"火曜日だけ「受取済」が増える町" 第5話
事実の米の売買。
父は救済用の俵を藤へ渡し、その代で治療費を清算した。
言い逃れはできない。
俊夫は唇を噛んだ。
「父ちゃん、盗んだんですね」
野はすぐ否定しなかった。
「そう言われれば、そうなる」
芳が顔を伏せた。
「ただし、その回のあと、勇作さんは米を返そうとしていた」
「返す?」
翌、自分の配分を減らし、しずつ救済分へ戻していた記録が残っているという。では米が急に減り、芳と俊夫が芋ばかりべた期があった。
俊夫には覚えがあった。
「何で母ちゃん言わなかった」
「父ちゃんを派なのまま覚えてほしかったから」
芳の声は震えた。
俊夫は腹がった。
「嘘のままってことじゃないか」
「そうだよ」
母は否定しなかった。
野はさらに別の帳面をいた。
「勇作さんが問題にしたのは、その俵を藤さんへ渡したからです」
父が度だけした正と同じ方法で、毎週俵が消え始めた。だが父はもう自分も共犯だと責められるで、正面から告発できなかった。
「それで記録を」
「ああ」
「最のページ、見たことあります?」
野は考えた。
「度だけ」
俊夫がを乗りした。
「何がいてあったんですか」
「名がつあった」
「藤?」
「それと配所の矢野主任」
もう。
野は芳を見た。
「芳さん、言ってもいいか」
母の顔から血の気が引いた。
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俊夫は嫌な予がした。
「誰」
野は静かに答えた。
「清吉」
俊夫は叔父を振り返った。
清吉の顔が固まっていた。
帰り、俊夫は清吉とをきかなかった。父が調べていたのに、米の藤、配所の主任・矢野、そして自分の叔父がいた。清吉はずっと父の方だとっていたのに、最の帳には疑われる側として名が残っていた。
へ着くに、俊夫はち止まった。
「説してよ」
清吉もを止めた。
「俺は、米を運んだ」
「どこへ」
「藤の倉」
「何回」
「回」
俊夫は叔父へ掴みかかりそうになった。
清吉は逃げなかった。
「戦争から戻ったばかりで仕事がなかった。藤から夜の荷運びを頼まれた。配所から余った俵を倉へ持っていくだけだと言われた」
「余ってなかったんだろ」
「で分かった」
清吉は度目、度目は疑わず運んだ。度目、父から「その俵は何だ」と問い詰められ、初めて数字がわないことをった。
「じゃあ父ちゃんに全部言えばよかった」
「言った」
「なら何で帳に名が」
「兄貴は誰も信用できんようになっとった」
度みを握られた父。
をもらって運んだ弟。
救済米のをる妻。
誰がどこまで関わっているのか、父自も最には分からなくなっていた。
「最のページは叔父さんが破ったんじゃないの」
清吉はく首を振った。
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「違う」
「信じられるわけないだろ」
「そうやな」
清吉はそれ以言い訳しなかった。
その夜、俊夫はで父の帳を読み返した。
英雄だとっていた父には汚れた部分があった。
信用していた叔父も、らずにとはいえ米を運んでいる。
母は、者の名義で配を受け続けた。
誰も完全にくない。
けれど同に、完全に黒いとも言い切れない。
翌、俊夫は配所で《受取済》にされたを軒ずつ訪ね始めた。
最初の老。
戦争未。
疎帰りの。
話を聞くうちに、ある共通点へ気づいた。
全員、抗議を続けにくいだった。
暮らしの老は役所へくがない。
未には幼い子どもがいる。
疎帰りは所変更の続きが終わっておらず、「おたちの方が違っている」と言われれば反論しにくい。
偶然ではない。
誰かが、騒いでも怖くないを選んでいる。
俊夫は初めて、正のやり方そのものを理解した。
俵盗むだけではりない。
そのを帳簿消すため、い庭を《受取済》にする必がある。
そして曜だけそれが起きるのは、米の入荷と帳簿締めが曜だったからかもしれない。
父が記録した「曜」は、偶然ではなかった。
次の曜。
俊夫は朝から配所の裏を見張った。
正面には配を待つのい列。裏では米俵が荷から倉庫へ運び込まれる。
表の騒がしさに紛れれば、俵くらい別の所へかしても気づかれにくい。
昼過ぎ。
配所の横から台の荷がた。
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