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"三日待て――命を懸けて起爆盤を粉砕した現場主任、120人を救い500億の黄金を暴く" 第8話

メートルの断末魔

午分。

黒鉱第区画の坑には、全社から集まった保委員や待の作業員たち名あまりが、息を呑んで集まっていた。

坑の黄い保線の側で、酒井は角巾で吊った腕を庇いながら、卓型無線受信のスピーカーにを澄ませていた。隣には、もはや爪を噛むことしかできなくなったが、幽霊のように青ざめた顔でち尽くしている。

坑のへ消えていったのは、野部、藤本班、太田、そして本社の保検査員の名。全員が最鋭の全面形防毒マスクを装着し、防爆ライトで元を照らしながらんでいる。

無線のスピーカーから、太田のくぐもった声がノイズ混じりに流れてきた。 『――現、坑からメートル点を通過。燃性ガス、ゼロ。酸素濃度点パーセント……』

がすかさず、周囲に聞こえるような声で呟いた。 「ほら見ろ……メートルでも何ともないじゃないか。げさに騒ぎておって……」

誰もの言葉に相槌を打たなかった。 『――メートル点通過。今朝の最終測定位置です。ガス濃度、変化なし』 太田の声が続く。だが、その直、元を激しく叩くような音が無線から漏れ聞こえてきた。

ジャバジャバ、ジャバジャバ――。

普段の坑ではあり得ない、濁流のような音だった。

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『……野部、元を見てください』 藤本のく、緊張した声が割り込んだ。 『排溝のグレーチングからが溢れとる。……靴の甲まで浸かってます。が茶褐に濁って、細かい砂利が混じり始めてます』

『盤の侵が始まっている証拠だ』野の徹な声が響く。 『全員、歩調を緩めるな。切羽メートル――メートル点へ入する』

酒井は帳のストップウォッチを凝した。午分。 たいが坑から吹き抜け、酒井の頬を撫でた。朝礼のよりもはるかにい、腐った卵と錆びた鉄が混ざりった烈な異臭が、の保線のまで漂ってくる。

『――メートル到達』 太田の息遣いが荒くなっていた。 『切羽の装薬孔が見えます。……つの穴のうち、央の本からが噴きしてます! まるでホースで放してるみたいに……あ、検器のプローブを切羽の亀裂に向け……ッ!?』

その瞬だった。 無線のスピーカーが鳴をげた。

『ピピピピピピピピピピッ! 警告! 警告! レベルスリー警報!』

鼓膜を突き破るような甲い連続警告音が、鉱全体を切り裂いた。 『数値が……数値がねがってます!』 太田の絶叫が霊する。 『メタン濃度、爆発限界のパーセントを突破! 測定限界に迫ってます! 硫化素も急昇、ピーピーエムを超えました!』

『退避ッ!』野部の号が響いた。

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『計器を保持したまま退しろ! 絶対にるな、静気をてるな! ろを向かずにそのままがれ!』

坑にいた作業員たちがパニックを起こし、斉にずさりした。

「がれ! 坑かられろ!」酒井が残ったで誘導ロープを広げ、作業員たちを方の防護塁へ押し戻した。

分、暗の奥から、ヘッドライトのを乱反射させながらつのが転がるようにびしてきた。 太田はに塗れ、野部は肩で激しい息を刻んでいた。太田のにあるガス検器は、赤の輝度LEDを狂ったように点滅させ、けたたましいサイレンを鳴らし続けている。

野は防毒マスクを乱暴に剥ぎ取ると、だらけの顔のまま、仁王ちでへと詰め寄った。その瞳には、現を預かる技術者としての凄まじいりの炎が宿っていた。

「雅史ッ!!」 野のが、に響き渡った。

「貴様は……この濃度の燃性ガスが噴きしている切羽に、キロの含爆薬を叩き込んで起爆させる気だったのか! 炎が触れた瞬、全坑が炎放射器と化して、坑内にいた全員が蒸発していたぞ!」

「ひっ……!」 は腰を抜かし、まみれの面に尻餅をついた。顎がガチガチと激しく震え、言葉がない。 「そ、そんな……今朝は、今朝は本当にゼロだったんです……信じてください……」

「言い訳は本社役員会と警察ので聞こう」 野は吐き捨てると、昨届いたばかりで資材置きに置かれていた、品の子起爆装置の箱へ股で歩み寄った。 野は作業のポケットから、赤と黄の縞模様が入った分いビニールテープを取りすと、箱の蓋に字に貼り付け、その央に黒マジックできくき殴った。

【鉱保法第条発・使用厳禁・保推部封印】

「現刻をもって、第区画の全作業を無期限で完全止とする! 坑をバリケードで封鎖しろ!」

野の声に、現の作業員たちが先にと材や鉄パイプを運び込み始めた。 酒井はそのにち尽くし、たい混じりのを正面から受け止めていた。

自分ので起爆盤を叩き壊したあの瞬、自分を狂だと罵った男たちので、の真実がのに晒された。 だが、酒井の胸に堵は微もなかった。 元のが、刻みに波紋を描いていた。メートルの暗の奥で、数万トンの岩盤が、いよいよ断末魔の叫びをげようとしていた。

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