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"三日待て――命を懸けて起爆盤を粉砕した現場主任、120人を救い500億の黄金を暴く" 第16話

全を統べる者

事故からヶが過ぎた。

京・丸の内にある奥羽鉱業本社の会議は、異様な緊張に包まれていた。

窓のには皇居の枯れの々が広がり、層ビルの静寂のに、たい陽が差し込んでいる。

黒塗りのなテーブルを囲んでいたのは、代表取締役社をはじめ、専務、常務、法務部、事部といった最経営陣の面々だった。

座の扉がき、スーツにを包んだ酒井誠がを踏み入れた。 角巾はすでにされていたが、腕をかすたびに微かな張りが残っている。酒井は席のまで歩み寄ると、姿勢を正し、く礼した。

「株式会社奥羽鉱業・黒事業所の酒井誠です」

社がゆっくりとちがり、役員たちを見回した、酒井に向かってをげた。 本のトップ鉱企業の社が、現の保主任にをげるなど、代未聞の景だった。

「酒井君、まずは座りなさい」 社が着席を促し、元の分い調査報告をいた。

「本、取締役会において全会致で決議された結論を君に伝える。第に、君がに破壊した防爆型子起爆装置の損害賠償についてだ。修理費用ならびに代替配にかかった総額百万円について、会社は君個に対して切の損害賠償を請求しない。

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刑法第条の『緊急避難』が法に完全に成すること、ならびに労働全法の『災害回避のための正当為』として、取締役会が君のを公式に追認した」

酒井は背筋を伸ばしたまま、静かに聞いた。 「ありがとうございます」

「それだけではない」社は枚の辞令を両で持ちげた。 「君の勇気ある決断がなければ、百名の尊い従業員の命が失われ、が社は社会な信用を失って倒産していたと言っても過言ではない。さらに、そのの調査で発見された鉱脈の価値は計りれない。よって、会社規程に基づく『特別災害防除功績賞』として、君に千万円の特別報償を授与する」

千万円。現の鉱夫がにするにはあまりにも巨額の数字だった。 だが、酒井の脳裏に真っ先に浮かんだのは、あの資材庫に閉じ込められた夜、話で「活のことはどうにでもなる、帰ってきたら温かいご飯を作る」と言ってくれた妻・佳恵の静かな声だった。これで、族に苦労をかけずに済む。その堵だけが胸を満たした。

「そして、酒井君」社の声にがこもった。 「君を、本付で本社役員待遇の『全統括本部』に任命したい。黒事業所だけでなく、が社が保する全国つの鉱、ならびにすべての発現における発破・採掘の最止権限を君に委ねる。

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君の『止める目』を、が社の経営の枢に据えたいのだ。受けてもらえるだろうか」

同席していた野部が、酒井に向けて力く頷いた。 役員全員の線が酒井に集する。現の職が、経営陣と肩を並べる最幹部へ抜擢される栄転だった。

だが、酒井は即答しなかった。 テーブルのに置かれた辞令を見つめた、静かに、だが揺るぎない声でをいた。

「……お受けするにあたり、つの絶対条件がございます」

「条件?」社が眉をかした。

「第に、今いかなる現であっても、作業員が『違』を覚えて作業止を求めた際、その者を嘲笑したり、程遅延を理由に事評価で利益を課したりすることを全社規則で永久に禁止すること。結果に何事も起きなかったとしても、『止めた勇気』そのものを正当に評価する仕組みを就業規則に文化してください」

酒井は言葉を区切り、役員たちの目をずつ見据えた。 「第に、現のガス検器や振計のデータは、現監督を通さず、本社保推部のクラウドサーバーへダイレクトに保全される改ざん能なシステムを構築すること。監督の胸先寸で、数字が消される現を度と作らないと誓ってください。――このつが呑めないのであれば、私はこの辞令をお受けすることはできません。

現の仲を裏切るような肩なら、私にはです」

会議がを打ったように静まり返った。 役員たちの顔に緊張がる。 その沈黙を破ったのは、社の豪な笑い声だった。

「ハハハ! 素らしい!」 社はちがり、机を力く叩いた。 「野部、聞いただろう! これこそがが社に必な血だ! 直ちに法務と総務に命じて『酒井条項』を全管理規程に盛り込め! 文字たりとも妥協するな!」

社は酒井のまで歩み寄ると、その骨太のを両で固く握りしめた。 「酒井本部。君の言う通りだ。これからは君が、が社のすべての命を守ってくれ」

「……全力を尽くします」

酒井は々と礼した。

起爆盤を叩き壊したあののい鉄槌は、今、企業の歪んだ体質を根底から打ち砕き、しい代を切りく槌音へと変わったのだった。

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