。
齢を理由に難しいと言われる。
材との関係を気にする事業所もあった。
浦はそこでようやく、
現実の支援というものが、
誰かの正義で突然解決するものではないと理解した。
件聞いて、
件能性が残る。
その件を、
族が自分で選ぶ。
そういうな作業だった。
の面談。
浦は枚の票を机に置いた。
《信夫》
《昭夫》
以なら、
どちらか枚しか現実にならないように見えただった。
信夫には、隣の械部品を提案した。
卒者を採用し、
希望者はくの定制へ通える。
寮もある。
具職ではない。
それでも製図や械加を学べる。
「働きながら学へける」
信夫は求票を何度も読んだ。
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「に入れられますか」
「最初にそれか」
浦は笑った。
「自分の料だから、自分で決めろ」
「借には」
「使わなくていい」
信夫は黙った。
その言葉を、
ずっと待っていたのかもしれない。
昭夫には県業の械科。
成績は格圏内。
奨学の制度もある。
「俺が昼のでいいんですか」
「何が悪い」
「兄ちゃん働くのに」
信夫が横から言った。
「俺も学く」
「夜じゃん」
「学は学だ」
「何か兄ちゃんだけ格好いい」
「らねえよ」
はまた喧嘩した。
でも、
今度はどちらが犠牲になるかではない。
自分の希望と、
相の希望。
未来を選ぶための喧嘩だった。
。
正はで阿久津材へった。
浦にも族にも言わなかった。
事務所へ入り、
子を脱いだ。
「阿久津さん」
「何だ」
「俺を切るなら切ってください」
阿久津が顔をげた。
「急に何言ってる」
「でも、息子は関係ない」
正は続けた。
「信夫を借の代わりに入れる話は、なしにしてください」
「誰が代わりだと言った」
「俺がそうってた」
阿久津は黙る。
「助けてもらったことは忘れません」
正はくをげた。
「女の薬代も、の米も、全部助かった」
声が震える。
「でも息子をして返したら、俺はあいつらの顔を見られなくなる」
阿久津はしばらく何も言わなかった。
やがて、
帳面をいた。
「万千」
「はい」
「千でいい」
正が顔をげた。
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「本当に」
「遅れるは先に言え」
「はい」
阿久津は線を逸らした。
「信夫がうちへ来たいなら」
正の肩が固くなる。
「普通の卒として応募させろ」
「借は」
「関係ない」
それだけだった。
完全な解ではない。
謝罪もない。
それでも、
何も混ざっていたつのものが、
ようやく分かれた。
父親の借。
息子の。
。
澄が倒れた。
内職を増やし過ぎたのが原因だった。
をし、
数起きがれなくなった。
信夫はすぐ、
「俺、の話やめる」
と言った。
昭夫も、
「受験しない」
と言いした。
病の澄は、
を枕元へ呼んだ。
「何のためにここまでやったとってるの」
「でも母ちゃん」
「私が寝込むたび、あなたたちのが消えるなら」
息をえ、
続ける。
「私はもう病気にもなれないじゃない」
は黙った。
「族だから助けるのは当たり。でも、族だからのを全部使うのは違う」
澄は信夫のを握った。
「働きたいなら働きなさい。学びたいなら学びなさい」
次に昭夫。
「へきたいなら、受けなさい」
「でも」
「落ちたら、そのまた考えればいい」
澄は疲れた顔で笑った。
「何でも先に諦めるの、もうやめよう」
その言葉は、
兄弟だけではなく、
正にも向けられていた。
。
最初に届いたのは、
昭夫の県業からの通だった。
澄が封をける。
《格》
昭夫はを持ったまま、
しばらく声をせなかった。
「受かった……」
信夫が肩を叩く。
「やったな」
「兄ちゃん」
「何だ」
「本当にいいの」
「何回聞くんだよ」
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