"火曜日だけ「受取済」が増える町" 第4話
俊夫ので、父は被害者でも正義のでもなくなり始めた。
まだ何か隠している。
翌から俊夫は学が終わると、父の帳をページずつ読み直した。数字だけではなく、さな余のき込みまで確認する。あるには《清吉運搬》、別のには《芳、》とあり、族が裏の配にく関わっていたことが分かった。
目の夜、帳のからい片が落ちた。
病院の領収だった。
《診療費未払分 百円》
昭。
患者名、勇作。
そこまでは普通だった。
しかし裏側に鉛きがあった。
《米 俵分にて相殺》
俊夫は目を疑った。
父は正を調べていただけではない。
自分の治療費を、米俵で払った記録がある。
芳へ突きつけると、母はしばらく黙っていた。
「ってたのか」
「……全部はらなかった」
「これ、父ちゃんが米を売ったってことだろ」
「違う」
「何が違うんだよ!」
俊夫の声がに響いた。
「から米を盗んで、それで自分の病院代払ったんなら、と同じじゃないか!」
芳は鳴り返さなかった。
「その俵が、どの米だったのか私はらない」
「じゃあ何をってた」
「勇作が医院に借りがあったこと。米の藤さんがに入ったこと。それだけ」
「藤?」
町で番きな米穀の主。
配所へ入る米の運搬も請け負っている男だった。
俊夫は帳の古いページを急いでめくった。
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《藤 曜》
回。
《藤 俵》
回。
父は同じ名を何度もいていた。
「清吉叔父さんはってる?」
「らないとう」
その夜、俊夫は叔父のへった。
清吉は領収を見るなり、顔を失った。
「どこにあった」
「帳の」
「これは……」
「父ちゃん、米抜いてたんだろ」
清吉は答えなかった。
「叔父さん」
「回だけや」
その言葉で、俊夫の胸がえた。
「ってたんだな」
清吉は両を膝に置いた。
「兄貴はあの、咳がひどくて働けんかった。医院への借りが溜まってた。藤が、救済に回す米のうち俵を買い取る形にして、診療費に充てればいいと言った」
「救済の米を?」
「そうや」
つまり父も度、自分たちがを助けるために回していた米へをつけた。
「それから兄貴はおかしくなった」
「何が」
「次の曜にも、俵なくなった」
父が使ったのは度だけ。
しかしその翌週も。
翌々週も。
同じように俵が消えた。
藤は「救済の調だ」と説した。
勇作は自分が度を染めてしまったため、く問い詰められなかった。
「自分もやったんやから、黙るしかないとったんやろ」
清吉の声は苦かった。
だから父は数字を記録し始めた。
自分の罪を隠すためではない。
度のみを利用され、仕組みそのものがわれ始めたことに気づいたからだった。
「じゃあ最のページには藤のことが?」
「たぶん」
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「誰が破った」
清吉は首を振った。
その、芳が戸にった。
いつから聞いていたのか分からない。
母は俊夫を見ず、清吉へ言った。
「、医院へく」
「芳さん」
「もう隠しても仕方ない」
俊夫は母を見た。
「何を隠してる」
芳は答えなかった。
ただ言、
「勇作がんだの、私は藤さんとあの医院で会ってる」
と言った。
父の正を追う話だとっていた。
ところが父は度、米を治療費へ換えていた。
さらに母は、父がぬに米の主と医院で会っていた。
父の最のページ。
そこにかれていたのは、藤の名だけではないのかもしれない。
翌朝、俊夫は学を休み、芳と清吉について古い医院へ向かった。町れの焼け残った造階建てで、板の文字は半分消えかかっている。院の野はを過ぎた男で、勇作が通っていた頃から変わらず診療を続けていた。
父の名をすと、野はしばらく目を閉じた。
「勇作さんの息子か」
「父が米で診療費を払ったって本当ですか」
野は芳を見た。
「まだ話してなかったのか」
俊夫の胸がまたざわついた。
野は古い診療台帳をしてきた。勇作の診療費には確かに百円の未払いがあったが、その横に《藤商替》とかれている。
「米を医院が受け取ったんじゃないんですか」
「受け取ってない」
「じゃあ《米俵分にて相殺》って」
「藤さんが、勇作さんの俵を自分が買った形にして、こちらへ現を払った」
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