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"三日待て――命を懸けて起爆盤を粉砕した現場主任、120人を救い500億の黄金を暴く" 第12話

崩壊の咆哮

元の面が、まるでい氷の板のようにねがった。 グラグラという横揺れではない。数千メートルのマグマが突きげてきたかのような、そのものが砕け散る烈な衝撃波が、作業員たちの膝を力任せに打ち砕いた。

「うわあああッ!」 何もの鉱夫が面にをつき、鳴をげて転倒した。

ゴガガガガガガガガガガアンッ!!!!

それは、この世の終わりを告げるような轟音だった。 第区画の坑から、黒褐の濁流と、細かく砕かれた岩の破片が、巨な砲から放たれた弾丸のように気へ噴きした。製のバリケードなど瞬でっ端微に砕され、頑丈なH鋼の支保が飴細のようにひしゃげて宙をう。

煙が空を覆い尽くし、太陽のを完全に遮断した。 続いて吹き荒れたのは、烈な爆だった。湿ったと硫黄の臭気に満ちたが、広を薙ぎ払い、プレハブ事務所のガラス窓が斉に々に砕け散った。

「を守れ! 伏せろッ!」藤本の声が轟く。 酒井は面に額を擦りつけ、全で衝撃に耐えた。を、のがバラバラと激しい音をてて通り過ぎていく。

坑の奥くからは、まるでそのものが崩れ落ちるような、ゴロゴロという破壊音が何にもなって響いていた。度では終わらない。

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井が落ち、側壁が裂け、隣接する採掘区画の空洞が次々と連鎖崩壊を起こしている音が、数秒にわたってを揺るがし続けた。

やがて、のが止み、静寂が戻ってきた。 もうもうとち込める黄の煙の、酒井はゆっくりと顔をげた。

線の先にあったはずの第区画の坑は、完全に消滅していた。 井から崩落した数千トンに及ぶ巨な岩塊が、坑を完全に埋め尽くし、砂のと化している。排溝からは、真っ黒に濁ったが激しい勢いで溢れし、広を池のように浸していた。

その、の監に残されていた自ガス警報盤が、狂ったようなサイレンを鳴らし始めた。

『ウゥゥゥゥ――ッ! 警報! 危険限界突破! 坑メタン濃度測定能! 硫化素濃度、致レベル検! 直ちに半径百メートル以内へのち入りを禁止せよ!』

赤のパトランプが、煙ので気に回転している。 作業員たちのから、言葉にならない呻き声が漏れた。

もし。 もし、の命令通り、の午にあのキロの含爆薬を起爆させていたら。 装薬の炎が、この巨なメタンガスだまりに引し、坑全体が超圧の爆薬庫と化して爆発を起こしていた。そして連鎖落盤により、坑内にいた全員がき埋めになり、きて再び陽のを見ることは絶対に叶わなかった。

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「あ……ああ……」 のに座り込んでいたが、喉から泡を吹きながら、変わり果てたの姿を見つめていた。 そのズボンの股には、止めどなく黄い液体が染み広がり、異臭を放っていた。恐怖のあまり、完全に失禁していた。自らがび込もうとしていた所が、文字通りの獄絵図と化していたのだ。

は両を面につけ、ガタガタと震えながら嘔吐した。

太田が、まみれの酒井の隣へ膝をついた。その目は涙で真っ赤に充血していた。 「酒井さん……俺、あの、起爆ボタンを押さなくて……本当に、本当によかったです……!」

酒井は太田の震える肩に、そっとを置いた。 「おが踏みとどまったんだ。おの勇気だ、太田」

野部がまみれのヘルメットを脱ぎ、押し潰された坑に向かって々と礼した。そして酒井を振り返ると、そのにはいものがっていた。

「酒井君」野の声は震えていた。 「君が起爆盤を叩き壊さなければ、今、が社は百名以の尊い命を度ににしていた。……君の判断が、すべて正しかった」

酒井は答えず、ただ静かに胸ポケットから『現全作業ノート』を取りした。 震えるに鉛を握り、のついた面に刻み込む。

、午分。 第区画切羽奥の未確認ガスだまりが自壊・崩落発。

連鎖落盤および濃度毒・燃性ガスの噴を確認。 坑内作業員百名、全員無事退避完。傷者、ゼロ。

鉛をらせ終えた、酒井の胸のに、温かいが吹き抜けた気がした。 の猶予。 黒蛇が求めたは、誰として命を落とすことなく、確かに満を迎えたのだった。

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