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"火曜日だけ「受取済」が増える町" 第1話

昭、阪。戦争が終わってが過ぎても、町にはまだ空襲の焼け跡が残り、米は分にはき渡っていなかった。配の朝になると、主婦も老も配通帳を握り、まだ暗いうちから配所のへ列を作った。歳の俊夫にとっても、米を受け取るはの週をする事なだった。

その町では、頃から妙な来事が続いていた。決まって曜になると、軒か軒、窓で「もう受け取り済みです」と言われるがるのである。正式な台帳には確かに《受取済》の判があり、係員は「こちらには記録がありますから」と取りわなかった。

最初に騒いだのは暮らしの老だった。「わしは来とらん」と何度訴えても、ろの列からは「寄りだから忘れたんじゃないか」という声がんだ。次は戦争で夫をくした母子、その次は疎先から戻ったばかりので、町では次第に「あのは度受け取った米をへ流して、もう度もらおうとしているらしい」と噂されるようになった。

俊夫も最初はそうっていた。米を受け取ったかどうか忘れるはずがないし、配通帳は族にとって財布以に事なものだった。何軒も同じことが続くなら、受け取る側にも何か事があるのだろうと考えていた。

ところが最の曜、その考えは瞬で崩れた。

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母の芳と列に並び、ようやく窓へたどり着いた、係員の男がの通帳をいて眉を寄せた。帳簿をめくり、もう度通帳を見たあと、事務な声で言った。

「さんは、昨お受け取りになっていますね」

芳のが止まった。

「昨?」

「、曜。こちらに判もあります」

「そんなはずありません。昨はにいました」

俊夫もを乗りした。

「通帳だって母ちゃんの箪笥に入ってたんです。誰が受け取ったっていうんですか」

「私は記録を見て申しげているだけです」

係員は台帳を俊夫からざけようとしたが、俊夫は瞬だけの欄を見ることができた。確かに昨の付の横に《受取済》の印があり、その隣には受領者の印鑑まで押されている。

俊夫の背がたくなった。

その印が、にある母の判子とよく似ていたからだった。

列のろから満の声ががった。「くしてくれ」「受け取ったなら退いてくれ」と言われ、芳は青い顔のまま通帳を閉じた。結局、そのは粒の米も受け取れず、俊夫たちは空の袋を持ったままへ戻った。

、母はほとんど何も話さなかった。

俊夫のには、の男の顔が浮かんでいた。

叔父の清吉。

父・勇作の弟で、配所で帳簿理の伝いをしている。にもよく入りし、母が印鑑を箪笥のどこへしまっているかもっていた。

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「母ちゃん、清吉叔父さんに判子貸したことある?」

「ないよ」

芳は即座に答えた。

「じゃあ、何で同じ判が押してあるんだよ」

母は答えなかった。

その沈黙が、俊夫には叔父への疑いよりも気にえた。

そしてその夜、卓に麦だけの粥が並んだ、俊夫は決めた。

叔父が何をしているのか、自分で確かめる。

清吉は歳で、戦争にを負傷して線から戻り、終戦は配所の帳簿理や荷運びを伝っていた。数はないが、俊夫には昔から菓子を買ってくれたり、壊れた自転を直してくれたりする叔父だった。だからこそ、母の印鑑を使って米を抜いたのだと考えると、俊夫の腹の底にいものが溜まった。

そのの夜過ぎ、俊夫はを抜けした。焼け残った塀のを通り、配所の裏へ回ると、枠の窓が枚だけ完全には閉まっていなかった。昼に荷物をし入れするための窓で、細の俊夫ならどうにか体を通せそうだった。

には米と糠の匂いがこもっていた。かりが俵の輪郭をぼんやり浮かびがらせ、壁際には空箱、台秤、縄の束が積まれている。俊夫は物音をてないよう靴を脱ぎ、奥の事務机へんだ。

番の引きしには配券の束、段目には鉛や朱肉。段目は鍵がかかっていたが、番の引きしだけしいていた。

そこから学ノートほどのさな冊子が覗いている。

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