"火曜日だけ「受取済」が増える町" 第3話
制度の帳簿にはうまく載らない。
しかし現実には、今べる米が必だった。
「父ちゃんの分は……」
「こういうのところへ回してた」
俊夫は混乱した。
「じゃあ、叔父さんたちはを助けてたのか」
芳は首を振った。
「そんなきれいな話じゃないよ」
その声には、させる響きがなかった。
「最初はね、確かにそうだった」
終戦直、届や転届が役所へ届かず、名簿だけ数が残るがかった。方で戻ってきたの登録は遅れ、現実のと配名簿がわなかった。
そこで部の職員と民が、消えずに残っている名義を利用し、登録から漏れたへ米を回すようになった。
違法だった。
だが申請が通るまでか待てと言われても、子どもの腹はか待たない。
「じゃあ何が汚いんだよ」
俊夫が聞いた。
芳はしばらく答えなかった。
「のに、米がりなくなり始めた」
「りない?」
「名義からる分と、実際に届く分がわなくなったんだよ」
本来なら俵回せるはずなのに俵。
ある週には俵。
した分を埋めるため、今度は本当に配を受けに来たを《受取済》にするようになった。
「じゃあ今のうちも」
「巻き込まれた」
俊夫は息を呑んだ。
を助けるために始まった裏の仕組みが、いつのにか別のから米を奪う仕組みに変わっていた。
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「誰が抜いてるんだ」
「分からない」
「叔父さんは?」
「清吉も調べてる」
そのだった。
背から声がした。
「調べてたのは俺からじゃない」
振り返ると、清吉がっていた。
叔父は俊夫ののノートを見た。
「最初に気づいたのは、おの親父や」
俊夫はけなくなった。
清吉は自宅へを連れていった。畳の部には、戦から戻ったの荷物がまだ箱に残っている。叔父は押し入れの番奥から、その箱を引きした。
「勇作兄貴がぬに、俺に預けた」
からてきたのは、表の擦れた帳だった。
昭。
昭。
付と米の量がびっしり並んでいる。
《曜 入荷俵》
《正規配俵》
《臨救済俵》
《差 俵》
次の週も。
その次の週も。
曜は必ず曜。
数字はしずつ違うのに、最にはほぼ毎回俵のき先がている。
「父ちゃん、配所で働いてたの?」
「正式な職員じゃない。終戦、しばらく荷運びと名簿理を伝ってた」
勇作は数字に細かい男だったという。入荷数と配数がわないことに気づき、清吉とで記録を取り始めた。
「最初は、登録から漏れたに回してる分やとった」
「違った?」
「それを引いても残る」
毎週曜に俵。
かなら俵。
俵で何分になるのか、俊夫にも分かる。
「に売ったんだ」
「たぶんな」
「誰が」
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清吉は首を振った。
「そこまで分からんうちに兄貴が倒れた」
勇作は肺を悪くし、何かも咳をしていた。戦の混乱で分な薬もに入らず、入退院を繰り返した末にくなった。
「じゃあ何で父ちゃんの名義を消さなかったんだ」
その問いに、清吉ではなく芳が答えた。
「勇作に頼まれたから」
俊夫は母を見た。
「俺がんでも、しばらく名簿からすなって」
「何で」
「んだの名が残ってたら、誰がその米を取りに来るか分かるかもしれないって」
勇作は自分がんだも、名義をつだけ囮として残そうとした。
芳はその米を受け取り、必なへ渡しながら、誰が帳簿をき換えるかを見ていた。
「そんなこと、も」
「最初は半のつもりだった」
だが何も分からなかった。
むしろ途からが増え、曜だけ《受取済》にされる庭まで現れた。
俊夫は父の帳をめくった。
最の数ページにづくほど字が乱れていく。咳でが震えていたのかもしれない。
そして番最。
枚だけ、根元から破り取られていた。
「ここは?」
清吉が険しい顔をした。
「俺が預かったからなかった」
「母ちゃんは?」
「らない」
芳も首を振った。
俊夫は帳をに透かした。
破られた次のページに、圧の跡がわずかに残っている。
読める文字はつだけだった。
《医院》
そして、
《曜》
父はぬ直、医院と曜の米について何かをいていた。
その枚だけがない。
しかも母も叔父も、「誰が破ったからない」と言う。
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