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"援助し続けた兄が隠していた二年間" 第9話

柴田にも事があった。

兄とは代からの友で、事故に落ち込んでいる姿を見て助けたかった。

最初は万円。

次は万円。

気づけば万円。

「直さんと同じですよ。途から、貸さない方が悪いみたいな気になってた」

私は苦笑した。

兄は、を選んでいたのだとう。

自分を見捨てられない。

昔からのある。

罪悪を持ってくれる。

そこへ頼る。

悪だけでやっていたとはわない。

本当に追い詰められていたもあった。

だが結果として、の優しさを借のように使っていた。

そしていつか返せばいいとっていた。

だけではない。

信用も。

も。

族のも。

全部、先送りにしていた。

半が過ぎた頃。

私の座へ見慣れない千円の入があった。

名義は、

《ハシモトケンジ》

だった。

すぐ兄へ話した。

「何これ」

「返済」

「千円?」

「ないけど」

「ほかの借あるだろ」

「柴田たちの分は今払った」

「だからって」

兄はし笑った。

「おにも返したかった」

私は百万円を返せと言ったことはない。

途からは「援助」として渡していたつもりだった。

だが兄にとっては違ったらしい。

「全部返す気?」

「全部は何かかるか分からん」

「無理しなくていい」

言ってから、私はし考え直した。

昔ならそこで、

「もういいよ」

と全部免除した。

兄もそれを期待していたかもしれない。

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「でも千円なら受け取る」

話の向こうで兄が笑った。

「何だよそれ」

「続けられる額だけでいい」

「分かった」

その千円を見て、私は初めて「返済」というものは額だけではないのだとった。

兄が自分の収入のから、自分で決めて振り込んだ。

そこにがあった。

美咲へ話すと、

「じゃあ貯座に入れとこう」

と言った。

宅・将来用。

度きく減った座へ、千円が戻った。

翌も。

その次も。

ゆっくりだった。

でも今度は、誰かの嘘を支えるではなかった。

。

兄の借はまだ残っていた。

柴田への返済も終わっていない。

パチンコへきたくなることもあるという。

脚も、寒いは痛むらしい。

何も魔法のようには解決していない。

ただ、兄は以のように、

「俺の方が幸なんだから助けろ」

とは言わなくなった。

あるの、兄とで実の墓参りへった。

坂で兄がしを止めた。

「休む?」

「いや、丈夫」

ゆっくり歩く。

私は先にかなかった。

かといって肩を貸すこともしなかった。

兄が必と言えば貸す。

言わなければ待つ。

それでいい。

墓でをわせたあと、兄が言った。

「直」

「何」

「昔、おを守ってやったこと、ずっと覚えてたんだな」

「覚えてるよ」

「俺、それ使ってたんだとう」

私は兄を見た。

「おなら最は助けるって」

兄は墓から目をさなかった。

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「最だな」

「最なことはした」

私は答えた。

「でも、それで兄ちゃん全部が最になるわけじゃない」

兄が苦笑した。

「美咲さんに教わった?」

「似たようなことは」

「やっぱり嫁に響されてるな」

昔なら腹がっただろう。

今は笑えた。

「悪い?」

「いや」

兄も笑った。

「いい嫁さんだとう」

それが、兄が初めて美咲について素直に言った言葉だった。

それから数か。

仕事、美咲から久しぶりに画が届いた。

《また見つけた》

と同じような文章だった。

瞬、胸がざわついた。

再する。

元の駅。

兄が歩いている。

杖はない。

片に弁当袋。

もう片方にスーパーのさな買い物袋を持っている。

兄は信号を渡り、そのまま駅の改札へ入っていった。

パチンコではなかった。

美咲から続けてメッセージが来た。

《会社くところかな》

私は画を最まで見て、スマートフォンを閉じた。

ほど。

同じように妻から送られてきた本の画で、私は兄の嘘をった。

あの、最初に目についたのは、兄が杖なしで歩いていることだった。

でも今なら分かる。

本当の問題は、歩けるか歩けないかではなかった。

障害があるでも、調子の良いと悪いはある。

回復の程度もによって違う。

誰かの体を数秒の画だけで判断することはできない。

私が援助を打ち切った理由も、そこではない。

兄が回復を隠したこと。

収入を偽ったこと。

の用途を嘘で説したこと。

私からの援助を提に、ほかのからまで借を増やしたこと。

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