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"三日待て――命を懸けて起爆盤を粉砕した現場主任、120人を救い500億の黄金を暴く" 第11話

点呼の最の

「どけ! そこをどきやがれ!」 は制止しようとした若作業員の腕を力任せに振り払い、バリケードで封鎖されたはずの坑へ向かって狂奔していた。

「監督! 何を考えているんだ、戻れ!」 藤本が声をげたが、は振り返りもしない。その形相は常軌を逸し、目を剥いていた。

「計器だ! ドイツ製の搬式次元レーザー測定器を、第区画の資材ステージに置き忘れてきたんだよ!」 は叫びながら、製のバリケードにをかけ、引によじ登ろうとした。 「あれは台百万円もするんだ! 本社の設備投資枠を俺の権限で無理に通して買った最鋭だぞ! 壊れたり流されたりしたら、全部俺の過失責任として償却を求められる! 俺の退職も、役員賞も、全部吹きぶんだよ!」

「戻るな! 械のために命を捨てる気か!」 野部が叫び、警備員に拘束を命じたが、は狂乱の力で枠を引き剥がし、坑内へまさにを踏み入れようとしていた。

その瞬、弾丸のような速さで駆け抜けたがあった。 酒井だった。

痛む肩のことも、全治週の診断のことも、脳裏から完全に消しんでいた。酒井は炭の面を蹴りばすと、坑の敷居を跨ごうとしたの背から、く鋭いタックルをらわせた。

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「ぐあっ!」 が砂利のにのめりに倒れ込む。酒井は即座に馬乗りになり、残された腕での作業の襟首を締めげた。

「せ! 酒井、貴様何の権限があって俺の邪魔をする!」 はまみれになりながら暴れ、肘を酒井の負傷した肩へ激しく叩きつけた。骨を軋ませるような激痛が酒井の全を貫いた。界が真っに滅する。だが、酒井のの指は、万力のようにの襟を掴んでさなかった。

「しません! 絶対にへは入れない!」

「どけと言っているんだ! おのせいで俺の世はめちゃくちゃだ! 課昇も、百万円の特別ボーナスも、全部パーになった! これ以俺の邪魔をするなら殺してやるぞ!」 は目を血らせ、唾を酒井の顔へ吐きかけた。

その醜悪な保の叫びを聞いた瞬、酒井の胸の奥で、静かに燃えていた職の炎がりの業となって爆発した。

「械は買い直せる!」 酒井の咆哮が、朝のに鳴のように轟き渡った。 「も、設備も、いくらでもから買い直せる! だがんだは、度とき返らないんだ!」

のきがピタリと止まった。 酒井はだらけの顔を限界までづけ、の瞳を睨み据えた。その差しには、と向きい、薬を扱い、仲を守り抜いてきた男だけが持つ、絶対な覚悟が宿っていた。

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「あんたが今そこへび込んでんだら! 百名全員を無事に送りしたこの点呼表の最に、あんたの名が『者』として刻まれるんだ! そんならない欲のために、現の誇りを汚させてたまるか! の命を何だとっているんだ!」

「あ……」 の喉から、掠れた息が漏れた。 酒井の全から放たれる凄まじい気迫に圧倒され、のから完全に力が抜け落ちた。

「誠、をせ!」 駆けつけた藤本と太田が、の両脇を力任せに抱え込み、坑から全境界線の側へと引きずり戻した。 面に放りされたは、のに座り込んだまま、ただ呆然と自らの震える両を見つめていた。

酒井は息をえながらちがり、角巾から抜け落ちていた腕を押さえた。 「……野部、全員、さらにメートル退させてください。防護塁の裏へ!」

「全員退! 塁のへ伏せろ!」野の号令がんだ。 作業員たちが斉にり、コンクリートの退避壕と塁の背へを隠した。

その直だった。 帳の計は、午分を指していた。 が、ついにその沈黙を破った。

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